オーケストラ!

大人数でのしっかりとした音楽演奏ものは『セッション』以来だろうか。

 
ラストのチャイコフスキーの演奏は確かに痺れる。バイオリンがなんといっても際立っているが、ハーモニー、演者の表情もあいまって、強く訴えかけてくる。演奏の凄さと、音楽、とくにオーケストラ音楽の楽しさが伝わってきて、心が浮き立つ。映画館で観るべきシーンである。

ただ、その盛り上がりに水をさす印象だったのが、フックとなっている”秘密”の部分
なんだかそこが勿体なく感じた。

以下、ネタバレあり。

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骨子となるストーリーはノーマルの範疇。
最後がハッピーエンドになることなんて、観ている人はだいたい予想している。

すったもんだあっても演者は演奏に間に合うし、ソリストとオーケストラとの息も合うし、アンドレイ(アレクセイ・グシュコブ)とアンヌ=マリー(メラニー・ロラン)も演奏を通じてわかりあえるだろうと。

そこに絡んでくるのが、アンヌ=マリーの出生の秘密的なもの。
もちろん本人にとっては出生や親のことが一大事なのはわかるが、もったいぶった上に、その内容なの!?という印象。
証し方も含め、いまいちピンと来ず、醒めてしまった。

ホリジョイの支配人の抵抗もあまりにあっさりしたものだったりと、総じてドキドキ感が弱く、盛り上げ下手な感もあった。

とはいえ、音楽は良い。
それだけで点数は甘くなる。
チャイフコフスキーもあらためてじっくり聴いてみたいと思わせてくれた。

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借り物の楽器や衣装、靴がステージに到着するのを目の当たりにして、途端に嫌気がさしてきたアンヌ=マリー。その気持ちをとどめたVassili(Anghel Gheorghe)の演奏。
アンヌ=マリーも驚いていたが、超絶上手い。

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コンサートシーン。緊張感溢れるショット。

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サーシャ(ドミトリー・ナザロフ)とイヴァン(ヴァレリー・バリノフ)の揉み合いも、終わってみれば悪くない賑やかしだった。

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メラニー・ロランは美しくかつ、演奏中の表情も良かった。
(観終って気づいたが、彼女は先日観たばかりの『イングロリアス・バスターズ』のショシャーナを演じていた役者さんだった。まったく気づかず…)

 
最後に、日本語版のチラシデザインを。
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芸術性よりもわかりやすさ重視のデザイン。
もっと良い邦題はなかったのか。最後にビックリマークをつけた軽さに鼻白む。

監督: ラデュ・ミヘイレアニュ
脚本: ラデュ・ミヘイレアニュ、アラン=ミシェル・ブラン、マシュー・ロビンス
製作: アラン・アタル
音楽: アルマン・アマール
撮影: ローラン・ダイヤン
編集: ルドヴィク・トロシュ
出演: アレクセイ・グシュコブ(アンドレイ・フィリポフ)、メラニー・ロラン(アンヌ=マリー・ジャケ)、フランソワ・ベルレアン(Olivier, director of Châtelet Theater)、ミュウ=ミュウ(ギレーヌ)、ドミトリー・ナザロフ(サーシャ)、ヴァレリー・バリノフ(イヴァン・ガヴリーロフ、元KGBのマネージャー)、アンナ・カメンコヴァ(イリーナ・フィリポヴナ、Andrey’s wife)、リオネル・アベランスキ(Olivier’s subordinate)、アレクサンドル・コミサロフ(ヴィクトール・ヴィキッチ、Jewish old man)、Anghel Gheorghe(Vassili、色黒の陽気な調達屋兼楽団メンバー)、ラムジー・ベディア(「トゥル・ノルマン」のオーナー)、ギヨーム・ガリエンヌ(critic)
配給: ギャガ(日)
公開: 2009年11月4日(仏)、2010年4月17日(日)
上映時間: 119分
 
【世間の評価】 ※2016.11.18時点
CinemaScape: 3.9/5.0 (84人) 
Filmarks: 3.7/5.0 (4,465人) 
Yahoo! 映画: 3.90/5.00 (813人)
IMDb: 7.6/10.0 (15,165人)
Rotten Tomatoes(Critics): 5.9/10.0 (63人)
Rotten Tomatoes(Audience): 3.7/5.0 (11,174人)
 
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