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仁義なき戦いシリーズを観るのは、1作目の『仁義なき戦い』以来、2本目。
正直言って、1作目はあまり自分の肌には合わず、2作目の本作を観るかどうかも迷った。

しかして、シリーズ中最高傑作との呼び声も高い本作。その評価の高さが納得できる面白さで、観たかいがあった。

前作と異なり、広能を演じる菅原文太は控えめ。
中心にいるのは、村岡組のヒットマン山中正治(北大路欣也)。この山中が非常に魅力的。

そして、村岡組親分の姪で、山中の女となる靖子(梶芽衣子)。
彼女も、時代を超えてチャーミング。

さらに、村岡組の抗争相手、大友組の大友勝利を演じる千葉真一の圧倒的な存在感。

この三人の魅力が、本作を高みへと引き上げている。

「仁義なき戦い 広島死闘編」のあらすじ

昭和27年、広島。傷害事件での3年の懲役を終えたばかりの山中正治は、愚連隊の大友勝利からリンチを受けていたところを村岡組組長の姪、靖子に助けられ、その縁で村岡組に世話になる。やがて対立が激化する村岡組と大友組の渦中にあって、一人前のヒットマンとなる山中。抗争で3人殺害し、無期懲役で刑務所に服役することになる。靖子恋しさに脱獄した山中は暴走し…

狭い家屋内での村岡組と大友組の抗争シーンも、混乱の極みながら、見応えあり。
100分弱の短い尺に、コンパクトにまとめられている良作。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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最初はただの向こう見ずなチンピラ。そこからヒットマンとして場を踏んでいく山中。
信頼している村岡に騙され、罪のない兄貴分を射殺し、恋人も失い、誰を信じていいかわからなくなり、警察に包囲され、自殺する。

豪傑な男という印象はない。
真っ正直な人間で、騙されやすく、青さが残る。
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まっすぐな瞳の山中。
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山中はこの目が良い。

やっちゃんと呼ばれ愛されている靖子。村岡組組長の姪にして戦争未亡人。
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うつむき気味の靖子。

この魅力に完全にノックアウトされた。
彼女の、当時の代表作である『女囚シリーズ』も観たくなった。
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儚くも爽やかなカップル、山中と靖子。

登場人物のなかで、強烈な印象を放った一人が、大友勝利を演じる千葉真一。
グラサン姿も似合うし、長身の身体で黒い木刀(?)を振り回す姿には迫力がみなぎる。
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千葉真一が怪演する大友。

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仁義なき戦いシリーズ全体の主役でありながら、本作ではちょいと脇に寄っている広能。とはいえ、控えめながらも雰囲気作りにはしっかりと寄与している文太さん。

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自身の腕時計をその場で外して山中にプレゼントする村岡組組長(名和宏)。こいつに人生を振り回された山中。右端の高梨(小池朝雄)を射殺することになる。

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両手首をロープで縛られて海をモーターボートで引き擦りまわされ、瀕死の状態で吊るされたまま、大友らに銃の的にされ無惨に殺される川谷拓三。その死にざま、しかと目に焼きつけた。

狭い家屋内での村岡組と大友組の抗争シーンは、混乱の極みながら、見応えあり。
先日観た高倉健さん主演の『昭和残侠伝 死んで貰います』では、屋内での戦いのシーンもスペースが確保されておりスッキリしていたが、狭い日本家屋内にヤクザの連中がわらわらといたら、こうなるだろうというカオスを見事に映像化している。
そりゃあ、襖は投げるわな、と。

 
あらためて本作を観ていて感じたのは、広能や山中は別として、他の連中はどんなに大口を叩こうと、基本群れて闘い、人間的に惹かれる魅力が乏しい。
そこに、私がヤクザ映画がどうも好きになれない理由がある気がした。
本作が私に刺さった大きな要因としては、山中が群れずに動く人物だったことがある。

なお、余談だが、本作を含め私が直近で観た3本の作品は1965年(昭和40年)~1973年(昭和48年)の間に公開されたものだが、3作ともに出演していた役者が一人いた。
それが加藤嘉だ。彼は、この3作以外でも、1964年公開の『眠狂四郎勝負』、1979年公開の『復讐するは我にあり』でも目にしており、調べてみると凄まじい数の作品に出演している。どちらかというと、顔つきには特徴がはっきりとあり、クセがあるように思えるのだが、最近観た3作ではいずれも押し出しが強くない。それでこそ、多くの監督に信頼されているのだろう。

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もう1つ余談として、”原爆スラム”と呼ばれるエリアが存在したことを初めて知った。

 
最後に、バージョン違いのチラシ・DVDパッケージデザインを紹介。
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英題: Battles Without Honor and Humanity: Deathmatch in Hiroshima
英題(DVD BOX): The Yakuza Papers, Vol. 2: Deadly Fight in Hiroshima
製作: 日下部五朗
監督: 深作欣二
脚本: 笠原和夫
原作: 飯干晃一
撮影: 吉田貞次
美術: 吉村晟
音楽: 津島利章
衣装: 松田孝
出演: 菅原文太(広能昌三、広能組組長)、北大路欣也(山中正治、村岡組若衆)、千葉真一(大友勝利、大友連合会を破門され時森ののれんを継いで博徒大友組を結成)、梶芽衣子(上原靖子、村岡組組長の姪、戦争未亡人)、名和宏(村岡常夫、村岡組組長)、 小池朝雄(高梨国松、村岡組長の舎弟、靖子が組長の指図で再婚させられそうになっていることを刑務所で山中に伝える、後に山中に射殺される)、成田三樹夫(松永弘、村岡組若衆頭、高梨が言った事は正しかったと山中に伝える)、川谷拓三(村岡組若衆)、山城新伍(村岡組若衆)、前田吟(島田幸一、広能組若衆、時森を射殺、自首)、金子信雄(山守組組長)、木村俊恵(山守義雄の妻、スクラップ場にいる広能を高級車で訪ねてくる)、加藤嘉(大友長次、テキヤ大友連合会会長、大友勝利の父)、室田日出男(中原敬助、大友組若衆、村岡組の松永へ和解を申し入れるが、松永の指示により村岡組組員に車内で刺殺される)、八名信夫(大友組若衆)、小松方正(広島市会議員。公安委員。競輪場の理事)、北村英三(広島県警)、志賀勝(大友組若衆。山中に襲われ死亡)、野口貴史(広能組若衆。島田とともに広能のための肉を調達)、汐路章(お灸をする坊さん)、遠藤辰雄(時森勘市、大友組の島田に射殺される)、堀正夫(景浦辰次郎、広島の大親分、大友組組員により電車内で刺殺)、鈴木康弘(和田、九州和田組組長。山中に射殺される)、高木亜紀(高梨の女)
編集: 宮本信太郎
製作会社: 東映
配給: 東映
公開: 1973年4月28日
上映時間: 100分
 
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