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80年代後半、デ・ニーロ人気が高まっているさなかに撮られた作品。

タイトルとDVDジャケット写真のイメージから、てっきりもっとシリアスな内容かと思っていたが、その実、肩の力を抜いて楽しめる作品だった。

 
自分はある時期、あの癖のあるデニーロの芝居が苦手だった。
しかし今は、何か許せる。
口元や目元の表情やうなずき方などは作品によって変えられるものではなく、本作でもデニーロっぽさがそこかしこに感じられたが、今やむしろあの演技に安心感を覚える。

ギャングの元会計士で、その金を横領したうえチャリティーに寄付したことで、FBIや保釈金融屋に追われ、ギャングに命も狙われているマデューカス(チャールズ・グローディン)。
彼とジャックのやりとりを中心にストーリーが進む。
二人の関係性は悪くない。
最初はうるさいと思っていながらも、少しずつマデューカスのペースになっていくジャック。
全編を通して英語が聞き取りやすい作品だということもあり、”See you in the next life” などの印象的なフレーズや会話内容も楽しめる。

アクションサスペンスの要素もあるが、追っ手達がかなり間抜けなので、さほどハラハラドキドキする内容ではない。
それでも、脇を固める役者の力量や演出によって、魅力ある作品に仕上がっている。
が、心を強く揺さぶられるほどの内容かというと、そこまでの何かがあるわけでもない。

以下、印象に残ったシーンを振り返る。

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マデューカスを演じるチャールズ・グローディンの代表作はおそらく本作だと思うが、自分の好きなタイプの顔だ。
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上のシーンでもそうだが、追われている身でありながら、彼のほんの少し過剰な顔の演技が、この作品に柔らかさと温かみを与えている。

 
その他の脇を固める役者たちも粒ぞろい。

一見こわもてだがかなり間が抜けているFBIのアロンゾ・モーズリーがいい引き立て役となっていた。
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観終ってからあらためて彼の風貌を見ると、つい笑ってしまう。

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口八丁手八丁の保釈金融屋エディ・モスコーネを好演していたジョー・パントリアーノ。

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ギャングの親玉ジミー・セラノ(右から二人目、デニス・ファリーナ)は出番少なく、子分のトニー(左)とジョーイ(左から三人目)のほうが印象に残る。

本作には、過剰でないくすっと笑えるコメディ要素が散りばめられているが、なかでも公衆電話で電話中のトニー(リチャード・フォロンジー)に、ボクシングの真似で子どものようにちょっかいを出すジョーイ(ロバート・ミランダ)には笑わされた。

バウンティハウンターのライバルであるマービン(下の写真の一番右)も憎めない。
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車のドアをたくみに使って攻撃してくるところが印象に残る。

 
基本的に男の話で、女性となると、元妻とその娘ぐらいしか登場しない。
お金を借りに、(もしくは借りることを口実に)9年ぶりにシカゴの元妻を訪ねるジャック。
元妻は最初お金を貸そうとしないが、娘を見たジャックの態度に、元妻も心が変わる。
40ドルぐらいしかお金はないが、車を使っていいと。
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そして、追いかけてくる娘。ベビーシッターで貯めた180ドルを使ってくれとジャックにいうが、”それはできないスウィートハート”と言って固辞するジャック。
この一連は、押しつけがましくなく心を温かくするエピソードだった。

 
壊れている、(もしくは壊れかけている)腕時計をつけており、ときおり腕時計に耳をつけてその音を聞くジャック。
その時計は、元妻に昔もらったもので、その時にいつも遅刻するジャックのために
30分針を進めてプレゼントされたと。
きっと、この30分が後々効いてくるんだろうなあ…と思っていたら、その期待は裏切られた。

ジャックは復縁を期待しているが、会計士にも「あきらめろ、時計も買い替えろ」と言われ、結局元には戻らない。
そこもまた、予定調和でなく、いい点ではあった。

なお、蛇足ではあるが、演出の面でいうと、冒頭近くでジャックが、マデューカスが電話をかけた履歴がある人物に電話するシーンと、後半でも確か一ヵ所あったが、やたらと電話で流ちょうに話せるところにうっすらと違和感あり。

セラノが拠点を置くラスベガスの街並みが何度が映像に登場するが、今とはネオンの種類やセンスが異なることがよくわかる。昔のパチンコ屋のネオンを見るよう。

製作総指揮: ウィリアム・S・ギルモア
製作: マーティン・ブレスト
監督: マーティン・ブレスト
脚本: ジョージ・ギャロ
撮影: ドナルド・ソリン
美術: アンジェロ・グレアム
音楽: ダニー・エルフマン
出演: ロバート・デ・ニーロ(ジャック・ウォルシュ)、チャールズ・グローディン(ジョナサン・マデューカス)、ヤフェット・コットー(アロンゾ・モーズリー)、ジョン・アシュトン(マービン・ドーフラー、賞金稼ぎライバル)、デニス・ファリーナ(ジミー・セラノ、ラスベガスのギャングの親玉)、ジョー・パントリアーノ(エディ・モスコーネ、保釈金融、ジャックの雇い主)、リチャード・フォロンジー(トニー・ダーボ、セラノの子分)、ロバート・ミランダ(ジョーイ、セラノの子分)、ジャック・キホー(ジェリー・ガイスラー、保釈金融の電話番?)、ロイス・スミス(Mrs. Nelson)、ダニエル・デュクロス(デニース・ウォルシュ、娘)、フィリップ・ベイカー・ホール(シドニー、セラノのご意見番?)、ウェンディ・フィリップス(ゲイル、ジャックの元妻)、トム・マクレイスター(ビル・レッドウッド、マデューカスに20ドル札を騙しとられる店主)、ローズマリー・マーフィ(ウェイトレス)、トム・アーウィン(FBI Agent Perry)、メアリー・ギリス(バスのチケット売り場担当、カードが使えないジャックに現金で払わせる)、ジョン・ハミル(車の中で保釈金融の電話の盗聴をしている内の一人)、ジョン・トールズ=ベイ(冒頭でジャックに捕らえられる黒人)、フラン・ブリル(マデューカスの妻)、トレイシー・ウォルター(ダイナーの店主)、ルイス・フェルダー(パイロット)
編集: ビリー・ウェバー、クリス・レベンゾン
配給: ユニバーサル映画(米)、UIP(日)
公開: 1988年6月11日(米)、1988年12月3日(日)
上映時間: 126分
製作費: $30,000,000
興行収入: $81,613,606
 
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