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映画としてはよくありそうな話ながら、短い尺の中で、無駄を排除しつつも、余韻を持たせる映像をはさみ、平穏な生活を送ろうとする社会的側面と、人間の持つ攻撃心、動物的側面に揺れる登場人物たちをうまく描いている。

バイオレンス・セックス・家族の要素がギュッと詰め込まれた、クローネンバーグらしいサスペンス作品。

顔を殴られていたり、撃ち抜かれていたりする状態を映す感じは、ちょっとスプラッターホラーの色が入っていて、こういうところにもクローネンバーグっぽさが出ているのかなと想像。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のあらすじ

インディアナ州の田舎町ミルブルックで、小さなダイナーを営むトム・ストールは、弁護士の妻エディと高校生の息子ジャック、幼い娘サラとともに穏やかな日々を送っていた。そんなある夜、閉店間際の彼の店に拳銃を持った2人組の強盗が押し入った。しかし、トムは驚くべき身のこなしで2人を倒し、一躍ヒーローとしてマスコミに取り上げられた。それから数日後、不気味なサングラスの男が手下とともにダイナーに現われ、トムに「ジョーイ」と親しげに話しかける。人違いだと否定するトムだったが、トムの過去を知るというその男は、以来執拗に家族につきまとい始める。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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映画冒頭。緊張感漂う、いかにも映画っぽい緩急の効いた犯罪シーン。
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結果的に噛ませ犬的役回りとなってしまったが、他の作品だったら主軸クラスの無法者っぷりを漂わせていた、スーツ姿できめたリーランド(スティーヴン・マクハティ)と、ラフな格好でクレイジーさを醸し出しているビリー(グレッグ・ブリック)は雰囲気抜群。

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学生時代一緒に過ごせなかったから、青春を取り戻そうと当時のチアリーダーの衣装でトムを誘惑するエディ(マリア・ベロ)。
このシーンが必要なのかと言われれば、必須ではない気はするが、トムとは学生時代から知っているわけではないことがわかりつつ、性への態度も垣間見れて面白いシーンではある。

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フォガティ(エド・ハリス)と、その手下(エイダン・ディヴァイン)の迫力に押され、固唾をのんで観てしまうシーン。観終ってしまえばそんなシーンではなかったことがわかるが。

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仕事を抜けて、息を切らして家に帰ってくるトム(ヴィゴ・モーテンセン)。それを不審げに見守る子どもたち。
驚きよりも不審さのほうが強いというのが面白い。

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衝動的な階段でのトムと妻とのセックス。事が終ったあとの、妻の冷静に戻る早さが見もの。

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高校生の息子ジャック(アシュトン・ホームズ)は、ボビー(カイル・シュミット)らにいじめられている。トムの血を引いていることもあってか、後半では逆襲に転じる。
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トムに銃口を向けるフォガティに、ショットガンの銃口を向けるジャック。
本作はジャックの成長物語でもある。

ラスト。過去との清算を一応はしてきたジャック。父親の驚きべき過去を知ってしまった家族は、彼をどう受け入れるのか。
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このシーンだけでなく、これから続く長い時間、彼らはどういう気持ちで過ごしていくのだろうかと、つい考えてしまう。
そういう意味では、一つ前に観た『ミスティック・リバー』に通じる部分がある。

製作総指揮: ケント・アルターマン、ケイル・ボイター、ジョシュ・ブラウン、ジャスティス・グリーン、ロジャー・カス、トビー・エメリッヒ
製作: クリス・ベンダー、デヴィッド・クローネンバーグ、J・C・スピンク
監督: デヴィッド・クローネンバーグ
脚本: ジョシュ・オルソン
原作: ジョン・ワグナー、ヴィンス・ロック
撮影: ピーター・サスチツキー
美術: キャロル・スピア
音楽: ハワード・ショア
衣装: デニーズ・クローネンバーグ
特撮: ニール・トライフノヴィック、アーロン・ワイントローブ
出演: ヴィゴ・モーテンセン(トム・ストール/ジョーイ・キューザック)、マリア・ベロ(エディ・ストール、トムの妻)、エド・ハリス(カール・フォガティ、昔ジョーイに有刺鉄線で左目を潰される)、ウィリアム・ハート(リッチー・キューザック、フィラデルフィアに住むジョーイの兄)、アシュトン・ホームズ(ジャック・ストール、トムの息子)、ピーター・マクニール(サム・カーニー保安官)、スティーヴン・マクハティ(リーランド・ジョーンズ、強盗)、グレッグ・ブリック(ウィリアム・“ビリー”・オーサー、強盗)、ジェリー・クイグリー(ミック、ジャックが営むダイナーの店員)、スメラ・ケイ(ジュディ・ダンヴァース、ジャックのGF)、ビル・マクドナルド、ハイディ・ヘイズ(サラ・ストール、トムの娘)、カイル・シュミット(ボビー・シンガー、ジャックに因縁をつけるが遂にはジャックに殴られる)、デボラ・ドレークフォード(シャーロット、ダイナーの店員、強盗のビリーに脅される)、エイダン・ディヴァイン(チャーリー、フォガティの部下)、モーガン・ケリー(ボビーとともにジャックに因縁をつける)、イアン・マシューズ(ルーベン、リッチーの部下、ジョーイを殺そうとするが失敗しリッチーに殺される)
編集: ロナルド・サンダース
配給: ニュー・ライン・シネマ(米)、ムービーアイ(日)
公開: 2005年5月16日(仏CIFF)、2005年9月23日(米)、2006年3月11日(日)
上映時間: 96分
製作費: $32,000,000
興行収入: $60,740,827
キャッチコピー:(英語版)Tom Stall had the perfect life… until he became a hero.(トム・ストールは完璧な人生を送っていた… 彼がヒーローになるまでは。) 
(日本語版)「愛は過去の暴力を超えることができるのか?」「あなたは相手の全てを知っても受け入れる自信がありますか? 」
 
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