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レネット(ジョエル・ミケル)が暮らす田舎町で二人が出会って、パリのアパートメントでルームシェアして……という時系列に沿っての4つの話からなる。

大きな「冒険」とまでは言えないが、ささやかでありながら、それでも人の人生をちょっとだけ変える、我々の日常にも溢れている類の出来事にまつわるストーリーである。

ロメール監督作だけあって、相変わらず会話は多いが、場面が4つのストーリーごとにがらっと変わることもあり、会話がそんなに押し付けがましくはない。

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絵を描くレネットは、学校教育と合わず独学で絵も学んできた、ちょっと変わった女の子。登場する絵はいずれもちょっと気になる何かを持っている。

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ミラベル(ジェシカ・フォード)はどちらかというと普通のキャラクターだが、監視員に狙われている常習万引き犯の女性(Yasmine Haury)をよく分からない正義心から助けるなど、行動力もある。負けず嫌いの片鱗はうかがえるが、レネットへ向ける眼差しは優しい。美人で、最初の章の前半だけ薄着で露出多めだったが、ナイスバディ。

上の写真でも、二人の服装の色遣いと、生い茂る草花と、古い納屋が醸し出す雰囲気により、風情が感じられる。

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日の出前の1分間だけに訪れる、動物たちも泣くのをやめる静寂の「青の時間」。真偽はわからないが、田舎だと本当にこういう時間があるのかもしれないと思わされた。
(余談だが、都会だと車やら人やらで静寂は訪れないのだろうかとふと考えた際に、日本の写真家が撮った写真集「TOKYO NOBODY」をふと思い出した。)

レネットは静寂が怖いと言う。その場に身を置いてみないとわからないが、仮に自分は怖いと感じなかったとしても、想像するだけでゾクゾクする感覚はある。

田舎を案内されるミラベルの素直で好奇心に満ちた反応が光る。

4話の中で、「青の時間」の印象が際立って強い。
それはひとえに、映像の美しさによるものだろう。
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どうってことのないロケーションなのに、外で食卓を囲む二人が絵になる。
海辺のポーリーヌ」でもそうだったが、ロメールは自然の中での映像がとりわけ美しい。

 
「カフェのボーイ」、「物乞い、万引、ペテン師の女」、「絵の販売」の三つは、二人とそれ以外の人との関わりがあり、それも多少感情的になる要素が含まれている。

それを通して二人の性格がわかるように作られている。人を信じやすく義理堅いレネット、そんなレネットを冷静に見ている面もありつつレネットに影響もされるミラベル。

大きな事件は起きないが、二人を知ることができるという不思議な映画。
決して嫌いではない。が、わかりやすい魅力があるわけではないので、人に勧めにくい映画でもある。

なぜ、画廊の男(ファブリス・ルキーニ)がミラベルの話にうまく乗せられてレネットの絵を即金2000フランで買ったのかは理解できなかった。

とりあえず、ここ一カ月ほどでロメールを三作観て、ひとまず満足した。

原題: Quatre aventures de Reinette et Mirabelle
英題: Four Adventures of Reinette and Mirabelle
製作: エリック・ロメール
監督: エリック・ロメール
脚本: エリック・ロメール
撮影: ソフィー・マンティニュー
音楽: ロナン・ジレ
出演: ジョエル・ミケル(Reinette) / ジェシカ・フォード(Mirabelle) / マリー・リヴィエール(swindler at a station) / ベアトリス・ロマン(inspector at a store) / ファブリス・ルキーニ(art dealer) / Philippe Laudenbach(Le garçon de café) / Yasmine Haury(shoplifter)
 
【世間の評価】 ※2016.6.5時点
CinemaScape: 3.9/5.0 (42人)  
Yahoo! 映画: 4.29/5.00 (7人)
IMDb: 7.9/10 (1,183人)
 
@角川シネマ有楽町