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時間と心に余裕があったため、尺が長めで、作品にがっつり入り込めそうな本作をチョイス。

 
1980年、カストロが反共のキューバ人を国外に追いやった際、難民としてフロリダに辿りついたボートピープルの一人が、アル・パチーノ演じるトニー・モンターナ。

チンピラからスタートするも、殺しをしたり、麻薬の取引を死にかけながらも何とかモノにしたりしながら、少しずつ地位を上げていくトニー。

彼のことを田舎者とバカにしていた奴らは次々と殺されていき、ボスであるフランク(ロバート・ロッジア)の女・エルヴィラ(ミシェル・ファイファー)までも手に入れる。

しかし、金とマフィアビジネスしか頭にないトニーと、コカインジャンキー・エルヴィラの夫婦関係は荒れる。お互いに口が悪く、気が強く、すぐ思ったことを口に出すため、壊れ出すと一気に崩壊。

そして、破滅のラスト。

全編通して人がバンバン死んでいくが、そのアクション性やおぞましさに目が奪われるというよりも、トニーの感情の揺れに、こちらも揺さぶられる、思いの外共感できる映画だった。
それこそがブライアン・デ・パルマ節だろうか。
170分飽きさせない手腕はさすがである。

以下、ネタバレあり。

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トニーがまだチンピラの時に、ボスの子分オマール(F・マーレイ・エイブラハム)に噛み付くシーンや、子どもを乗せた車(白のシトロエンDS。グっと来た)を爆破しようとするソーサ(ポール・シェナー)の手下(マーク・マーゴリス)を車内で撃ち殺すシーンなど、彼らしい度胸の良さ、嫌なものは嫌というストレートさは、惹き込む魅力を備えていた。

エルヴィラがボスの女だったとき、車でボスの元へ送り届けるときに無理やりキスしたり、ボスの屋敷のプールでストレートにプロポーズしたりする姿も、またしかり。
初対面のエルヴィラに、ファミリーネームを聞いて「何聞くの、コイツ」という目で見られ、「話のきっかけだ」と答えるトニーの田舎っぽさがチャーミング。

以前観た『カッコーの巣の上で』のジャック・ニコルソンに通じる、その後大スターとなる彼らの、一番輝いていた時の作品ではなかろうか。
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良い顔つきをしているトニー。

 
一方で、酒に酔ったとき、ドラッグが決まってるとき、感情的になり過ぎているときは、支離滅裂で、見た目もだらしない。
オンオフのギャップが激しかった。
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落ちに落ち切ったトニー。このあと、最後の銃撃戦で多少力を取り戻すが、時すでに遅し。

そういえば、タイトルにもなっているのに、入管で左頬の傷について尋ねられるぐらいで、あとは一切スカーフェイスについては触れられなかった。

 
アル・パチーノと並んで好印象だったのは、エルヴィラを演じるミシェル・ファイファー。

トニーがボスから奪いとった女というポジション以外ではさほど大事な役目を果たしてはいなかったが、衣装、メイク、表情、喋り方で強い個性を放っていた。
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この目つき。

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この表情。

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この態度。

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メイクが薄めのこのシーンも悪くない。が、よくよく見るとすんごい衣装着ている。
(エルヴィラも妹のジーナも露出度高めの衣装が多かったが、いずれもスキニーな痩せ型体型。これは監督の好みなのだろうか。)
 
この二人以外のキャストで印象に残ったのは、登場シーンが多いわけではないが、トニーの母親を演じたミリアム・コロン。彼女の苦悩の深さは力をもって伝わってきた。たとえば、「あんたが触るものはすべて腐っていくんだ」と息子に言う姿など。

 
シーンとしては、決して趣味がいいとはいえないこの浴室のシーンも印象深い。
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風呂に入っているトニーとTVを見ながら話すマニー(スティーヴン・バウアー)。奥では妻のエルヴィラが何かをしている。この構図が新鮮だった。

 
ラストの銃撃戦はアクションとしてはそれなりの出来。
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ただ、その中で、妹のジーナ(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が「私とファックしたいんでしょ」といいながらトニーを撃ってきたあと、屋敷に忍び込んでいたコロンビア人に乱射され、その男をトニーがバルコニーからプールに突き落とし、上から撃ち殺すシーン。そして、トニー自身も、後方至近距離からライフルで撃ち抜かれ即死し、階下の噴水の水場のようなところに落ちるシーン。
そのいずれのシーンも、水場に落ちて死んで浮かんでいたのが、ビジュアルとして頭に残った。

 
最後に、バージョン違いのDVDパッケージデザインを。
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モノクロの上のバージョンと、情熱的な赤バージョン。
いずれもクールなトニーを押し出していることがわかる。

製作総指揮: ルイス・A・ストローラー
製作: マーティン・ブレグマン
監督: ブライアン・デ・パルマ
脚本: オリヴァー・ストーン
撮影: ジョン・A・アロンゾ
美術: フェルディナンド・スカルフィオッティ
音楽: ジョルジョ・モロダー
衣装: パトリシア・ノリス
出演: アル・パチーノ(Tony Montana) / スティーヴン・バウアー(Manny Ribera) / ミシェル・ファイファー(Elvira Hancock) / メアリー・エリザベス・マストラントニオ(Gina Montana) / F・マーレイ・エイブラハム(Omar Suarez, Frank’s subordinate) / ロバート・ロッジア(Frank Lopez) / ミリアム・コロン(Mama Montana) / ハリス・ユーリン(Mel Bernstein, cop) / ポール・シェナー(Sosa) / ペペ・セルナ(Angel) / マイケル・P・モラン(Nick The Pig) / リチャード・ベルツァー(M.C. at Babylon Club) / Al Israel(Hector, a Colombian who killed Angel) / デニース・ホラハン(Banker) / マーク・マーゴリス(Alberto The Shadow, a killer hired by Sosa) / マイケル・オールドレッジ(lawyer) / Arnaldo Santana(Ernie, Frank’s subordinate)
配給: ユニバーサル・ピクチャーズ
公開: 1983年12月9日(米)、1984年4月28日(日)
上映時間: 170分
 
【世間の評価】 ※2016.10.5時点
CinemaScape: 3.6/5.0 (341人) 
Filmarks: 4.0/5.0 (3,663人) 
Yahoo! 映画: 4.24/5.00 (387人)
IMDb: 8.3/10.0 (544,438人)
Rotten Tomatoes(Critics): 7.4/10.0 (67人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.1/5.0 (486,699人)
 
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