satujinnotuioku

タランティーノが称賛していたことで興味を持った作品。
注目されているポン・ジュノの監督作。

主演刑事二人のうち、ずっと田舎暮らしのソン・ガンホの顔が強烈に頭に刻み込まれる。
容疑者役のパク・ヘイルの面構えも印象に残る。
パク・チャヌク監督の「オールド・ボーイ」もそうだが、韓国サスペンス映画は、出演者の印象づけ方が秀逸に感じる。

以下、ネタバレあり。

 
ハッピーエンドではなく、かといって完全なるアンハッピーエンドでもない。

犯行はいずれも雨の日に。
女性が手足をしばって窒息させられる。
犯行に使用する道具はすべて被害者が身につけていたものか、所持品。
かなり特徴的な犯行にもかかわらず、現場からは犯人を示す物証があがらない。

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田舎の刑事はすぐに手や足が出る。
誰の犯行かを決めつけて、無理やり自供させる。
反吐が出そうな捜査方法だが、当時はそういうのが横行していた時代。

タイプの違う二人の刑事。
最初は反発しあうが、事件がなかなか解決せず二人ともすり減っていくうちに、少しずつ近づいてくる。
これは、よくあるタイプのストーリー。

しかしちょっと他の作品と違うのは、どちらの刑事もヒーロー的には描かれないところ。
あくまでも一般的な刑事。
だから、解決の糸口が得られたように見えても、捜査は大きくは進展しない。
二人ともどんどんすり減っていき、精神的にも追い詰められていく。
冷静だった、ソウルから来た刑事(キム・サンギョン)も、容疑者(パク・ヘイル)を殴り、銃を突きつけ「お前がやったんだろ」と凄むようになる。

被害者の衣服から精液が発見されるが、80年代の韓国では国内でDNA鑑定する設備がなく、アメリカに鑑定依頼を出す。

鑑定結果を待つ間、ある日、キム・サンギョンは尾行し監視していたパク・ヘイルを見失う。
その後、顔見知りだった女学生が殺害される。
その現場に向かうキム・サンギョンの表情・振る舞いから立ち上る絶望感。

返ってきた鑑定結果は、さらに絶望感を強くさせるものだった。

 
犯人が見えない。
だから恐ろしい。

「ネタバレ」と言っても、予告編やチラシに「たった一人の犯人はまだ捕まっていない」とある通り、犯人がつかまらないことは製作側があらかじめ明らかにしている。
それがいいのか、悪いのか。

韓国においては、未解決事件がベースとなっていることは有名だったのかもしれないが、他国ではそうではないだろうから、敢えて”捕まっていない”ことは前面に出さなくても良い気はした。

典型的な犯罪サスペンスものでは描かれないストーリー、演出。
「オールド・ボーイ」を観た時以来の強い衝撃を韓国映画から受けた。

ポン・ジュノ監督作、別のものも見てみたい。

@DVD

製作:チャ・スンジェ
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ / シム・ソンボ
撮影:キム・ヒョング
美術:ユ・ソンヒ
音楽:岩代太郎
衣装:キム・ユソン
出演:ソン・ガンホ / キム・サンギョン / パク・ヘイル / キム・ルェハ / ソン・ジェホ / チョン・ミソン / パク・ノシク