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2015年の1月にフジテレビで放送されたドラマ。アガサ・クリスティー原作、三谷幸喜脚本の、二夜連続放送。豪華キャストで、局の気合いを感じる。

 
構成がまず面白い。

一夜目で、野村萬斎演じる探偵勝呂による推理は完結。
二夜目は、その犯罪にいたったストーリーが語られる。
なので、普通のミステリーからすると、ハラハラ感が少ない。感覚として、やたらあっさりと解決、というか真相にたどり着いてしまったなという印象。

そこが物足りなくもあった。

しかし、一方で、犯罪にいたるストーリーも時間をかけて語られるので、犯罪を犯した人々への共感度合いも高まったことは否めない。

Wikipediaによると、この構成は原作にはなく、三谷幸喜氏独自に作ったものだという。新たな試みが好きな三谷氏らしい。

 
もう一つの大きな特徴として、その出演陣の豪華さがあげられる。1月に放映されたということもあろうが、年末年始にしか許されないお金のかけ方なのだろう。
華やかで、それはそれとして楽しめるのだが、役者一人一人に目が行ってしまい、ストーリー自体に気持ちが入りにくいというデメリットもあった。
各メンツの主張が強すぎるのだ。

以下、ネタバレも含めつつ細かいところを振り返ってみる。

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まずは、各出演者の印象。

野村萬斎の演技を初めてじっくり観たが、キャラの濃さに最初は面食らってしまったが、だんだんそれに慣れていくところも含めて楽しめはした。

もっともハッとさせられた役者は、富司純子の演技(羽鳥夫人)と実際(淡島八千代)のギャップの出し方の巧みさ、そして、呉田その子を演じる八木亜希子の自信のなさ気なしょぼくれ具合。

大佐を演じる沢村一輝も悪くない。自分の中のイメージにある「サラリーマンNEO」のコメディの要素を吹き飛ばしてくれた。

西田敏行はさすがの安定感。料亭のようなところで、娘の写真を観ながら涙する姿にはホロっとさせられた。

佐藤浩市は悪人っぷりが板についていた。見事。

松嶋菜々子は「やまとなでしこ」とたいして演技が変わらずに、歳だけ重ねている印象。残念。

今をときめく黒木華は出演シーンは多くはないがキラッと光る魅力をたたえていた。

コメディ要素担当だった鉄道省重役を演じる高橋克実は頑張ってたけど、このあたりの三谷さんの演出は自分好みではなかった。おそらく「古畑任三郎」における今泉くん的な役割として配置したのだろうが、高橋氏には西村雅彦氏と異なり悲哀感が少ないからか、空回り具合が足らない印象。

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杏の美しさ、スタイルの良さ(特に立ち姿)が目立っていた。池松壮亮は額が印象に強い。

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二宮君はついつい目が行ってしまう存在感を放っていた。しかし、どことなく違和感のある演技ではあった。そういう演出なのかもしれないが。

 
ストーリーとしては、構成は実験的で面白いし、ラストの落とし前のつけかたも感情的には悪くはないのだが、驚きも悲しみもワクワク感もいずれも中途半端。
面白くなくはないのだが、二話で3時間以上も観ているにもかかわらず、なんともいえない薄さを感じた。
強すぎる各役者の個性をまとめきれていないとでもいおうか。

また、この作品は映画ではなく、やはりTV作品なんだなという感覚が強く残った。この違いはなんなんだろう。

原作: アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』
脚本: 三谷幸喜
演出: 河野圭太
プロデューサー: 重岡由美子 / 橋本芙美 / 元村次宏
出演: 野村萬斎(勝呂武尊) / 富司純子(羽鳥夫人、典子、淡島八千代) / 佐藤浩市(藤堂修、笠原健三) / 西田敏行(三木武一、車掌) / 松嶋菜々子(馬場舞子) / 二宮和也(幕内平太、藤堂の秘書) / 杏(安藤伯爵夫人、浪子) / 草笛光子(轟侯爵夫人、ナツ) / 沢村一樹(能登巌、陸軍大佐) / 池松壮亮(羽佐間才助) / 八木亜希子(呉田その子) / 青木さやか(昼出川澄子) / 藤本隆宏(保土田民雄) / 小林隆(益田悦夫、藤堂の執事) / 玉木宏(安藤伯爵、外交官) / 高橋克実(莫、鉄道省の重役) / 笹野高史(須田、外科医) / 山寺宏一(「カフェ・トカトリアン」のマスター、パインさん) / 黒木華(三木小百合、剛力家の小間使い) / 石丸幹二(剛力大佐) / 吉瀬美智子(剛力曽根子) / 小林星蘭(剛力聖子) / 深水元基(藤堂の用心棒・清水)
放送日・時間: 2015年1月11日 21:04 – 23:54(第1夜)/ 1月12日 21:04 – 23:47(第2夜)
制作局: フジテレビ
 
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