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熊切和嘉(くまきりかずよし)という監督も気になっていたし、この作品にもうっすらと興味を持っていた。正月のバラエティ番組で二階堂ふみを見たのが後押しとなって、このタイミングで観るにいたった。

説明が少なめ。それに加えて、セリフが明瞭に聞き取れないシーンもちらほら。観客が見たくなるところに(物理的な)光を当てず、敢えて見にくくしている意図も感じられる。

わかりやすいエンターテインメント路線の作品ではない。

北海道のどんよりとした寒村の雰囲気が、全体に漂っている。

ちょうど、今晩の気温が低かったからだろう。オープニング、流氷浮かぶ海から二階堂ふみが現れるシーンでは、寒気を感じた。
しかし、三十分もすると、すんごい寒いところに自分も行って、流氷を眺めたいという気持ちが沸き起こる

以下、ネタバレあり。

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一方で、二階堂ふみ演じる花が内に秘める激しさ。父である淳悟(浅野忠信)とのラブシーンでは、血のような赤い液体が二人の身体に降りかかる、ビビッドな色彩を使う演出。
淳悟と恋人・小町(河井青葉)との絡みのシーンでも、美術を含めた映像やカメラアングルには強いこだわりが感じられる

田岡(モロ師岡)が淳悟に首を刺されて死ぬシーン。頸動脈から血が噴き出し、その後もしばらくは呼吸は続き、心臓も動いている。激しくはないが、インパクトがある。

 
二階堂ふみはメイク、メガネや服装で印象を大きく変えている。初めて芝居を目にする役者さんだが、いろんな役者に似て見える。たとえば、宮崎あおいや遠藤久美子。外見だけでなく、演技も含めて、いろんな人間になれる、カメレオンのような役者なのかもしれない。本作では全貌は把握できず。今回の演技では、役柄の年齢のせいか強烈なエロスは感じなかった。

浅野忠信は、相変わらず色気と胸毛はあるが、花が17歳の時に35歳の設定。ということは小さい花を引きとったときは22、3歳という設定。これには無理があった。

 
北海道から東京へ引っ越す二人。北海道にいるときは、部屋の中も普通だったのに、東京ではゴミ屋敷のようになっている。ここに何の変化があったのだろう。劇中では特に語られなかった。

「わたしたち、子供だったんですね」とバーで高良健吾(こうらけんご)演じる尾崎に語る花の言葉に、本作のエッセンスは凝縮されている。子供の二人をたしなめる周りの大人たち。反抗する二人。冷静に考えれば、家族が欲しいからといって、子育て経験もない20代前半の男に小さい女の子を独りで育てさせるのは、周りの人間からしても引け目を感じるだろうし、心配にもなるだろう。

作品全体が醸し出す雰囲気は悪くないが、ストーリーがややわかりにくい上、アブノーマルな二人のアブノーマルさが意外と突き抜けていないあたりに、どっちつかずなものを感じ、乗り切れず。

watashinootoko_jpなお、こちらが日本語版のチラシ&パッケージデザイン。
情報量が多すぎる。上の英語版のほうが好み。

<<追記>>
個人的には、小劇場出身の吉本菜穂子さんや安藤玉恵が出ていたのは嬉しかった。吉本さんは顔ははっきり映っていなかったが、声だけですぐに認識できた。

製作総指揮:永田芳弘
製作:藤岡修 / 由里敬三 / 分部至郎 / 木村良輔 / 宮本直人 / 西村信次郎 / 西ヶ谷寿一
監督:熊切和嘉
脚本:宇治田隆史
原作:桜庭一樹
撮影:近藤龍人
美術:安宅紀史
音楽:ジム・オルーク
衣装:小里幸子
出演:浅野忠信 / 二階堂ふみ / 藤竜也 / モロ師岡 / 河井青葉 / 山田望叶 / 三浦誠己 / 高良健吾 / 三浦貴大 / 広岡由里子 / 安藤玉恵 / 吉村実子 / 竹原ピストル / 太賀 / 相楽樹 / 康すおん / 吉本菜穂子 / 松山愛里 / 奥瀬繁
配給:日活
公開:2014年6月14日
上映時間:129分
 
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