Room

何度もその前を通っているし、同じcocotiビルに入っている1Fのショップや2Fの書店にも立ち寄ったことはあったが、映画館に入るのは今回が初めてとなったヒューマントラストシネマ渋谷。

監禁された女と、そこで生まれたまままったく外部の世界と接しないで生きてきた子ども。彼らが外部の世界に戻って……というストーリーの骨子は予告編等で知っていた。

ストーリー展開は予想できるので、注目していたのは、その味付け。

 
ジョイ(ブリー・ラーソン)は男(ショーン・ブリジャース)に誘拐され、狭い納屋に閉じ込められて早7年。息子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)も5歳の誕生日を迎える。男は、週に一度食料やら必要なものを届けつつ、ジョイと身体を重ねる。その時は、ジャックは洋服だんすで寝なければならない。

その部屋の中で、彼らは二人でずっと暮らしている。
軽い運動をしたり、本を読んだり、料理を作ったり、テレビを観たり、卵の殻で蛇を作ったり。
ジャックは母親から、TVの中のことは全て作り物で、部屋の外には宇宙しかないと教えられており、それを信じている。

ジャックが5歳になり、外の世界の存在をジャックに教え、部屋から逃げ出す策を考えるジョイ。

以下、ネタバレあり。

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ジャックが風邪をこじらせて死んでしまったことにし、カーペットにすまきにした状態で男に渡し、どこかに埋めてもらうよう依頼する。男がピックアップトラックで運んでいる途中、ジャックは逃げ出し、近くにいた人に助けを求める。

この後、警察の捜査で、ジョイも無事助け出されるのだが、もしかするとジョイは男に殺されてしまうのではないかとドキドキした。

ジョイは病院にて、ジャックとともに部屋を出れた喜びを噛みしめる。

一方、それまでの人生はジョイとしか話したことがないジャックは、病院の先生(キャス・アンヴァー)や、お婆ちゃん(ジョーン・アレン)、お爺ちゃん(ウィリアム・H・メイシー)とも最初はまともに話すことができず、不安を抱えている。

病院を出て祖母宅に住まいを移してから、本当の問題が始まる。

ジャックよりもジョイのほうが精神的に不安定で、祖母と口論したり、ジャックがプレゼントされたLEGOで遊ばなかったりすることで感情がすぐに高ぶる。

ジョイはテレビのインタビュー番組への出演を受けるも、その中で、インタビュワーに「あなたは、ジャックだけを外に出してもらえるよう男にお願いしたことはないのか? そのほうがジャックにとっては幸せだったのではないのか?」と問われ、強いショックを受ける。
そして、結果未遂に終わるも、バスルームで自殺を図る。

そんなジョイを救うのは、やはりジャック。
長かった髪を祖母に切ってもらい、パワーをあげたいと言って入院しているジョイに届けてもらう。

子どものほうが変化に強く、少しずつ確実に成長していく。

ジョイが入院している間、祖母に”部屋”に帰りたいと話すジャック。
なぜならば、「”部屋”には常にママがいたから」、と。
製作側の思惑通りだと思うが、このセリフにはグっと来た。

ジョイの退院後、二人の周囲も、二人の心境も落ち着いてくる。

ある日、ジャックが”部屋”を見たいといい、二人は部屋を訪れる。
このシーンが本作のクライマックスだろう。

家具の多くは証拠品として警察に押収されているが、ジャックは部屋が縮んだように感じる。
「ドアが開いてるから”部屋”じゃないんだ」とジョイに言うと、ジョイは「ドアを閉めてほしいの?」と聞く。しかし、ジャックはNoと答える。そして、椅子や洗面台など一つずつの家具に、さらに部屋に対してByeと言っていく。
最後に、ママも部屋にByeと言いなと云い、ジョイも声には出さないがBye roomと言う。

この映画の中盤以降、どうやってこの映画を終わらせるんだろうと考えていたが、映画のタイトルでもあり、親子二人にとって重要な意味を持つ”Room”に対して、子どもであるジャック主導でさよならさせることでの幕引き

二人が部屋で暮らしている時に、ジャックは同じように家具に対してGood morningと語りかけていた。その伏線も生きているし、非常にしっくり来るラストで見事だなと思えた。

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観終って、一番何が印象に残っているかと問われれば、ジャックの眼差しだろう。子どもには敵わない。

製作総指揮: アンドリュー・ロー / テッサ・ロス
製作: エド・ギニー
監督: レニー・アブラハムソン
脚本: エマ・ドナヒュー
原作: エマ・ドナヒュー
撮影: ダニー・コーエン
美術: イーサン・トーマン
音楽: ステファン・レニックス
衣装: リー・カールソン
特撮: アラン・コリンズ
出演: ブリー・ラーソン / ジェイコブ・トレンブレイ / ジョーン・アレン(Nancy, Grandma) / ウィリアム・H・メイシー(Robert, Grandpa) / トム・マッカムス (Leo) / ショーン・ブリジャース(Old Nick) / ウェンディ・クルーソン(Talk Show Hostess) / ジャスティン・メイダー(FBI Agent) / キャス・アンヴァー(Dr. Mittal) /
アマンダ・ブルジェル(Officer Parker) / ジョー・ピング(Officer Grabowski) / ランダル・エドワーズ(Lawyer)
製作会社: フィルム4・プロダクションズ / エレメント・ピクチャーズ / ノー・トレイス・キャンピング
配給: A24フィルムズ / ギャガ(日)
公開: 2015年10月16日(米) / 2016年4月8日(日)
上映時間: 118分
 
【世間の評価】 ※2016.4.23時点
CinemaScape: 3.8/5.0 (6人)  
Yahoo! 映画: 4.13/5.00 (692人)
IMDb: 8.3/10 (123,773人)
 
@ヒューマントラストシネマ渋谷