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以前から見たい見たいと思いながら、マイケル・ムーア監督作に接したのはこれが初めて。
予想以上に考えさせてくれる映画だった。

戦争、銃、長い歴史の人種問題、貧困、教育…

 
カナダとアメリカとの対比が興味深い。
アメリカの内情は世界的に見ても際立って特殊だが、カナダはカナダで極端で、例えば、都市部でも鍵をまったくかけない文化。
家に泥棒が入ったことがあっても、それを変えない姿勢が新鮮。
一方で、カナダの銃の普及率はアメリカ同様に高い。しかし、銃での事件は極めて少ないというアメリカとの違い。

 
コロンバインの事件の時に、犯人二人が聴いていたことで槍玉に上がったマリリン・マンソン。
インタビューでは非常にまともなことを言っている。アメリカのTVは視聴者に恐怖心を植え付けて、武装させたり、歯磨きを買わせたりする、と。

アニメ「サウスパーク」のクリエイターであるマット・ストーンも、田舎町の恐ろしくつまらないこと、大人たちが子供を模範的な枠に押し込めようとプレッシャーをかけてくることを主張。

世界中のどの先進国でも、政治家や学校やTVCMは、国民や生徒や視聴者にプレッシャーをかけてくるものだと思う。それが極端に行き過ぎているのがアメリカ、ということなのだろうか。

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この映画では、チャールストン・へストンも重要な役割を果たす。

70歳代後半、ビバリーヒルズの豪邸に住み、全米ライフル協会(NRA)の会長を務め、集会では協会メンバーをアジる。

おそらく悪い人じゃないのだろう。
有名人だから誰かに担ぎ出されているのかもしれない。
マイケル・ムーアのインタビューにも応える。

しかしインタビューでは、歳もあるし考えが浅いことが露見。
このインタビュー映像が映画を通じて世界に流れたことは、本人にとっては憤懣やるかたなかったことだろう。
カメラがまわっていたとはいえ、立ち去る際にも感情を露わにしなかったのはさすがだなと感心させられた。

 
全編通してマイケル・ムーア側に偏った内容だし、NRA側の主張もきちんと聞かないことには判断はできないが、政治、企業を含めたアメリカの異常さ、特殊さの一端は理解できた。

 
それにしても、この作品はうまく作られている。
ドキュメンタリーでありながら、製作側の強い先導の意図を感じる。
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銀行で口座を作ると、カタログの中から選んでライフルが貰えるというキャンペーンでライフルを受取り、スーパーで銃弾を買い、そのままライフルと弾を持ったまま床屋で髪を切ってもらいながら弾を装填しようとするこのシーン。

のんびりとした日常の中に、非日常のものを持ち込んでいるのに、周りはあくまでも自然に感じていそうに見えるこのシーンは、アメリカの異常さを際立たせていて、非常に上手いなと感じた。

しかも、これが冒頭に出てくるため、観客は一気にマイケル・ムーアの世界に引き込まれる。

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マリリン・マンソンと向かい合って座り、マリリン・マンソンがマイケル・ムーアが座るソファの肘掛けに足を乗せながら(ここが大事!)力説するこのシーンも、二人の意見が合い、リラックスして話しているように思わせる効果が強いと感じた。

 
この監督の作品は、「華氏911」など他のものも是非とも見てみたい。

@Amazon Prime Video

製作総指揮:ウォルフラム・ティッチー
製作:チャールズ・ビショップ / ジム・ザーネッキ / マイケル・ドノバン / キャスリーン・グリン / マイケル・ムーア
監督・脚本:マイケル・ムーア
撮影:ブライアン・ダニッツ / マイケル・マクドノー
音楽:ジェフ・ギブス
出演:マイケル・ムーア / マリリン・マンソン / ディック・クラーク / チャールトン・ヘストン / マット・ストーン