カッコーの巣のうえで

いわずと知れた、70年代を代表する映画。

もしかしたら昔にどこかで観たことあるかなと思って見始めたが、観終わっても判然とせず。

それはなぜかと考えてみると、印象的なシーンは多くありながら、閉ざされた空間の中での、夢の中のような非日常的な話であり、かつ、ストーリーの流れがどうなるかが比較的想像しやすい話だからかもしれない。

 
役者陣がとにかく豪華で、安心してその世界に入っていくことができる。
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その中心は主人公マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)。表情が生き生きとしていて、惹き込まれる。

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柔らかい自然な表情も多く、この男が悪人であるとは思えない。
(なお、顔マネを見たからかもしれないが、ディカプリオがジャック・ニコルソンにどんどん似てきている気がした。)

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マクマーフィーの心の支えとなるチーフ(ウィル・サンプソン)。
(彼は別の映画でも観たことがある気がしたが、そんなことはなかった。つまり以前に”本作”で観たことがあったわけだ…)

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マクマーフィーの天敵である婦長のラチェッド(右、ルイーズ・フレッチャー)。
隣にいる看護師(ミミ・サルキシャン)も、何だか知らないが気になる。白衣のマジックだろうか。

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チェズウィック(シドニー・ラシック)も強く印象に残る存在。
“I want my cigarettes” とラチェッド婦長にだだをこねるように要求するシーンは最高。

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奥で、マクマーフィーのガールフレンドであるキャンディ(マーヤ・スモール)と踊るビリー(ブラッド・ダーリフ)。
その手前、胸元に顔を埋め踊っているマルティーニ(ダニー・デヴィート)の幸せそうなことよ。

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これは撮影されたシーンではなく、スチール用の写真のような気がするが、幸せそうな大人数でのショット。
看守であるタークル(スキャットマン・クローザース)が、この前後のシーンで別室で見せる男のいやらしさが微笑ましかった。

以下、ネタバレあり。

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こう回想していくなかで、ほぼ確実に、どこかで観たことがあると確信した。

ネイティブアメリカンの血をひいているだろう図体のでかいチーフが実は耳も聞こえりゃ話しもできるってことや、マクマーフィが一度目の電気ショックの後頭がおかしくなったふりをしているところや、女の子二人を病院に入れて、みんなではじけるところや、ビリーがキャンディと”デート”(マクマーフィの表現)しているのを待っている間に皆寝てしまい脱走できなくなるところや、遂には電気ショックの受けすぎで頭がやられてしまったマクマーフィの惨状を見て、チーフが枕を顔に押し当てて窒息死させるシーンなどは、デ・ジャブのように感じられた。

要は、知らず知らず脳の奥に刻み込まれるほどの印象的なシーンが、多く含まれている作品ということだろう。

一番好きなシーンは、ビリーが終わるのを待っているときの、マクマーフィのアップシーン。満足げな笑みを浮かべつつも、表情があまり動かないからおそらく眠くなっていることが伺い知れる。結構長いアップだが、決して長すぎす、ニコルソンの演技も自然で、この時間のとり方は見事。間の撮り方が一般の映画と異なり、効果的に使われているシーンを見ると、なんだか無性に嬉しくなる。

ラストは、喜んでいいのか、悲しんだほうがいいのかが、観客に委ねられている。

邦題だとピンと来ないが、原題は”One flew~”となっている。つまり、病院の中でマクマーフィ率いる病人たちが羽ばたいた一瞬にフィーチャーして見てくれという製作サイドの意図を考えると、喜ぶべき映画なのだろう。

それでも、自分の気持ちは浮きあがれずモヤモヤとした。

その原因がどこにあるのか考えてみたところ、婦長がビリーが(キャンディと)したことをビリーの母親に報告しなくてはならないと言ったことで、結果ビリーが自殺を図り、それに激昂したマクマーフィが婦長の首をしめて殺そうとし、おそらくそれが原因で、マクマーフィ自身が頭に障害が強く残るほど電気ショックを与えられたという一連の流れにありそう。

というのも、婦長は精神科の責任者でありながら人の心がわからない、いわゆる不適任者として描かれてはいるが、かといって悪人ではなく、自分なりの正義のなかでそうしたに過ぎないことが伝わってくるからだ。誰を憎むこともできない哀しみは、つらい。

映画ぐらいはストレートに恨んだり、喜んだりしたい。
その自分の現在の心持ちが、この評価につながった。

製作: マイケル・ダグラス / ソウル・ゼインツ
監督: ミロス・フォアマン
脚本: ローレンス・ホーベン / ボー・ゴールドマン
原作: ケン・キージー
撮影: ハスケル・ウェクスラー
音楽: ジャック・ニッチェ
出演: ジャック・ニコルソン(R.P. McMurphy) / ルイーズ・フレッチャー(Nurse Ratched) / ウィル・サンプソン(Chief) / ブラッド・ダーリフ(Billy Bibbit) / クリストファー・ロイド(Taber) / ダニー・デヴィート(Martini) / スキャットマン・クローザース(Turkle) / ウィリアム・レッドフィールド(Harding) / ヴィンセント・スキャヴェリ(Fredrickson) / シドニー・ラシック(Cheswick) / マーヤ・スモール(Candy) / ルイザ・モリッツ(Rose) / ミミ・サルキシャン(Nurse) / ウィリアム・デュエル(Sefelt) / ディーロス・V・スミス・ジュニア(Scanlon, beard) / Mwako Cumbuka(Warren, hospital worker) / ネイサン・ジョージ(hospital worker) / Josip Elic(always tired patient) / マイケル・ベリーマン(Ellis) / テッド・マークランド(Hap Arlich, one of patient) / メル・ランバート(Harbor master)
配給: ユナイテッド・アーティスツ
公開: 1975年11月19日(米)、1976年4月3日(日)
上映時間: 133分
 
【世間の評価】 ※2016.6.30時点
CinemaScape: 3.9/5.0 (718人)  
Yahoo! 映画: 4.24/5.00 (632人)
IMDb: 8.7/10.0 (672,988人)
Rotten Tomatoes(Critics): 8.9/10.0 (58人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.2/5.0 (277,294人)
 
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