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名作と呼ばれるアニメ作品もいくつか観てはきたが、だいたい期待は裏切られている。
わたしの好みが屈折しており、さわやか過ぎるのが苦手なのだろう。

しかし、本作は、珍しくそんな私にも響く作品だった。
監督は、原恵一氏。なんと、同じく自分に刺さったアニメ作品である『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の監督をしていた方だった。
これは偶然ではあるまい。きっと彼のテイストが自分に合うのだ。

大枠のストーリーとしては、クゥとの出会いを通しての少年の成長ストーリー。
家族との絆あり、ほのかな恋模様あり。
しかしそれだけではなく、不要なサイドストーリーがなく、終わり方が想像していたものと違うという驚きがある。
この2点については、件のクレヨンしんちゃんの作品と通じるものがある。

「河童のクゥと夏休み」のあらすじ

東久留米市に住む小学生の康一は、下校途中に不思議な石を拾った。持ち帰って水で洗うと、なんと河童の子どもが姿を現わした。彼は何百年ものあいだ、地中に埋まっていたのだという。最初は驚いた家族も、康一によってクゥと名づけられた気のいいその河童を受け入れ、周囲に気づかれないよう注意しながら一緒に暮らし始める。当初は人間に対して警戒心を抱いていたクゥだったが、元来の好奇心と康一の厚意に徐々にほだされ、信頼を寄せるようになる。夏休みに入った康一は、クゥと共に河童伝説の残る岩手県遠野へ向かう…。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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クゥのキャラクターは、まっすぐで嘘がない。
「嘘をつくのは人間だけだ」とのセリフも刺さる。
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出演したテレビ番組の中で、ミイラ化した自分の父親の腕を見て大泣きするクゥ。胸に迫るものがあった。

群馬弁に近いものらしいが、クゥの方言も味があって良い。
「いい、あんべぇだ」
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頭のお皿にビールを注がれて酔っぱらい、踊りながら歌うクゥ。まっすぐなだけではなく、可愛らしさもしっかりと表現されている。

康一は、強すぎず、弱すぎないキャラクター設定。
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幸薄い同級生との、ほのかな恋心がまじりあった交流も、過剰過ぎず、心地良い塩梅。

父親の声をココリコの田中が担当していることはまったく気づかず。それぐらい自然だったとも言える。
母親の声の西田尚美はすぐに彼女だとわかった。

個人的には、康一の両親よりも妹のほうが印象に残る。
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この年頃の女の子にありがちな、面倒くささと可愛らしさがちょうど良く混在している妹の瞳。

上原家の飼い犬であるオッサンも、欠かせないキャラクターだ。
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オッサンとクゥとの交流も、暖かい気持ちで見れるポイントの一つ。
オッサンの元の飼い主への思いも泣かせる。

そして、最後まさかのやんばる登場!
沖縄好きの私としては、これは大きなプラスポイントだった。
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キジムナーと対面するクゥ。まさか沖縄のやんばる(山原)がこんな形で登場するとは。嬉しい驚き。

風景の美しさも、この作品の見所の一つだ。
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ただ田んぼのあぜ道を自転車で走っているだけの風景なのに、なぜこの絵を見るとこうも落ち着くのだろう。

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東京タワーをのぼり、六本木ヒルズ側を眺めるクゥ。クゥの心持ちとは裏腹に空も青く晴れていて、絵になる。
ごちゃごちゃした都会とはいえ、風が感じられるから気持ち良く見えるのだろうか。

 
最後に、バージョン違いのチラシ・DVDパッケージデザインを紹介。
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英題: Summer Days with Coo
監督: 原恵一
脚本: 原恵一
原作: 木暮正夫
撮影: 箭内光一
美術: 中村隆
音楽: 若草恵
声の出演: 冨澤風斗(クゥ)、横川貴大(上原康一)、田中直樹(上原保雄、康一の父)、西田尚美(上原友佳里、康一の母)、なぎら健壱(クゥの父親)、ゴリ(キジムナー)、植松夏希(菊池紗代子、康一の同級生)、松元環季(上原瞳、康一の妹)、安原義人(オッサン、上原家の犬)、羽佐間道夫(クゥの父を斬った武士/民族研究家)、富田耕生(トシオ、遠野の食堂にいた男性。康一に河童の居そうな川を教えた)、岩田安生(遠野の民宿の主人、曲り家と座敷童子について康一に説く)、井上里花(座敷童子、遠野の民宿に住みついている。クゥに「ここ百年、河童は見ていない」と告げた)
編集: 小島俊彦
制作会社: シンエイ動画
製作会社: 「河童のクゥと夏休み」製作委員会
配給: 松竹
公開: 2007年7月28日
上映時間: 138分 劇場公開版(通常版DVD)/141分 特別版(Blu-ray、コレクターズBOX-DVD)
興行収入: 3.6億円
キャッチコピー:「なぁ、こういち。オメェにあえてよかった。」「俺はクゥ、人間に貰った名前だ!」「人間の友達ができちまった。」
 
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