fannyandalexander

初ベルイマン。
借りた時には、5時間を超す作品とはつゆ知らず。

舞台は20世紀初頭のスウェーデン、大学街のウプサラ。厳かな文学的作品といった趣きで、冒頭から眠気を誘う

裕福なブルジョワ、エークダール一族のクリスマスのお祝いのシーンから始まる。
この家族が特にそうなのか、そういう時代だったのかはわからないが、性に奔放な振る舞いがかなり多い。メイドに手を出す次男グスタフ(ヤール・キューレ)がその筆頭だが、メイド(ペルニラ・アウグスト)の部屋から(屋敷内で)朝帰りして、その事を知っている妻アルマ(モナ・マルム)とすぐに事を致すなど、風紀の乱れや夫婦関係の危うさなどが、全体的には厳かな雰囲気の作品にちょいちょい差し込まれる不思議な作品ではある。

グスタフとその愛人たるメイドの他、長男のカール(ボリエ・アールステット)、司教(ヤン・マルムシェー)など、一部の登場人物の感情の揺れが激しい。

子どもたちに対して、大人たちは押さえつけようとしつつも、それを徹底できない弱さも見せている。
しきりと子どもたちを早く寝かそうとするが、それは子どもを思ってのことなのか、自分たちの自由な時間を作るためなのか(まあ両方なのだろうが)。

 - ad -

「ファニーとアレクサンドル」というタイトルも不思議で、子どもである彼らの視点から観られるシーンが多くはあるが、必ずしも彼らが話の中心にいるわけではないし、彼らが知らないシーンもたくさん登場する。また、タイトルに二人の名前があるものの、実際はほとんどが、妹よりも繊細な兄アレクサンドルのストーリーである。そこにも独特なセンスを感じる。

子ども視点が多いことで、子どもの妄想の膨らみに合わせて、夢のように朧げでふわふわとしたストーリー展開の箇所もちらほら。ただ、個人的には大人の妄想が語られるストーリーよりも、本作のような子どもの妄想のほうが入っていきやすかった。

fannyandalexander_01
親子3人での添い寝シーン。ここはグっと来る。

上の写真にもある、ファニーとアレクサンドルの母であるエミリー(エバ・フレーリング)は美しく魅力的だが、金髪にして眉が黒々と強く主張しているギャップに何度も意表を突かれてしまった。周りには同じような事をしている登場人物はいなかったが、当時の流行りだったのだろうか。(一時期のマドンナを思い出した)

fannyandalexander_02
一族の長であるヘレナ(グン・ボールグレーン)。
国を代表する元役者という設定だが、静かながらも彼女の存在感は際立っていた。
なお、この家は一族全体が暮らせるほどの大きさで、その内装の豪華さも見るべきポイントの一つだった。

fannyandalexander_03
一族と家政婦らが一堂に会す食事シーン。壮観である。

以下はスペイン版のチラシデザイン。
fannyandalexander_sp
有名な二人のショット。ファニーの目の強さにハっとさせられる。
ファニーは作中では多くを語らないが、その表情が物語っているシーンは多かった。

 
本作の特徴として、宗教色が強いということもあってか、映像や雰囲気で伝えるのではなく、言葉で伝えるシーンが非常に多い。それは舞台の後のスピーチだったり、クリスマス晩餐中のスピーチだったり、子どもに聞かせるストーリーだったりするが、どれも長く、(翻訳の問題かもしれないが)残念ながらどれも面白くはなかった。

なお、こちらも宗教と関係があるのかないのか、司教の屋敷では病気の叔母がほぼ隔離されているような状況にあったり、イサックの屋敷では施錠された部屋にイスマイル(男の役だが、役者は思ったとおり女性だった)が閉じ込められていたり、アレクサンドルとファニーは司教の屋敷では部屋が施錠されていたり、お仕置きとして屋根裏部屋に閉じ込められたりと、問題があるものには「鍵をかけて閉じ込める」という嗜好性が随所に伺える作品でもあった。

20世紀初頭のスウェーデンの裕福な一族がどういうものなのかという知識欲は満たされたものの、登場人物に共感しづらく、最後まで作品と自分との距離は空いたままだった。

原題: Fanny och Alexander
英題: Fanny and Alexander
製作: ヨーン・ドーネル
監督: イングマール・ベルイマン
脚本: イングマール・ベルイマン
撮影: スヴェン・ニクヴィスト
美術: スザンヌ・リングヘイム
音楽: ダニエル・ベル / フランス・ハルメルソン / マリアンヌ・ヤコブス
衣装: マリク・ヴォス
出演: バッティル・ギューヴェ(Alexander Ekdahl) / ペルニラ・アルヴィーン(Fanny) / エバ・フレーリング(Emilie) / アラン・エドバル(Oscar、長男) / グン・ボールグレーン(Helena、母) / ヤール・キューレ(Gustav) / モナ・マルム(Alma, Gustav’s wife) / ボリエ・アールステット(Carl) / クリスティナ・ショリン(Lydia, Carl’s wife) / ペルニラ・アウグスト(Maj, Gustav’s mistress) / ヤン・マルムシェー(Bishop Edvard Vergerus) / エルランド・ヨセフソン(Isak、Helena’s old friend) / ハリエット・アンデルソン(Justina、司教宅のメイド) / アンジェリカ・ウォールグレン(Eva, Gustav&Alma’s daughter) / Mats Bergman(Aron, Puppet master) / Stina Ekblad(Ismael, Aron’s brother) / アンナ・ベルイマン(Hanna、舞台) / レナ・オリン(Rosa, young nanny) / グンナール・ビョルンストランド(Filip、舞台) / ラース・オウェ・カールズベルイ(Singer, 舞台)
配給: 東宝東和
公開: 1982年12月17日(スウェーデン)、1985年7月6日(日)
上映時間 311分
 
【世間の評価】 ※2016.4.10時点
CinemaScape: 4.4/5.0 (78人)  
Yahoo! 映画: 4.58/5.00 (36人)
IMDb: 8.1/10 (41,895人)
 
@DVD