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クレイジーな映画だろう…
と思っていたら、結構まともな映画だった。

もちろん、おかしいところは、たんまりとある。

それでも、ラザラスを演じるサミュエル・L・ジャクソンが、この倒錯した世界に、一応の落ち着きを与えている。
このおかしな世界を作り出している元凶の一端も、ラザラスにあるわけだが。

いろんな病みを抱えた病的な売女のレイは、ビジュアルも性格も攻撃的。

彼女がまさか、あのクリスティーナ・リッチだとは。
彼女の名を聞いてまっ先に頭に浮かぶのは『バッファロー66』。昔はあんなにふっくらしてたのに、この映画ではかなりの痩身。観終わって、エンドクレジットで名前を見るまで彼女だとはまったく気づかず。

殴られたひどい顔のままのシーンが結構長かったり、身体を張るシーンも多い。

ラザラスが歌うブルースは良い。元ミュージャンだというのが効いている。
あらためて音楽の力の強さを感じた映画ではあった。

この映画を理解するうえで、サミュエルとレイとの関係性が受け入れられるかどうかというのがある気がする。
私自身は、完全にしっくり来たとはいいがたい。

レイと旦那(ジャスティン・ティンバーレイク)との危うい関係性にも、不安が多い。
それでもそんな危ういバランスを、なんとか壊さずに保っている映画ではある。

観たかいはあったかなと思わせてくれる内容だった。

「ブラック・スネーク・モーン」のあらすじ

アメリカ南部、テネシー州。初老の農夫ラザラスは、過去にブルースミュージシャンとして活躍していたが、現在は敬虔なクリスチャンとして教会に通う毎日を送っていた。彼の妻は面白みのない彼に愛想を尽かし、彼の弟と関係を持ち、家から出ていってしまった。孤独な日々を送る彼は、ある朝、道端に血まみれで倒れている半裸の若い女レイを発見し、自宅に連れ帰り介抱する。彼女は幼少の頃に負った虐待の影響でセックス依存症に陥っており、恋人の入隊による孤独も重なったことで、男を求めて町をさまよった末、手ひどい暴力を振るわれてしまったのだった。やがてレイは意識を取り戻すが、ラザラスは彼女の心に深い闇を見出す。そして、その闇を追い払いレイを救うことが使命だと信じた彼は、自分なりの独自の治療法を開始するのだった

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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舞台はアメリカのディープサウス。
個人的になんとなく知っているエリアではあるので、南部っぽい、田舎さがじわじわ来た。

映画の大きい見所の一つはレイという存在だ。
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鎖につながれながら、散歩をさせられるショット。
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ラザラスの意図はどうにせよ、倒錯した世界だ。
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痣が似合う女、クリスティーナ・リッチ。
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クリスティーナ・リッチ、身体張ってる。

それにしても、どこの馬の骨かも知らないのに、女を助けるために、自分が罪に問われることも微塵も恐れずに、鎖でつなぐかね。
仲の良い友人が神父(ジョン・コスランJr.)ってのもあるが、宗教がバッググラウンドにしっかりと横たわっている。

嫁を寝とった弟に激昂し、ビリアード台の上にねじ伏せ、割ったビール瓶片手に、聖書の言葉を読み上げるラザラス。ここは、『パルプ・フィクション』でのサミュエル・L・ジャクソンに通じるものがあった。

宗教的と言えば、神父がレイにかける言葉の中に、「みんな天国に期待しすぎだ。自分はひとりになったときに神に語りかける。許しを請う。天国は今ここにあるんだよ」のような趣旨のものがあった。
これはわかりやすく、心にスッと入ってきた。

ラザラスはレイを助けることを使命と感じての行動をとっているため、そこに下心は存在しない。
しかし、端から見ると、到底枯れているようには見えないラザラス。
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だからこそ、こういったショットからもエロさがそこはかとなく漂ってくる。

クリスティーナ・リッチほどではないが、サミュエルも体を張ってはいる。
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うん。良い表情だ。

しかし、この映画でのサミュエルは、音楽という武器を持っていることで、恰好良くまとまり過ぎている嫌いがある。その分パンチが足りない。
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レイがラザラスにギターを弾いてくるようお願いして、演奏を聴くシーン。ベタだが、悪くないショット。
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ライブハウスで演奏する、セリフ多めの曲は特に良かった。

 
最後に、バージョン違いのチラシ・DVDパッケージデザインを紹介。
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日本語版。なぜに手作り風?

製作総指揮: ロン・シュミット
製作: ステファニー・アレイン、ジョン・シングルトン
監督: クレイグ・ブリュワー
脚本: クレイグ・ブリュワー
撮影: エイミー・ヴィンセント
美術: キース・ブライアン・バーンズ
音楽: スコット・ボマー
衣装: ポール・シムズ
出演: サミュエル・L・ジャクソン(ラザラス)、クリスティーナ・リッチ(レイ)、ジャスティン・ティンバーレイク(ロニー、レイの夫)、S・エパサ・マーカーソン(アンジェラ、ラザラスを助けてくれるドラッグストア勤務の女性)、ジョン・コスランJr.(R.L.、友人、神父)、デヴィッド・バナー(テロン、レイがその身体にハマっている男)、マイケル・レイモンド・ジェームズ(ギル、レイに馬鹿にされレイを殴る)、エイドリアン・レノックス(ローズ・ウッズ、ラザラスの前妻)、キム・リチャーズ(サンディ、レイの母、グローサリーストアで働いている)、サン・ハウス(記録映像での本人役)、ネイマス・K・ウィリアムズ(リンカーン・ジェームズ、少年)、レオナルド・L・トーマス(Deke Woods、ラザラスの弟、ローズを寝取る)、ルビー・ウィルソン(Mayella、パブの常連、黒人女性)、クロード・フィリップス(Bojo、パブのマスター)
編集: ビリー・フォックス
製作会社: パラマウント・クラシックス
配給: パラマウント・ヴァンテージ(米)、UIP(日)
公開: 2007年3月2日(米)、2007年9月1日(日)
上映時間: 115分
製作費: $15,000,000
興行収入: $10,903,846
 
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