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かなり昔に一度観たことはあったが、内容をほぼ覚えていなかった本作。あらためて今の歳で観てみたくなりチョイス。

 
1970年代、治安がいかにも悪そうな時代のニューヨークが舞台。

ロバート・デ・ニーロ演じるトラビスは、夜勤のタクシードライバー。そのためもあってか、夜の闇、ネオン、そしてジャズのBGMが強く印象に残る。

粘着質な性格でありかつ、行動力のあるトラビス。人との会話での間の取り方だったり、カチンと来るタイミングだったりが普通の人とは違う。行動の節々に気持ち悪さを携えている。おとなしくしていればビジュアル的にも癖がなく、いい男なのに。

デニーロの演技および演出の見事さの裏返しだが、到底気持ち良く観ていられるキャラクターとは言いがたい。

そう。この映画は、彼の気味の悪さ、不器用さ、一途さが堪能できる作品だ。

12歳にしてストリートガールのアイリスを演じるジョディ・フォスターが称賛されている映画でもあるこの作品。もちろん彼女は悪くない。しかし、もう一人のヒロイン、選挙事務所で働くベッツィ(シビル・シェパード)も輝きを放っていた。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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パランタイン上院議員の選挙事務所で働くベッツィに惹かれ、グイグイ攻め、映画デートに連れ出すことに成功する。しかし、映画のチョイスがポルノ(ベッツィは”ダーティムービー”と表現)で、すぐに愛想を尽かされるトラビス。電話にも出てくれないことに腹を立てたトラビスは選挙事務所に乗り込み、喚き立てる。
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トラヴィスとベッツィが初めて話すシーン。このシーンのベッツィの醸し出す緩さがチャーミング。
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二人が入る映画館。雰囲気はある。

トラビスは、アイリスに対しても同様の事を繰り広げる。彼女に対して親身になるあまり、その胴元のスポーツ(ハーヴェイ・カイテル)を撃ち、売春宿の管理人兼ボディガード(部屋代10ドルを徴収し部屋に滞在する時間も測っている)のようなおっさん(マレー・モストン)を撃ち、部屋にいたアイリスの客も撃つ。
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トラヴィスとアイリス、そしてその友達(売春仲間?)が歩いている有名なシーン。
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サングラスを外し、メイクを落とすとあどけないジョディ・フォスター。
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癖のある胴元の役を演じるハーヴェイ・カイテル。

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この映画で特徴的なところとして、トラヴィスが偏執的であり、一見きっちりと準備していそうなのに、決行の場面ではいろいろとしくじっているという点がある。
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家でイメトレに励むトラヴィス。何度も何度も動作を繰り返す。
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いよいよ作戦決行。このモヒカンにグラサン姿は目立ち過ぎる。
あんなに家で訓練していたのに、胸元から銃を抜こうとしてシークレットサービスに見抜かれるというありさま。

売春宿の襲撃でも、ボディガードのおっさんに致命傷を与えることをせずに、自分も撃たれる。
「おい、ちゃんと殺せ!」と思わずスクリーンに向かって叫びたくなるのは、ドリフにおける「志村、うしろー!」のよう。

これは、興奮状態にある素人がちゃんと人を撃てないことを表しているのだろうか。要は、これこそがリアリティだと。
それともトラビスの欠けてる部分を表しているのか。

それにしても、片手をトラビスに吹っ飛ばされながらも、”I’ll kill you”と何度も叫びながら、トラビスに挑むおっさんの尋常じゃなさも際立っていた。

それ以外の、端役にもキラリと光るものがあった。
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その一つが、トラヴィスとベッツィが映画館に向かう途中ではさまれる、ストリートドラマーの演奏シーン。
特に話の内容と直結はしない。が、映画の雰囲気の一部を作っている。
調べたところ、ジーン・パルマという、実際にストリートで叩いている方とのこと。

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タクシーを停め、メーターを止めるなと文句を言いつつ、建物の上部の階の、カーテンに映るシルエットを見ながら、あれが自分の妻で、不倫されているとトラヴィスに訴えかける乗客。演じているのはスコセッシ監督本人。

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銃売り。ドラッグやキャデラックまで売り込んでくる商魂のたくましさに、クスっとさせられる。

 
トラヴィスが醸し出す気味の悪さが強烈に印象に残るが、それを闇と、ネオンと、音楽が少しだけ中和してくれる。そんな映画。

 
最後にバージョン違いの、チラシもしくはDVDパッケージデザインを紹介。
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日本版。ちょっと古臭いが、このデザインが一番見慣れている。

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オシャレ。個人的にはこれが好きだが、内容と離れている気も。

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おそらくVHS時代のデザイン。
“Jodie Foster is Delightful”の評が光る。

製作: マイケル・フィリップス、ジュリア・フィリップス
監督: マーティン・スコセッシ
脚本: ポール・シュレイダー
撮影: マイケル・チャップマン
美術: チャールズ・ローゼン
音楽: バーナード・ハーマン
衣装: ルース・モーリー
出演: ロバート・デ・ニーロ(トラヴィス・ビックル)、ジョディ・フォスター(アイリス)、ハーヴェイ・カイテル(スポーツ)、レナード・ハリス(パランタイン上院議員)、ピーター・ボイル(ウィザード、タクシードライバー仲間、half bald)、シビル・シェパード(ベッツィ)、アルバート・ブルックス(トム、ベッツィの同僚)、ジョー・スピネル(タクシー会社の受付)、ダイアン・アボット(ポルノ映画館の売店の女)、スティーヴン・プリンス(アンディ、銃のセールスマン)、リチャード・ヒッグス(トラヴィスが話しかけるシークレットサーヴィスの男)、ヴィクター・アルゴ(強盗される店の店主)、ナット・グラント(トラヴィスに撃たれる強盗犯)、ガース・アベリー(アイリスが一緒に歩いている女の子)、ハリー・ノーサップ(タクシードライバー仲間)、ジーン・パルマ(ストリートドラマー)、マーティン・スコセッシ(不倫している妻のシルエットを見つめる乗客)、マレー・モストン(売春宿のタイムキーパー、兼ボディガード)
編集: トム・ロルフ
制作会社: コロムビア映画
配給: コロムビア映画
公開: 1976年2月8日(米)、1976年9月18日(日)
上映時間: 114分
製作費: $1,300,000
興行収入: $28,262,574
 
【世間の評価】 ※2017.2.21時点
CinemaScape: 3.9/5.0 (1,016人) 
Filmarks: 3.8/5.0 (13,730人) 
Yahoo! 映画: 4.00/5.00 (1,056人)
IMDb: 8.3/10.0 (534,916人)
Rotten Tomatoes(Critics): 9.0/10.0 (75人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.1/5.0 (257,636人)
 
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