confessionofmurder

先月観た『カンナさん大成功です!』で、韓国の恋愛アニメっぽい趣向の作品はさすがに懲りたが、同じ韓国ものでも、シリアスサスペンス系には依然として高い期待を抱いていることに変わりはない。

で、本作。

最近、日本において、藤原竜也主演で映画化された(『22年目の告白 私が殺人犯です』)こともあり、韓国で同じ原作から映画化された本作にも注目が集まっていた。

前半。
オープニングから、光量少なめな映像の中、夜の街での刑事チェ・ヒョング(チョン・ジェヨン)と犯人の追いかけっこ。
そして、客がそれなりに入っているレストランでの乱闘。

この数分間。緊張感高く、一気に画面に惹き込まれる。
心の中で、「これこれ!これを見たかったの!」と叫びつつテンションも上がる。

タフで運動神経も良さそうなマスク姿の犯人をヒョングはとり逃し、代わりに口にナイフで深い傷を残される。
犯人からすればたやすく殺せたが、敢えてとどめを刺さず、ヒョングは生かされる。

この思わせぶりな犯人の行動も良い。

そして、15年が経ち、時効が成立し、自分が犯人だったと告白しつつその犯罪についての本を上梓するというイ・ドゥソク(パク・シフ)が現れる。

ここからしばらくは、ドゥソクがグイグイ引っ張っていく。
あの作られた笑顔。そして、声の低さがいい。

いやぁ、ここまでは最高なんだ。
裏を返すと、自分的にはこのあたりがピークだった。

「殺人の告白」のあらすじ

1990年、女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生。捜査を担当する刑事のチェ・ヒョングは、あと一歩のところで犯人を捕り逃したうえ、ナイフで顔に深い切り傷をつけられる。それから15年、時効が成立して間もなく、連続殺人事件の犯人だと名乗り出たイ・ドゥソクという男が、自分の犯した殺人について詳細に記した告白本を出版。その衝撃的な内容と甘いルックスで、ドゥソクは一躍時の人となる。ヒョングは詐欺罪での立件を模索するが、うまく進まずに怒りを募らせる。一方、犯人への復讐を誓う被害者の遺族たちは、ドゥソクの誘拐を計画し、行動に出るが…。

自分好みのミステリーサスペンスとの出会いの予感にワクワクドキドキしていた自分の頭は、意図不明なカーアクションと、ボウガン姉ちゃんの登場で、この後崩壊する。

あらためて考え見ると、自分が大好きな韓国映画『オールドボーイ』も、変に荒唐無稽さを入れてこようとする嫌いはあった。
例えば、やたら強いサイボーグのようなボウズのおっさんの存在とか。
韓国映画には、そのようなエッセンスが脈々と受け継がれているのだろうか。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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ドゥソクを演じるパク・シフ、ゾクっとする嫌な笑顔を浮かべる天才だ。
彼のファンになってしまいそうなほど。
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これまた見事な表情。(そういえば、留置されてる左側の女子たちは一体何なのか。このあたりにも変な笑いを入れてこようとする。)

パク・シフは、『オールドボーイ』でイ・ウジン役を演じたユ・ジテにどことなく雰囲気が似ている。
韓国において、知性も兼ね備えたヒール役の典型的タイプなのだろうか。

被害者の家族が登場して…ってところで、一人の被害者の兄であり刑期を終え出所してきたドヒョクが立小便している時に遭遇するのが、別の被害者の娘であるガンスク。この子がボウガンの名手で、ドヒョクに襲いかかろうとしていた毒ヘビを撃ち抜く。このシーンから、映像が突然荒唐無稽なものに。
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このボウガン娘の必然性を問いたい。

そして、追い討ちをかけるのが、この映画のレビューを見るとだいたい触れられているカーアクションシーン。

ドゥソクが被害者の家族らに誘拐され、それを刑事のヒョングが取り返そうとする。
ここのカーアクションは、今まで見たことがない種類のもので、物理的に絶対無理だろうという動き。
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一連の映像の中で見てもツッコミどころ満載だが、こうやって静止画に切り出すと違和感はさらに際立つ。
どんな運動神経と体の機能を持った人間なんだ、お前らは!
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「おい!おい!おい!おい!」と思わず声を上げてしまうシーン。
子ども向けの特撮映画でも非現実的過ぎてやらなそうな内容。

しかもアクションメインの映画ではないはずなのに、このシーンが結構長い。
ゆえに、ここでやや冷めてしまう。

真犯人を名乗るJ(チョン・ヘギュン)が出て来て、ドゥソクはTVカメラの前で自分は殺人犯ではないことを告白。実は本を書いていたのはヒョングなのだ。
このプロットは悪くない。
恋人が犯人に殺された復讐もあり、おびき出すために考えた作戦。
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ドゥソクとまったく違うタイプの、気持ち悪さを発するJ(チョン・ヘギュン)。見事なキャスティングだ。

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チェ・ヒョング刑事を演じるチョン・ジェヨンも良い面構えはしている。ただ、さすがにドゥソクとヘギョンの2人に食われ気味ではあった。
ナイフの傷がはっきりと残っていることで、存在感という面で2人とのバランスを取っているとも読める。

もう一人、印象に残ったのは、被害者スヨンの母を演じるキム・ヨンエ。
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悲壮感漂うサスペンス顔は、うってつけな役柄だった。他の作品でも観たいと思わせる顔力を持っている。

ラスト、再びカーアクションシーンへ。
ここも激しめ。
本当にカーアクション好きなんだな、この監督。

骨子のストーリーは、星3.5クラスの、味がある韓国らしい良質なサスペンス。
しかし、上でも書いたとおり、娘がボウガンがうますぎるところ、カーアクションが過剰なところ等々、看過しがたいマイナス点も多く、全体を通しての星は3.0どまりとなった。

残念だ。

 
最後に、バージョン違いのチラシ・DVDパッケージデザインを紹介。
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日本語版。パク・シフ一人のほうが、不気味な印象は強くなる。

原題: Naega Sarinbeomida
英題: Confession of Murder
製作: ユ・ジョンフン、イ・ヨンヒ
監督: チョン・ビョンギル
脚本: チョン・ビョンギル
撮影: キム・ギテ、チョン・ヨンゴン
美術: ヤン・ホンサム
音楽: キム・ウグン
衣装: チェ・ギョンファ
出演: チョン・ジェヨン(チェ・ヒョング刑事)、チョン・ヘギュン(J)、パク・シフ(イ・ドゥソク)、ミン・ジア(スヨン、ヒョングの昔の恋人)、キム・ヨンエ(ハン・ジス、遺族会リーダー、スヨンの母)、オ・ヨン(ドヒョク、15年前の連続殺人事件で母を殺された、出所した男)、キム・ジョング(タンクン、15年前の連続殺人事件で妻を殺された夫)、チョ・ウンジ(ガンスク、15年前の連続殺人事件で母を殺された、ボウガンの使い手、タンクンの娘)、パク・ウン、チェ・ウォニョン(テソク、スヨンの兄弟)、ナム・ジョンヒ、チャン・グァン(TV局長)、リュ・ジェスン(チョン・ヒョンシク、遺族の一人。男)
上映時間: 119分
 
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