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女性の友人からの借り物。

ひょんなことから主人公が超能力を身につけ、それに振り回されていくというストーリーの構図は決して珍しくはない。「ドラえもん」も大きい括りではこれに近いと言えよう。

ただこの映画では、ストーリーの肉付けの仕方に様々な工夫が施されており、そのバランスが悪くないなという印象。

 
例えば、主役のアンドリュー(デイン・デハーン)はオタクっぽく、力を得る前から日常の多くの場面をビデオカメラで撮影して残すという行動をとっているが、力を手にした後もそれは続き、その自ら撮影した映像の多くを、実際に観客も目にしていく。

これだけだとさほど変わった設定ではないが、超能力で空中にカメラを浮かせて撮影させたりもするので、強い臨場感に加えて、通常の手持ちの撮影映像とは異なる世界が作り出されており、なんとも不思議な気分にさせられるのだ。

主役以外に二人の友人、マット(アレックス・ラッセル)とスティーブ(マイケル・B・ジョーダン)を配置し、二人と主人公の関係性を変化させたり、父親とアンドリューの決してうまくはいってない関係性にフィーチャーしたり、力を得たことでアンドリューの人間性がむき出しになったりと、人間の見せ方も悪くない。

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そのほか、超能力を試す場面でも子どもらしさと大胆さが共存していてドキっとさせられたり、最初にマットが空を飛ぶのにチャレンジするも失敗する様のコミカルさだったり、雲の上での高速移動や長い距離でのキャッチボールの迫力だったり、そして、後半怒涛のように押し寄せるアクションの派手さ(カメラワークも独特)などなど、ディテイルへのこだわりはひしひしと感じられた。

尺が85分前後と短いなかに見どころ多数で、飽きさせない。

 
なかでも、自分が一番ワクワクしたのは、雲の合間を高速で飛ぶシーン。
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この浮遊感がたまらない。

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アメフトのボールでのキャッチボールも、アメリカの男子ではあるあるの発想だろう。国は違えど、同じ男子としていたく共感。

空で遊んでいる時に、危うく飛行機と衝突しそうになり、命からがら地上に戻ってくる三人。その後、興奮状態にある三人が、カメラに向かって「I can fly」と何度も叫ぶ姿が強く頭に残る。

この三人の関係性はわかりやすく割り切れるものではないが、マットとスティーブがお調子ものではあるが良い奴だったことで、この映画の品位が保たれているのは間違いない。湖に飛び込んでドライバーを助けるスティーブ。アンドリューを気遣うマット。アンドリューの遺志を継いで、マットが冬のチベットの地に立ち、カメラに向かって話しかけるエンディングも落ち着きを与えてくれた。

とはいえ、彼らがじゃれあう際の距離の近さというか、暑苦しさはアメリカならではだろうか。ちょいちょい軽い違和感も与えてくれる三人だった。

 
ひっこみ思案だったアンドリューも、スティーブの助けを得て、学校の「TALENT SHOW」でマジック(という名の超能力)を披露し、一躍学校の人気者となる。
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タレントショーの後のパーティでモテモテの絶頂期にあるアンドリュー。となりの赤いヘアーはモニカ(アンナ・ウッド)。

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ビデオカメラを浮かせて自分らを撮影させることで、不思議な感覚を観ている側にもたらしている。

 
家族とアンドリューの関係性も見どころの一つ。

呼吸器系の病を患っている母親。その母から、冒頭に近いところで、”I’m strong”と私に言ってくれとアンドリューが頼まれ、それに応えるシーンがある。そんなに長い会話ではなかったが、二人の気持ちが伝わってくる良いシーンだった。
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朝ドアを開けなかったことに立腹して怒鳴り込んでくる父親。父親とアンドリューとの関係性が、アンドリューの性格に大きく影響している。

 
と、映像の良さに加え、よく練られているストーリーと、良いことづくめそうな本作。

それでも、高い評価点を自分が与えられないのは、好みの問題だ。歳のせいもあるだろう。高校生(しかも海外)のストーリーへの共感力が落ちている。これはどうしようもない。

製作総指揮: ジェームズ・ドッドソン
製作: アダム・シュローダー / ジョン・デイヴィス
監督: ジョシュ・トランク
脚本: マックス・ランディス
原案: マックス・ランディス / ジョシュ・トランク
撮影: マシュー・ジェンセン
美術: スティーブン・アルトマン
衣装: ディアナ・シリアーズ
出演: デイン・デハーン(Andrew Detmer) / アレックス・ラッセル(Matt Garetty) / マイケル・B・ジョーダン(Steve Montgomery) / アシュリー・ヒンショウ(Casey Letter) / マイケル・ケリー(Richard Detmer, Dad) / Bo Petersen(Karen Detmer, Mom) / アンナ・ウッド(Monica) / ルディ・マルコム(Wayne) / Crystal-Donna Roberts(Samantha, a girl to tell Andrew creepy)
編集: エリオット・グリーンバーグ
製作会社: デイヴィス・エンターテインメント
配給: 20世紀フォックス
公開: 2012年2月3日(米)、2013年9月27日(日)
上映時間: 83分
製作費: $12,000,000
興行収入: $126,636,097
 
@BD