magnolia
友人女性に勧められた映画。

意味深なオープニングで、なんだなんだと興味を掻き立てられ、エイミー・マンの「One」から始まるタイトルバックもなかなか良くって、そこに色気ムンムン?怪しさマンマン、語尾に変な訛り(nかな?)入りのトム・クルーズが登場してストーリーはスタートする。

複数のストーリーが並行して進むが、見ていくうちにだんだんとストーリー全体を包んでいる気持ち悪さに毒され、不思議な気持ちになってくる
その「気持ち悪さ」は決して強すぎないが、見る者の心に次第に溜まっていき、違和感が蓄積される。
どのストーリーもだ。

これこそが、この作品の最大の特徴ではなかろうか。
すべてのメインキャストと、一部のサブキャストが激しく(もしくは仄かに)気持ち悪さを醸し出している。

むんむんのトム・クルーズしかり、トムの家族の話をほじくり出すインタビュワー(エイプリル・グレイス)しかり、死ぬ間際で看護師に懺悔するじいさん(ジェイソン・ロバーズ)しかり、精神不安定なその後妻(ジュリアン・ムーア)しかり、これまた妻に過去の浮気を懺悔するクイズ番組の司会者(フィリップ・ベイカー・ホール)しかり、その娘であるコカインづけの女(メリンダ・ディロン)しかり、小さい頃に天才クイズ少年だったが今はうだつがあがらないおっさん(ウィリアム・H・メイシー)しかり。

その中でも、理性のかけらも感じられない会話でFワードばかり連発するジュリアン・ムーア、風貌から話す内容まで気持ち悪さ全開のウィリアム・H・メイシー、そしてウィリアム・H・メイシーとバーで会話する隣のおっさん(Henry Gibson)、悪いやつじゃないがそこはかとない気持ち悪さを醸し出す看護師のフィリップ・シーモア・ホフマン、これまた悪いやつじゃないが、心の声や独り言により気持ち悪さが増幅されている警官役のジョン・C・ライリー、現役天才クイズ子役(ジェレミー・ブラックマン)が、自分の中にぐいぐい来た。

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展開的に、きっとどこかで個々のストーリーがつながるんだろうなと思っていると、その通り、確かにつながるんだけど、こうつながるのか!という嬉しい驚きは特になく。

そして、大量に降ってくるカエル。
過去にこういったことが本当にあったのは知ってはいたが、さすがにあまりに降りすぎて、現実感が薄れてしまったように感じた。
映画の冒頭にあるとおり、あくまでも”偶然”なのだろうが。

人と人との関係性がフィーチャーされている映画でもある。
特に親子。
夫婦や、恋人も出てくるが、監督が一番描きたいのは親子なんだろう。

見終わってすっきりする映画ではない。
かといって、嫌な気持ちで終わる映画でもない。
犬は死んでいてほしくはなかったが…

普通の人間と同じように、映画の中の人物も、常に何かしらかのモヤモヤとしたものを抱えながら生きている、というしごく当たり前のことを映画で表現すると、こうも不思議な気分にさせられることを痛感した。

この感じ、嫌いではない。
3時間弱の長尺も、さほど苦ではなかった。

勧めてくれた女性に、なぜこの映画が好きか聞いてみたい気もするが、きっと「えー、なんとなく好きー」ぐらいの返ししかないだろう。
ま、そんなもんだよね。

 
<<追記>>
確か2度ほど”it’s raining cats and dogs”って台詞があった。
しかも、違う登場人物がその台詞を言っていた記憶が…
有名な慣用句だから語彙としては知っていても、実際に人が使っているのを聞いたのは初めてかもしれない。
複数回も使っているってことは何かしら意識的に使っているんだろう。
その後で、カエルが降ることを暗示している的な。

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:トム・クルーズ、ジュリアン・ムーア、フィリップ・ベイカー・ホール、フィリップ・シーモア・ホフマン、ウィリアム・H・メイシー、ジョン・C・ライリー、ジェレミー・ブラックマン、マイケル・ボウエン、メリンダ・ディロン、ジェイソン・ロバーズ、メローラ・ウォルターズ
製作:ポール・トーマス・アンダーソン、ジョアンナ・セラー
製作総指揮:マイケル・デ・ルカ、リン・ハリス
ナレーター:リッキー・ジェイ
音楽:ジョン・ブライオン、エイミー・マン
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ディラン・ティチェナー
美術:マーク・ブリッジズ、ウィリアム・アーノルド
衣装:マーク・ブリッジズ
配給:ニュー・ライン・シネマ(米)、日本ヘラルド映画(日)
公開:1999年12月17日(米)、2000年2月20日(日)
上映時間:188分
 
【世間の評価】 ※2016.1.30時点
CinemaScape: 3.4/5.0 (711人)  
Yahoo! 映画: 3.74/5.00 (287人)
IMDb: 8.0/10 (234,630人)
 
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