Michael Pena and Ashlyn Sanchez
LAが舞台のヒューマンストーリー。

強烈に意識させられるのは、アメリカの大都会は人種のるつぼだということ。

開始直後から人種差別のオンパレード
白人黒人間の差別が強くはあるが、アジア人、ヒスパニック、アラブ人に対しての差別も忘れていない。

日々何かと戦っている人々
ぶつかり合って、怒って、心をすり減らし、それが他の人に伝染していく。
映画的に見れば大きな事件が起こるわけではなく、いつ終わるともない日常の諍いや懸念事がいくつも現れる。
だからこそ、途中、観ていて暗澹たる気持ちにもなった。

 
音楽の雰囲気や、複数のストーリーが並行して進みそれぞれ少しずつ関連しているあたり、『マグノリア』に似たものを感じる。
(実際は「マグノリア」とは製作陣は関係なく、監督のポール・ハギスはイーストウッドの「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」「ミリオン・ダラー・ベイビー」で製作や脚本に関わっている人)

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強い人種差別主義者の警官役としてマット・ディロンがいる。高級車である最新型のリンカーンのナビゲーターに乗る黒人夫婦(テレンス・ハワード&タンディ・ニュートン)に、捜査にかこつけて過剰に辱めを与える。
一方で、偶然同じ夫婦の妻が事故で車に閉じ込められた場面に遭遇した時は、危険をかえりみず助け出す。
このキャラクターの描き方に独特のものを感じた。

ちょうど先日読んだ筒井康隆のエッセイにもあったが、小説や芝居の中の登場人物は通常一貫したキャラクターに沿うように作られている。しかし、実際の人間は、状況毎に大きく違って当たり前なのだ。それを、マット・ディロンで思い出した。嫌な役がハマり役で嫌悪感すら抱いていたが、実際目の前にいたら、常にそういうキャラクターなわけはないのだ。

観ている最中から、この映画にはきっとわかりやすいエンディングなんてやってこないんだろうなと思っていたら、案の定その通り。
それぞれのストーリーに区切りらしいものは訪れるが、とりあえずそこで一回切ったといった程度のもの。

明快なハッピーでも明快なアンハッピーでもない。
どちらかというと、マイナスの要素がやや強い余韻を残しての終わり方。
時々良い事もあるが、おおよそ人の人生は辛いものなのかもしれない。

痛感させられたのは、のほほんとした自分の暮らしとのギャップの大きさ。
銃の問題も含めてだが、日本っていい国だなと思わされる。争い事は少ないほうだし、差別も少ないほうだろう。
平和ボケしていると言われればそれまでではあるが。

 
キャストの中で印象に残るのは、、、
Ludacris and Larenz Tateまずはこの二人組。左のリュダクリスの本職がラッパーだとは知らなかった。

Terrence Howardそして、TVプロデューサー役のテレンス・ハワード。目が印象的。

こうして見ると、白人のキャストよりも黒人キャストのほうが味がある役柄が多かったことがわかる。

ただ、唯一白人キャストで記憶に残るのが
Molly_Schafferモリー・シャファーが唯一登場するこのシーン。ドアが壊され強盗に入られたペルシア人の店主(ショーン・トーブ)からの苦情の電話をあしらう彼女の対応といでたちが目を引いた。

 
心理面の描写や、各ストーリーのつながりなど、脚本がやたら凝っていて全般的な構成は悪くない。ただ、やや共感点が低かった。
一つ、大きな救いだったのは、透明のマントに守られている女の子(アシュリン・サンチェス)が傷つかずに済んだこと。これがなかったら、しんどかった。

 
<<追記>>
この映画は、チラシやDVDのパッケージのバージョン違いを数多く作っているのが興味深い。
私が一番好きなのは、上にある、父と娘(マイケル・ペーニャ&アシュリン・サンチェス)のデザイン。

Sandra Bullock, Brendan Fraser and Matt Dillonこちらはマッチョな検事役のブレンダン・フレイザーとその妻サンドラ・ブロック、そしてマット・ディロンをフィーチャー。

Matt Dillon and Thandie Newtonこちらは、マット・ディロンと車から援け出されたタンディ・ニュートン。
日本版はこれと同じデザイン。

Don Cheadle and Ryan Phillippe主要人物6人を並べたデザインもある。中心にいるドン・チーゲルが目を引く。

製作総指揮:マリナ・グラシック / ヤン・ケーベリン / トム・ヌーナン / アンドリュー・レイマー
製作:ドン・チードル / ポール・ハギス / マーク・R・ハリス / ボビー・モレスコ / キャシー・シュルマン / ボブ・ヤーリ
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス / ボビー・モレスコ
原案:ポール・ハギス
撮影:ジェームズ・ミューロー
美術:ローレンス・ベネット
音楽:マーク・アイシャム
衣装:リンダ・M・バス
出演:サンドラ・ブロック / ドン・チードル / マット・ディロン / ジェニファー・エスポジト / ウィリアム・フィクナー / ブレンダン・フレイザー / テレンス・ハワード / クリス・リュダクリス・ブリッジス / タンディ・ニュートン / ライアン・フィリップ / ラレンツ・テイト / マイケル・ペーニャ / ショーン・トーブ / バハー・スーメク / ノーナ・ゲイ / ロレッタ・ディヴァイン / トニー・ダンザ / キース・デイヴィッド / エディー・J・フェルナンデス / ビリー・ギャロ / ダニエル・デイ・キム / ブルース・カービー / ジェイデン・ランド / ジャック・マクジー / ケン・ガリート / アレクシス・リー / アシュリン・サンチェス / モリー・シャファー / マリーナ・サーティス / アーラン・スティール / グレン・タラント / ビバリー・トッド / キャスリーン・ヨーク

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