kamikazegirls

ちょっと尖った少女マンガの世界を見事に映画化している。

冒頭。「できればわたしは、ロココ時代のおフランスに生まれたかった」という桃子のナレーションで、「お?」と軽く興味を惹かれる。

そして、子ども時代に家族が住んでいた兵庫県の尼崎について、住民の半数がヤンキーか元ヤンキー。生まれたらすぐにジャージを着せられ、着たまま死んでいくジャージ天国で、安いという言葉が大好きだと紹介されるにいたって、これはテンポも良く面白そうだと、一気に映画の世界に惹き込まれる。

「下妻物語」のあらすじ

茨城県下妻市。フリフリのロリータ・ファッションに身を包み周囲から浮いている、高校生の桃子。東京・代官山にある某ロリータファッションブランドに熱を上げる桃子は、片道2時間半の道のりにもめげず、毎週のように通い詰めていた。桃子は服代を稼ぐため、かつて父親が作り家に山積みだった偽物ベルサーチの個人販売を始める。するとある日、特攻服で原チャリをかっ飛ばすレディースの走り屋、イチゴがそれを買いに現われた。どう考えても相容れないキャラクターの二人だが、イチゴは言う「おまえ、その辺のヤンキーより根性あるよ」。出会うはずのないはずの二人が出会ったことで、物語は思わぬ方向に動き出す……。

何はともあれ、桃子を演じる深田恭子の違和感のなさが光る映画だ。まさにハマり役。
土屋アンナがヤンキー役というのは、もともと似合いそうなので驚きは少なかったが、それでも気になる要素が少なかったのは、彼女のうまさなのだろう。

ストーリー的には、桃子とイチゴの友情の話ということになるが、二人の距離が近づいていく過程には、やや短絡的な印象を受けた。

桃子という特異なキャラクターが、大人でも納得させられてしまうほどのしっかりした考え方を持っているのがこの映画の大きな求心力になっており、頼りないところもある桃子をついつい応援したくなってしまう。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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下妻は実在する市だったのか。
本作を見た後に調べて初めて知った。
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内容としては大事なシーンではないが、作品のイメージを作り出すという意味では大きな役割を果たしているショット。
田んぼのあぜ道と牛とフリフリの深田恭子のミスマッチが良い感じ。

フリフリなロリータファッションにして、マイペースを貫く桃子(深田恭子)と、ヤンキーで手は早いが友達思いのイチゴ(土屋アンナ)というキャラクター設定も良い。
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フリフリな深キョンとヤンキー土屋アンナのギャップが見事。
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凄む桃子。良い表情だ。
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修羅場を乗り切り、帰りに原付に2ケツしながら女子高校生らしく邪気なくケラケラ笑い合う二人。青春ですなあ。

桃子の父親はかなりマンガマンガしているキャラクターだが、そこはさすがの宮迫氏の顔芸と雰囲気で見事に演じ切っていた。
母を演じる篠原涼子は関西弁がマイナス。関西人をキャスティングしたほうが良かったのでは。
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お婆ちゃん役に樹木希林。やや癖のある役だったが、希林さんゆえ安心して観れる。深キョンの赤いドレスも目を引く。

桃子の子ども時代を演じる子(福田麻由子)の冷たい視線と語り口もナイス。
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「お金掛けて、エステにも行って、整形とかもして、胸も大きくして、たかのゆりエステティックシンデレラコンテストで優勝して下さい」
ジャスコやベルサーチ、USJもそうだが、固有名詞がバンバン出てくるのも本作の特徴だ。

特にジャスコのディスり具合いには笑わされた。
それを認めたイオングループの懐の深さ。
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ディスられつつもCM代わりとしても使われてそうなショット。
それにしても、八百屋の荒川さんの安定感はハンパない。
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アクの強いパチンコ店長の生瀬勝久と、あまりにアニメな髪型の阿部サダヲ。この髪型はもうちょっと何とかして欲しかったが…

 
音楽は、Tommy heavenly6など、男が思うところの少女趣味っぽい選曲のようにも思えたが、悪くなかった。

作品全体を通して、ロココの世界にもちょっと惹かれた。

製作総指揮: 大里洋吉、近藤邦勝
製作: 石田雄治、平野隆、小椋悟
監督: 中島哲也
脚本: 中島哲也
原作: 嶽本野ばら
撮影: 阿藤正一
美術: 桑島十和子
音楽: 菅野よう子
主題歌:
オープニング「Roller coaster ride→」(Tommy heavenly6)
エンディング 「super “shomin” car」(CECIL)、「タイムマシンにおねがい」(browny circus)、「Hey my friend」(Tommy heavenly6) 
出演: 深田恭子(竜ヶ崎桃子)、土屋アンナ(白百合イチゴ)、宮迫博之(桃子の父)、樹木希林(桃子の祖母)、篠原涼子(桃子の母)、阿部サダヲ(桃の子の母と不倫する産婦人科医、イチゴが惚れる一角獣の龍二、の二役)、岡田義徳(磯部明徳、ロリータ・ファッションショップ「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」の社長)、小池栄子(亜樹美、「舗爾威帝劉」(ポニーテール)の頭)、矢沢心(ミコ、舗爾威帝劉2代目頭)、荒川良々(八百屋、JUSCO好き)、生瀬勝久(パチンコ屋店長)、本田博太郎(桃子の父の組での兄貴分)、福田麻由子(桃子の子ども時代)、入絵加奈子、水野晴郎(本人役)、まちゃまちゃ(舗爾威帝劉のメンバー)、真木よう子(「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」の店員)、スピードワゴン、木村祐一(桃子の父の若かりし日の組の仲間)、三浦香、太田美恵、加藤美月、岩崎征実(声の出演)、前田剛(声の出演)
編集: 遠山千秋
配給: 東宝
公開: 2004年5月13日(仏カンヌ)、2004年5月29日(日)
上映時間: 102分
興行収入: 6.2億円
キャッチコピー: わたし根性ねじまがってまーす。桃子とイチゴの、あまくない友情!?
 
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