inglouriousbasterds

敬愛してやまないタランティーノ。この作品は、『ヘイトフル・エイト』と違って、タランティーノ好きの友達も勧めていたので楽しみにしていた。

 
確かに、グググッと惹きつけられた。

最近観た中では、時間を感じさせられなかった映画ナンバーワンだ。
2時間半があっという間。途中トイレに行きたかったことすら忘れさせられてしまった。

しかし。観終わったあとの胸糞の悪さもなかなか強烈。笑えるっちゃ笑えるんだが、ブラックすぎる。

そういう意味では、『ジャンゴ』のほうが自分は好み。『ヘイトフル・エイト』でも昔ほどのキレは感じなかったが、本作よりは心理的なドキドキ感があって楽しめた。

そう、この映画は、あまり心理的にドキドキしないのだ。

以下、ネタバレも含めて、細部を振り返ってみよう。

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皮を剥いだり、バットで滅多打ちにしたり、ナイフで額に卍模様をつけたり、タラちゃんやりたい放題。

ラストシーンでも、ぜったいひと悶着あるだろうなとプンプン臭わせておいて、案の定。。。

全般的に、ビジュアルのインパクトは十分あった。
しかし、ブラックコメディ要素をそれなりに盛り込んでいる(らしい)こともあって、心理的な驚きは少なかった。
思い返すと面白かったシーンはあるが、観ながら笑う心境には到らず。
日本語で観ているからだろうか。英語のネイティブだと受け取り方はかなり違う気はする。

映画館が燃え上がり、ブラピの部下二人の乱射、そしてダイナマイトの爆発ってのも、ショシャーナの高笑いが映し出されたスクリーンが燃えていくのも、ショシャーナとドイツの英雄フレデリック(ダニエル・ブリュール)が撃ち合って死んでしまうのも、いずれもなんだかピリっとしない。

特定映像のタランティーノとブラッド・ピットへのインタビューでも触れられていたが、英語だけではなく、フランス語、ドイツ語、そして若干のイタリア語まで登場するのは、リアルさを追求しているという意味でも、当時の空気を伝えているという意味でも、興味深くはあった。しかし、当然ながらそれで映画自体が面白くなるわけではない。

 
役者陣には見るべきところは多かった。

主役の、ブラピ演じるアルド・レイン中尉はなかなか好印象。変な訛りも板についていたし、楽しんで演じているのが伝わってくる。
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解放するナチス兵の額にナイフで卍と傷をつけて見入る、アルドとThe Bear Jewと恐れられるドニー(イーライ・ロス)。アルドは口元が印象に残る。

出色のキャラクターはランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)。まさに適役。いやらしさがぷんぷん漂ってて場の空気をがっちり掴んでいた。
冒頭の、ユダヤ人をかくまっている家で主人に語りかけるシーン。偽物だと知りながら女優のハマーシュマルク(ダイアン・クルーガー)やアルドらに話しかけるシーン、などなど印象に残るシーンは多い。
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もっとも彼のキモさが現れている秀逸なシーンは、映画館の主人であるショシャーナ(メラニー・ロラン)とシュトゥルーデル(洋菓子の一種)を食べながら話すシーン。これは演出もあるだろうが、食べる音をさせながら喋る姿が粘着質で気持ち悪く、脳裏に焼き付いている。一方で、つまらなそうに無作法に食べるショシャーナの姿も面白く映った。

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アルドを捕えて、ご満悦なランダ大佐。彼を見ていると香川照之を思い出す。

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足に銃弾を撃ち込まれたハマーシュマルクの銃創に指を突っ込むアルド。この辺りもタランティーノっぽい。

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バレるに決まっているクオリティの低い偽イタリアンっぷり。ここは軽くドキドキしながら軽くクスっと笑えるシーン。

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大きく目立つ役柄ではなかったが、クールな美しさが光っていた通訳のフランチェスカ(ジュリー・ドレフュス)。この衣装もナイス。劇場のキャパシティなどについてショシャーナとゲッベルスの間の会話を通訳する際の、彼女の横柄な感じがたまらない。

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第一章は、ランダの静かな迫力と、農家の主である彼(ドゥニ・メノーシェ)の表情で作られていた。見事。

 
最後に、別バージョンのDVDパッケージを紹介。
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日本ではこちらのほうが馴染みがありそう。

 
<<追記>>
それにしても、BDの特典映像に入っている、ブラピとタランティーノへのインタビューの長さには驚いた。二人の話も面白かったが、タランティーノが嬉しそうによく喋る姿を見ていると愛おしくなった。本当に映画好きなんだなということが伝わってくる。必見です。

製作総指揮: ロイド・フィリップス / エリカ・スタインバーグ / ボブ・ワインスタイン / ハーヴェイ・ワインスタイン
製作: ローレンス・ベンダー
監督: クエンティン・タランティーノ
脚本: クエンティン・タランティーノ
撮影: ロバート・リチャードソン
美術: デヴィッド・ワスコ
衣装: アンナ・B・シェパード
特撮: ゲルト・フォイヒター / ウリ・ネフツァー / ヴィクター・マラー
出演: ブラッド・ピット(Aldo Raine) / メラニー・ロラン(Shosanna, Emmanuelle Mimieux) / クリストフ・ヴァルツ(Hans Landa, the Jew hunter) / イーライ・ロス(Donny Donowitz, The Bear Jew) / ミヒャエル・ファスベンダー(Archie Hicox, English guy, used to be a film critic, shot dead at La Louisiane tavern due to his wrong gesture) / ダイアン・クルーガー(Bridget von Hammersmark, actress) / ダニエル・ブリュール(Fredrick Zoller, German war hero) / ティル・シュヴァイガー(Hugo Stiglitz, was about to be executed due to killing of many Nazis) / ゲデオン・ブルクハート(Wilhelm Wicki, translate into Germany) / ジャッキー・イド(Marcel, black guy) / B・J・ノヴァク(Smithson Utivich, alive with Aldo until the end) / オマー・ドゥーム(Omar Ulmer, pretend silent Italian) / アウグスト・ディール(Gestapo Major Hellstrom, at La Louisiane) / マイク・マイヤーズ(cameo role of General Ed Fenech) / ジュリー・ドレフュス(Francesca Mondino, French interpreter of Joseph Goebbels) / クリスティアン・ベルケル(Proprietor of La Louisiane) / レア・セイドゥー / ケン・ドゥケン / マイケル・バコール / サム・レヴィン / リシャール・サンメル / ルジャー・ピストール / ジルヴェスター・グロート(Joseph Goebbels) / ロッド・テイラー / ボー・スヴェンソン / エンツォ・G・カステラッリ / ドゥニ・メノーシェ(Perrier LaPadite, French farmer that hid the Dreyfuses from the Nazis) / マルティン・ヴトケ(Hitler)
編集: サリー・メンケ
製作会社: スタジオ・バーベルスベルクア / バンド・アパート
配給: ワインスタイン/ユニバーサル(米)、東宝東和(日)
公開: 2009年8月21日(米)、2009年11月20日(日)
上映時間: 153分
 
【世間の評価】 ※2016.11.1時点
CinemaScape: 3.8/5.0 (172人) 
Filmarks: 3.7/5.0 (11,541人) 
Yahoo! 映画: 3.67/5.00 (1,572人)
IMDb: 8.3/10.0 (904,907人)
Rotten Tomatoes(Critics): 7.8/10.0 (306人)
Rotten Tomatoes(Audience): 3.9/5.0 (771,900人)
 
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