hush

「ぐるりのこと」以来に接した、橋口亮輔の監督作品。もともと気になっていた監督だったが、「ぐるりのこと」でさらにそれが強くなっていたので、本作への期待も高かった。

 
ストーリーは、ゲイカップルである勝裕(田辺誠一)と直也(高橋和也)、そして流されるままに生きている歯科技工士の朝子(片岡礼子)を中心に進んでいく。

前半の、あまりの展開の早さには唖然。

例えば、勝裕と直也の出会いのシーンは一瞬で、どうやってつき合うようになったかについては触れられない。これは、二人の単純な恋愛映画ではないからだろう。

そして、次から次へと普通じゃない人が大挙して登場し、こちらの心は乱される。

障害持ちでメンヘラ気味の勝裕の同僚(つぐみ)やら、朝子をレイプまがいに犯す兄ちゃん(沢木哲)やら、ブリーディングに余念がないペットショップ&トリマーの店長(斉藤洋介)と客のオバハン(深浦加奈子)やら、わざとらしく五月蝿いゲイの兄ちゃん(山中聡)やら、おせっかいでよく喋る直也の母親(冨士眞奈美)やら。

普通じゃなさの筆頭株は、子どもを作ろうとほぼ初対面の勝裕に迫る朝子だろうが、微妙なバランスで成り立っているゲイカップルの二人を交えての三つ巴の図は悪くない。

以下、ややネタバレあり。

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変な映画ではあるが、登場人物が総じて変なので、被害者がおらず収まりはいい。

勝裕の兄(光石研)が死ぬ必要があるのかなとは思うが、そのことで兄嫁(秋野暢子)がさっさと家を売ってその土地を離れてしまっているというシチュエーションができ、彼女が被害者になっていないという構図を作りたかったということだろうか。

ゲイカップルへの優しい眼差しは橋口監督ならではなのだろう。

感情のアップダウンがありながらも、最終的のおさまりの良さは「ぐるりのこと」にも通じるものがあった。さすがの手腕。今回も裏切られなかった。
たかはしかずや
それにしても、高橋和也(上の写真)は、元男闘呼組だったということが信じられないくらい、役者になっている。
彼の眼差しや口調などはゲイそのもの(もちろん実際のゲイの人はよくは知らないが)で、本作を振り返ってみると彼の存在が非常に重要な役割を果たしていたように思える。

なお、題の「Hush!」とは、「しっ!静かに!」の意。

最後に、以下が英語版のDVDジャケット。
hush_en
これは、可もなく、不可もなくというところ。

製作: 山上徹二郎
監督: 橋口亮輔
脚本: 橋口亮輔
原作: 橋口亮輔
撮影: 上野彰吾
美術: 小川富美夫
音楽: ボビー・マクファーリン
主題歌: ボビー・マクファーリン、ヨーヨー・マ
出演: 田辺誠一 / 片岡礼子 / 高橋和也 / 秋野暢子 / 冨士真奈美 / 光石研 / つぐみ / 斉藤洋介(ペットショップ店長) / 深浦加奈子(ペットショップ客) / 沢木哲(朝子につきまとう若者) / 寺田農(朝子の父、タクシー運転手) / 岩松了(産婦人科医) / 佐藤直子(ペットショップ店員) / 山中聡(直也のゲイ友達) / 佐藤二朗(勝裕の同僚) / 加瀬亮(そば屋の失礼な店員) / 飯沼誠司(妊婦向けの水中エアロビ講師) / 猪野学(ゲイバーマスター)
配給: シグロ
公開: 2001年11月24日 (長崎)、2002年4月27日(日)
上映時間: 135分
 
【世間の評価】 ※2016.4.6時点
CinemaScape: 4.0/5.0 (183人)  
Yahoo! 映画: 4.22/5.00 (114人)
IMDb: 6.8/10 (538人)
 
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