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イーストウッド監督のサスペンスものってことで、心の準備をして観たということもあるが、予想よりはダメージ少なく観ることができた。

ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン。安心して観れる三人。

ショーン・ペンは、マフィアものとはまた違うタイプの、悪い奴を演じさせるとホントに上手い。
彼が演じるビリーにリアリティがあり過ぎて、こちらも身構えてしまう。

ティム・ロビンスは、トラウマを背負いながら、うだつのあまり上がらない、はっきりと主張しない、物静かな役デイヴを演じきっている。

ケビン・ベーコン演じるショーンは、二人に比べると登場シーンは少なく、渦中のど真ん中にはいない。しかし、多くは語らずとも、その風貌、面構えが作品を引き締めている。ある意味、ケビン・ベーコンじゃなきゃできない役柄。ショーンは微かな二面性を抱えながら刑事という職に就いているが、仕事への態度を見るにまっとうな正義感に貫かれているわけでさなさそう。

三人は三様に、危うさを抱えている。

長女への愛がとめどなく溢れてくるビリー。
奥さんとよりを戻したいと思いながら、その想いを伝えきれないショーン。
少年時代のトラウマを、いまだ妻にさえ話せないデイヴ。

少年時代に車にデイヴが連れ去られたことが、三人のその後の人生に少なからぬ影響を与え、今の事件にもつながっている。

断ち切れない流れを感じさせるプロット、重厚感が感じられ郷愁をそそる(イーストウッドらしい?)演出、芸達者な役者陣により、一級品に仕上がっている。

「ミスティック・リバー」のあらすじ

ボストンのイーストバッキンガム地区。犯罪社会から足を洗い雑貨店を経営しているジミー、家族と共に平凡な毎日を送るデイヴ、刑事のショーンの3人は、今は特に親しい仲ではないが、少年時代を共に過ごした幼なじみ。彼らが11歳のとき、デイヴが見ず知らずの大人に誘拐され性的暴力を受けたのを境に離れ離れになった。それぞれの心に傷を残したこの事件から25年後、ジミーの19歳になる娘が死体で発見される。殺人課の刑事であるショーンがこの事件の担当となり、一方、ジミーは犯人への激しい怒りを募らせる。やがて、捜査線上に容疑者として浮かび上がってきたのはデイヴだった…。

ただし、作品全体としては好きなものの、大事な部分に受け入れがたいポイントがあり高い評価はつけなかった。それでも、観てよかったと素直に思える作品であることに間違いはない。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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映像のトーンが落ち着いた色合いというのもあるからだろうか。子ども時代のシーンは全般的に懐かしい気持ちにさせる。
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レッドソックスのキャップを被る少年時のデイヴ(キャメロン・ボウエン)。
道路の脇の排水溝にボールが落ちてしまうというシチュエーションが郷愁を誘う。
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連れ去られるデイヴ。そんな目で見ないでくれ。

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娘ケイティの死を察し、暴れるジミー。ショーン・ペンがたまらない表情をする。
ケイティが撃たれた銃も、ジミーが昔に殺したレイの所有物。川のようにどこまでも続いて行く流れを感じさせる。罪は川で洗い流すことはできていないのだ。

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デイヴを演じるティム・ロビンスのこのしょぼくれ具合。悪くない。
デイヴは、自分が殴ったのがケイティじゃないのはわかっているが、性的な少年愛好家を殴ったということを妻に言うと、昔を思い出し動揺しそうで避けたのであろう。

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ショーンを演じるケヴィン・ベーコンのこの面構え。いるだけで画面が引き締まる。
ただし、ショーンとその妻との関係性はピンと来なかった。

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ジミーに、旦那がやったと言ってしまうセレステ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)。観ている観客全員が、「おまえ、なんてことを言うんだ!」と心で叫んだはず。
この重要なシーン。好みの問題だが、納得はできるものの、自分には受け容れられず。旦那がやった可能性があると思うのは許せるが、ジミーに旦那がやったと断言して伝えたらどうなるかなんて誰だってわかるだろう。

夫は行方がわからず、それをジミーに問いただすこともできないまま、今後は息子だけを頼りに生きていくしかない。
一番不幸であまりに不遇だが、観客は彼女に同情しないだろう。

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かたや、ラスト近くになって頭角をめきめき現してくるジミーの妻、アナベス(ローラ・リニー)。
このまさかの展開は嫌いじゃない。
「みんな弱いが私たちは違う」「あなたはkingで、この辺りを支配している」という彼女。実際には、一番強いのは彼女だ。

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サベッジ兄弟も、頭悪そうな、いかにも手下っぽい感じがハマっていた。

 
犯罪自体は行き当たりばったりで稚拙。
世の中、実際そういうもの。
愛憎、欲が絡まないと犯人はすぐには見つからないということ。

製作総指揮: ブルース・バーマン
製作: ロバート・ロレンツ、ジュディ・G・ホイト、クリント・イーストウッド
監督: クリント・イーストウッド
脚本: ブライアン・ヘルゲランド
原作: デニス・ルへイン
撮影: トム・スターン
美術: ヘンリー・バムステッド
音楽: クリント・イーストウッド
衣装: デボラ・ホッパー
特撮: マーク・フロインド
出演: ショーン・ペン(ジミー・マーカム)、ティム・ロビンス(デイヴ・ボイル)、ケヴィン・ベーコン(ショーン・ディバイン)、ローレンス・フィッシュバーン(ホワイティ・パワーズ、ショーンの相棒の刑事)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(セレステ・ボイル、デイヴの妻)、ローラ・リニー(アナベス・マーカム、ジミーの後妻、セレステの従妹)、エミー・ロッサム(ケイティ・マーカム、ジミーの娘)、 ケヴィン・チャップマン(バル・サベッジ、ジミーの舎弟的な兄弟の一人)、アダム・ネルソン(ニック・サベッジ、ジミーの舎弟的な兄弟の一人)、トム・グイリー(orトーマス・ギアリーとも、ブレンダン・ハリス、ケイティの恋人)、スペンサー・トリート・クラーク(レイ・ハリス、ブレンダンの弟、聾唖)、イーライ・ウォーラック(酒屋の老店主)、ケイデン・ボイド(マイケル・ボイル、デイヴの息子)、T・ブルース・ペイジ(ジミーの父)、ジェイソン・ケリー(少年時代のジミー)、キャメロン・ボウエン(少年時代のデイヴ)、コナー・パオロ(少年時代のショーン)
編集: ジョエル・コックス
製作会社: ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
配給: ワーナー・ブラザース
公開: 2003年10月8日(米)、2004年1月10日(日)
上映時間: 138分
製作費: $25,000,000
興行収入: $156,822,020
キャッチコピー: (英語版)We bury our sins, we wash them clean (ぼくらは罪を埋め、きれいに洗い流す)
(日本語版)もうひとつの「スタンド・バイ・ミー」を見るために、あなたは大人になった。
 
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