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Amazon Prime Videoで使われている、カウボーイハットをかぶった主人公のロンが両手を広げているジャケット写真(右のデザインとは異なるもの)があまり気に入らず、しかも古臭く見えたのでやや敬遠していたが、国内外問わず評価の高さに影響されて観ることにした。

 
映画の冒頭から、ロデオでの賭け(初めてこんなものがあることを知った)に興じ、ロデオ会場の片隅でセックスをし、重度のコカイン中毒っぷりの主人公ロン(マシュー・マコノヒー)のダメ人間っぷりを見せつけられる。
「アメリカのいたるところにいそうな、快楽主義者で自分勝手なバカ」、というのが前半部のロンの印象。

しかし、ロンはひょんなことから自分がHIVに感染していることを知る。

時は1985年、HIVはゲイの病気だと一般には考えられ、効果的な薬も登場していない時代。効果があると言われる薬(AZT)も治験は始まっているが、一般に処方することはFDAの許可がおりておらず、できない。
(女医のイヴとロンの会話の中に、プラシーボ薬の話が出てきたのが興味深かった。どれがホンモノのAZTかを伝えることができないという趣旨で。)

そもそもロンは電気技師の職にも就いているし、もともと機転が利き、行動力がある男。
医者に断わられても、病院の職員にお金を握らせて、新薬AZTを手に入れる。

しかしすぐに管理が厳しくなりその手が使えなくなる。その職員が代わりに教えてくれたのは、アメリカを追われメキシコでHIVに効く薬を処方したり治療をしたりしている(元)医師のヴァス(グリフィン・ダン)。

そこでAZTはやめさせられ、別の薬を与えられ、ロンは生き延びる。
さらに、ヴァスから薬を大量に仕入れ、アメリカで売るビジネスを手がける。
しかしFDAの手が伸び、摘発され…というストーリー。

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元気バリバリな時に、いきなり余命30日と言われたら、自分はどう行動できるのかを考えさせられた。
また、ロンが性格や容貌などの点で自分の父親とダブる部分が多く、魅入ってしまった。

最初はロンに魅力を感じなかったが、だんだんその魅力も理解できるようになってくる。明らかに作り手がそういう見せ方をしているからだが。

女医のイヴ(ジェニファー・ガーナー)との関係性、同じくHIV患者でありビジネスパートナーでもあるトランスジェンダーのレイヨン(ジャレッド・レト)との関係性も、くっつき過ぎず、良いバランスのラインを保っているところが良い。

ただし、ストーリーとしてのおしつけがましくなさが良くもあるが、わかりやすい何かを訴えかけてくるわけではないところに、物足りなさも残る。

なお、マシュー・マコノヒーが主演だということは予め知っていたが、観ている間中、ロンとマシュー・マコノヒーがまったく結びつかなかった。そのぐらい、今までのマシュー・マコノヒーとの違いに驚かされる。

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まだ、自分がAIDSだと確信していない、呑気な頃。

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そこから、絶望の底に叩き落され、

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危機を乗り越え、ビジネスマンの顔になる。

今までのマシュー・マコノヒーとのギャップも楽しめるが、この作品の中だけでも、上のとおりロンの変わっていく様には目を見張るものがある。それだけでもこの映画は観る価値があるだろう。

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最後に、日本版のチラシデザインの一つがこちら。このデザインはまだ許せる。
題から映画の内容は想像つかないとは思うが、邦題が変にいじられなくて良かった。
「誰もが元気と勇気をもらえる感動の実話」のキャッチコピーが「あいたたた……」という感じだが。

それにしても、この映画は舞台が1980年代だからというのもあるが、2013年に製作されたようには到底感じられない、懐かしさのような古臭さのようなものが漂っている不思議な映画である。

製作総指揮: デヴィッド・ブシェル / ネイサン・ロス / トニー・ノタルジャコーモ / ジョー・ニューコム / ニコラス・シャルティエ / ゼフ・フォアマン / ローガン・レヴィ / ホリー・ウィーズマ / カシアン・エルウェス
製作: ロビー・ブレンナー / レイチェル・ウィンター
監督: ジャン・マルク・ヴァレ
脚本: クレイグ・ボーテン / メリッサ・ウォーラック
撮影: イヴ・ベランジェ
美術: ジョン・ペイノ
衣装: カート・アンド・バート
特撮: マーク・コート
出演: マシュー・マコノヒー(Ron Woodroof) / ジャレッド・レト(Rayon) / ジェニファー・ガーナー(Eve, Dr) / デニス・オヘア(Dr. Sevard) / スティーヴ・ザーン(Tucker、警察官) / グリフィン・ダン(Dr. Vass、in Mexico) / マイケル・オニール(Richard Barkley、FDA) / ダラス・ロバーツ(David Wayne、弁護士) / ケヴィン・ランキン(T.J.、Ronの友人だったがHIV感染を知り離れる) / ドナ・デュプランティエ(Nurse Frazin)
/ デニーン・タイラー(Denise、バイヤーズクラブ職員) / J・D・エバーモア(Clint) / ブラッドフォード・コックス(Sunny、Rayonの恋人) / ジェーン・マクニール(Francine Suskind) / ジェームズ・デュモン(Rayon’s Father) / ローレンス・ターナ(Larry) / アダム・ダン(Neddie Jay)
製作会社: Truth Entertainment、Voltage Pictures
配給: フォーカス・フィーチャーズ(米)、ファインフィルムズ(日)
公開: 2013年9月7日(加、Toronto International Film Festival)、2013年11月1日(米)、2014年2月22日(日)
上映時間: 117分
 
【世間の評価】 ※2016.3.25時点
CinemaScape: 4.0/5.0 (28人)  
Yahoo! 映画: 4.10/5.00 (621人)
IMDb: 8.0/10 (313,464人)
 
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