パイナップルツアーズ

本作は一般的にはあまり知られていない作品だろう。

しかし、私の推測では、沖縄県内ではそこそこ有名なはずだ。自分が高校生の頃、沖縄ローカルの雑誌で、この映画の広告や記事を目にし、沖縄の人が映画を作ったらどんな作品になるんだろうと強い興味を持ったことを思い出す。

作品の評価は必ずしも高そうではなかったが、自分に縁の深い沖縄が関連する作品だから、観ないわけにはいかないなと、チョイス。

 
観出してすぐに感じたのは、この作品はほぼ間違いなく、一度既に見たことがあるということ。(またやってしまった…汗)

沖縄の離島が舞台だから観ていて心が落ち着くのは当然あるが、それ以上にこの空気感知ってる知ってる、細部の設定もやたらしっくり来る…ということは……という話。

しかし、結論からいえば、二度目であっても観て良かったし、楽しめた。

本作は三つの話から成り立っている。
それぞれ別の新人監督が撮っており、島への愛情はもちろん、自分の作品を撮ろうという意気込みが随所に感じられる。

一つ目は、声が出なくなった歌手の麗子おばさん(兼島麗子)が娘の由美子(富田めぐみ)を連れて島に帰ってくるという話。
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オープニングで登場する、具良間島(ぐらまじま。架空の島)へ向かう船から望む海。この作品では、海はさほど登場しないが、このシーンの海と船の青さのマッチしている様が印象的。

三作を通して、登場人物のキャラクターが、良い人過ぎず、悪い人過ぎず、いい塩梅。
おばぁでおなじみの平良とみさんはもちろん、ユタ役のツルを演じる役者さん(吉田妙子)も沖縄関連の映画ではよく見る方。安定感抜群。
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マツダの軽トラを運転する幸雄(新良幸人)。三線うまいし、車から降りる時にドアごと持って降りてくる絵がハマっていた。
調べたところ、新良幸人(あらゆきと)氏は沖縄を代表する民謡ミュージシャンなのだとか。そりぁあ上手いに決まっている。
同級生である由美子への仄かな想いが伝わってくる、シャイな演技にも好感を持った。

この二人が、夜、海辺で三線を弾きつつ、波の音を聞くシーンがあるのだが、「あー自分もその場に身を置いてみたい」と思わせてくれる素敵なシーンだった。決してロマンスがあるわけではないのだが、海が近くにある素晴らしさ、海と彼らの距離感の近さがよくわかる。

セリフは少ないが、サンラー(北村三郎)という酒好きそうなおっちゃんがところどころで登場するが、墓で暮らしているという設定が沖縄の田舎っぽくて印象に残った。

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二つ目は、内地から島に来ているヒデヨシ(利重剛)と、島の娘・春子(宮城祐子)のお話。

写真はないが、沖縄の島らしい結婚式の様子だったり、夜這いのシーンの春子の声の演技が思いのほか長く生々しかったりというところが印象に残った。

 
三作目は「爆弾小僧」。

他の二つと比べると、フラー(アホ)な若者二人が主演ということで騒がしい。
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主役のアキラ(津波信一)と夏子(仲宗根あいの)。子どもっぽい方言のやり取りは、聞いていてこちらが気恥ずかしくなってくる低脳さ、語彙の貧弱さ。
アキラのセリフで「ナイチャー嫌い、だから東京じゃなく海外に行こう」というのがあったが、そういう感覚を持っている沖縄の人は多いのかなとハっとさせられた。

スギモトを演じる洞口依子は実年齢は27歳前後のはずだが、服装のせいで老けて見えた。

全話にわたって登場する、この映画の象徴的な扱いのパイナップルのハリボテも愛らしくて悪くない出来。

「爆弾小僧」のラスト、パイナップルのハリボテに執心の比嘉(藤木勇人)が、海に浮んだハリボテの上で幸せそうに、何かむにゃむにゃ言っている姿は良かった。

 
自然、人、音楽。この三つが際立つ。
本作を観た人の多くは沖縄の離島を訪ねたくなるだろう。そういう意味で、沖縄のアピールという点からも大事な役割を果たしている映画である。

ロケ地は伊是名島とのこと。空、海、家々の風情だけでグッと来る。一度遊びに行ってみたい。

 
最後に、チラシの裏の写真を2枚。
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こちらは渋谷ユーロスペース。

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そして、こちらがBOX東中野。

製作: 代島治彦
監督: 真喜屋力 / 中江裕司 / 當間早志
脚本: 真喜屋力
原案: 真喜屋力 / 中江裕司 / 當間早志
撮影: 一之瀬正史
美術: 和宇慶文夫
音楽: 照屋林賢
出演: 照屋林助(リンスケ、おどけた船長) / 利重剛(ヒデヨシ) / 洞口依子(スギモト) / 兼島麗子(麗子おばさん) / 津波信一(アキラ) / 仲本興次(タルー、リンスケの相棒) / 平良とみ(カマド) / 吉田妙子(ツル、ユタ) / 藤木勇人(比嘉) / 仲宗根あいの(夏子) / 宮城祐子(春子) / 新良幸人(幸雄) / 富田めぐみ(由美子) / 北村三郎(サンラー) / 新垣正弘(村長) / 普久原明(助役) / 喜舎場泉(いずみ) / 小波津やよい(やよい) / 川満聡(アラベルト上原) / ユリア・ティーゴ(ジャーラー) / 名嘉トミ(ナベ)
 
【世間の評価】 ※2016.9.1時点
CinemaScape: 3.0/5.0 (13人)  
Yahoo! 映画: 3.00/5.00 (1人)
 
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