3idiots
この映画ついてはまったく知らなかったが、あらゆる場所で高く評価されているし、パッケージデザインからも前向きな映画だということはわかっていたので、やや長い尺ではあるが、腰を据えて観る事にした。

原題は「3 Idiots」、つまり、”3人のバカ”。
愛すべきタイトルではあるが、そのままの日本語訳のタイトルだったら観る前の心構えも違っていただろう。

同じインドが舞台の映画でも、先日観た『スラムドッグ$ミリオネア』とは違い、最下層の人々は出てこない。しかしそれでも、貧富の差が大きいことは十分に伝わってくる。

3人が通う大学がインド一位の工科大学ということもあり、科学的なエピソードが使われているのは新鮮。また、インドが競争社会だということもよくわかる。

そして、やはりというか、当然のように、突然、ザ・インド映画といった趣きの踊りと歌が始まる。インド映画を観るということは、きっとそういうことなのだろうけど、それを楽しみに観ているわけではないし、歌も踊りもダサいというのか、趣味がまったく違うというのかヘンテコで、こちらとしては自然に鳥肌が立ち、やや引いてしまう。

それでも、だんだんその世界に慣れていく。3時間弱もある話だし。

テーマとしては、親に決められたことにそのまま従ったり、言われるがままに職業を選ぶのではなく、自分が一番やりたいことをやりなさいという、オーソドックスなもの。

それを表すのに、主役の出自の変わったランチョー(アーミル・カーン)を中心に、バカ二人のファラン(マドハヴァン)とラージュー(シャルマン・ジョシ)、それぞれの家族、学長(ボーマン・イラニ)、学長の娘ピア(カリーナ・カプール)、サイレンサー(オミ・ヴァイディアが演じるすかしっ屁野郎のこと。素晴らしいあだ名)などを交えて、話は進んでいく。

友情あり、親との衝突あり、学長との闘いあり、ほんのりと色恋もあり、そして歌踊りあり、と盛りだくさん。

結婚式や葬式に加え、今までなじみがなかった避暑地の街並みが出てくるのも興味深かった。

以下、ネタバレあり。

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観ているこちらとしては、だんだんと愛すべきバカ三人と、その恋人ピアのことが好きになっていき、エンディングの盛り上がりに向けて加速する。

バカ二人がランチョーの助言に従って、それぞれの進路を決め、その報告をするところで、ランチョーは柱の陰に隠れてカメラの方を見て、涙を見せないようにする。ここの表情が本当に良い。

卓球台の上での、ピアの姉モナの出産シーンでも、「Aal Izz Well」の声で赤ん坊が蹴るという伏線ありのユーモアを利かしつつ、感動を誘う。

学長が、彼にとって大事なペンをランチョーに渡すシーンも悪くない。

ピアが原付に乗ってランチョーの元へ向かうところでは、一緒にドキドキしてしまう。
それほどイケメンな役者ではないが、ここでは魅力的にも見える。

ベタではあるが、これぞ、インドのエンターテイメント。充分に満喫させてもらった。
ただ、やはり踊りはないほうが……

製作:ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー
監督:ラジクマール・ヒラニ
脚本:ラジクマール・ヒラニ / ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー / ジット・ジョーシ
撮影:C・K・ムラリードハーン
音楽:シャーンタヌ・モーイトラー / アトゥル・ラニンガ / サンジャイ・ワンドレカール
出演:アーミル・カーン / カリーナ・カプール / R・マドハヴァン / シャルマン・ジョシ / オミ・ヴァイディア / ボーマン・イラニ / モナ・シング / ドゥシャント・ワーグ
配給:日活
公開:2009年12月25日(印)、2013年5月18日(日)
上映時間:171分

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