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方々で話題になっている注目監督、キム・ギドク。
遅ればせながら、本作にて初キムギドク。

もっと激しく揺さぶられるものをイメージしていたから、観終った直後は、やや拍子抜け。

しかし、間違いなく良作。
ドラマチック過ぎないが、ひしひしと強いパワーを感じさせられる。
しかも、後からじわじわ来る。

観終ってしばらく経っても、ワンシーンワンシーンの絵が印象にしっかりと残っている。
独特の世界観。

以下、ネタバレあり。

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人生と四季の春夏秋冬を符合させて描く。

田舎の湖に浮かぶ小島の上で暮らす、住職と小僧。
四季の自然と、浮かぶお寺の絵が印象深い。

春、子供時代。魚、蛙、蛇に紐で小石を縛りつけて放し、住職に自分も石を縛りつけられ、探し出して石を外せと叱られる。もしそれらの動物が死んでいたら、おまえは一生心に石を縛りつけて生きろと言われる。強い言葉。

結局、魚と蛇を死なせ、号泣。
石を縛りつけられながら動くそれぞれの動物の映像も印象的。

夏、子供の病気の回復を願って母親が娘を連れてくる。
小僧と娘は恋仲になるも住職にバれ、欲望は死につながると言って、病気も回復した娘を去らせる。
二人の若さ溢れる、屋外でのセックスシーンが瞼に残る。
小僧は嫌気がさしたのか、仏像を持って寺を去る。

秋、妻を殺した男が逃げてくる。両目と口に「閉」の文字を書いた神を張って、(おそらく)死のうとするが、住職に見つかり喝を入れられる。

住職は、猫の尻尾に墨をつけて、お経を外の床に書き、怒りを鎮めるためにナイフで彫れという。
その最中、男を追ってきた刑事が二名やってくる。が、住職が彫り終わるまで待てと二人をたしなめる。
早朝彫り終わって寝てしまった男を尻目に、住職と刑事らは文字に色を塗る。
猫の尻尾に墨をつけて書くという発想、そして彫った文字への色のつけ方に特徴がある。

男が連行された後、住職は死期をさとったのか、小舟に櫓を組み、火をつけ、その上に座る。
目と口と耳には「閉」の文字が書いてある紙を貼る。そして、舟が沈むように、床の栓を抜いてある。
グロテスクな映像は映さない。

冬、刑期が終わったのか、男が戻ってくる。
湖は凍っており歩いて渡れる。氷の中の、舟の部分に穴を開けわずかながらの骨を拾う。
滝の凍った氷から仏像を彫り、その頭部に穴を開け赤い布に包んだ骨を差し込む。
男は修行にあけくれる。

顔が見えないよう布をまいた女が赤子を抱いて訪ねてくる。
ある夜、女は子どもを置いて逃げようとする。しかし、湖に開いていた穴に落ちてしまい死んでしまう。
男は、何の儀式なのか、腰に重い石を結びつけ、仏像を持って、険しい坂道を上り、山頂へ赴く。

そして、春。最初の春と同じように、子どもが大きくなり、今度は亀にいたずらをしている。

静と動。
動の部分の印象の強さ。
映像のこだわり。色使い。
仏教。

湖の入り口にある扉や、寺の寝室の入り口にある扉は、いずれも壁がなく扉だけがあり、シンボリックに描かれている。

繰り返しになるが、本当に独特の世界観。
他の作品も観てみたい監督だ。

製作:イ・スンジェ / カール・バウムガルトナー
監督・脚本:キム・ギドク
撮影:ペク・トンヒョン
美術:オ・サンマン
音楽:パク・チウン
衣装:キム・ミニ
出演:オ・ヨンス / キム・ギドク / キム・ヨンミン / ソ・ジェギョン / ハ・ヨジン / パク・チア / キム・ジョンホ / キム・ジョンヨン
 
【世間の評価】 ※2016.1.21時点
CinemaScape: 3.9/5.0 (67人)  
Yahoo! 映画: 3.97/5.00 (63人)
IMDb: 8.1/10 (59,550人)
 
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