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3時間を超す長尺。しかもスウェーデンが舞台の愛の物語。眠くなりそうな気もして、観ようか見まいか迷ったが、結果的には観て正解。3時間をさほど長く感じることなく、ゆったりと観ることができた。

 
脚本がベルイマンなだけあって、以前に観た『ファニーとアレクサンデル』と似た空気が流れている。

むしろそれ以上にゆっくりと時間は流れる。多くのシーンに余韻が含まれる。それでいて飽きたり、眠くなったりしなかったのは、メリハリがそれなりにあるからだろう。
また、なんだかんだ登場人物に共感したからだろう。

以下、気に留まった点を振り返ってみる。

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ヒロインのアンナ(ペルニラ・アウグスト)が醸し出す雰囲気が自分が苦手なもので、これはどうなることやらと前半の前半部では思っていたが、次第に慣れたのか、ストーリーや演出にうまくやられたのか、途中からは気にならなくなり、内容に集中できた。

アンナの母(ギタ・ナービュ)が、アンナについて「勝ち気でわがままだが、同時に傷つきやすい子」と性格描写をする。
これだけ聞くと、なんて面倒臭い女だと思う。そして実際にその通りの役柄。しかし、それがそんな変わった役柄でもなく、世の中にはよくいそうなタイプでもあるのだ。

そんなアンナを支えられるのは、忍耐があって導ける人じゃないとダメだ。若いあなたでは役不足と一蹴されるヘンリク(サミュエル・フレイレル)。
若い二人からしたらひどい話だろうが、実際にその通り。
僻地の教会で、結婚を目前にした二人が罵り合う様は、若さゆえ。

私自身の年齢もあるが、若い二人に共感する一方で、母親にも共感してしまう。
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アンナの母を演じるのはギタ・ナービュ。大事な役を好演していた。

体を悪くしている父ヨハンを演じるマックス・フォン・シドー。こちらも好演。
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父と娘の仲の良さが際立っていた。こういうところに育ちの良さが伺える。

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こういった家族・親族の集合写真を撮るのがいかにも上流階級っぽい。

 
ヘンリクの母親(モナ・マルム)もなかなかの曲者。金持ちの娘である嫁アンナを受け入れはしない。そしてそれを隠しもしない。嫁が息子から遠ざかるように祈りつつ、その罪は自分が背負うと神に告げる。

ヘンリクが神学校に通い、牧師になるという役柄のせいもあるが、宗教、教会が密接に関わっている。この点については『ファニーとアレクサンデル』もそうだったなと思ったが、この話はベルイマンの実の父母の話なのだから、彼は教会に接して育ったのだろうし、映画にその色が濃く出ていても何の不思議もないわけだ。

二人は少しずつ歳をとり大人になりながらも、くっついたり離れたりする。揺れやすい似た者同士。

ラスト、未来に希望を抱きつつストーリーは終わりを告げる。

自分の現在の心情的に響く点が多かったからというのもあるが、ゆっくりと楽しませてもらった。
もしかしたら、『ファニーとアレクサンデル』でベルイマンの作風への抗体ができたからなのかもしれない。

監督: ビレ・アウグスト
脚本: イングマール・ベルイマン
製作: ラーシュ・ビィエルケスクーグ
製作総指揮: イングリード・ダールベリ
音楽: ステファン・ニルソン
撮影: イェリエン・ペルション
出演: サミュエル・フレイレル(ヘンリク・ベルイマン)、ペルニラ・アウグスト(アンナ・オカーブロム)、マックス・フォン・シドー(ヨハン・オカーブロム、父)、ギタ・ナービュ(カリン・オカーブロム、母)、モナ・マルム(ヘンリクの母)、Lennart Hjulström(ヘンリクに反発する二人の娘の父親)、Björn Kjellman(アンナの兄)、レナ・エンドレ(フリーダ、ヘンリクの恋人)、ボリエ・アールステット(カール、アンナの長兄?)、アニータ・ビョルク(Drottning Victoria)
編集: ヤヌス・ビレスコフ=ヤンセン
配給: KUZUI(日)
公開 1992年5月(仏CIFF)、1993年1月15日(日)
上映時間: 180分
 
【世間の評価】 ※2017.1.11時点
CinemaScape: 3.5/5.0 (21人) 
Filmarks: 3.5/5.0 (65人) 
Yahoo! 映画: 3.17/5.00 (12人)
IMDb: 7.9/10.0 (2,170人)
Rotten Tomatoes(Critics): 8.2/10.0 (6人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.2/5.0 (545人)
 
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