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前後編合わせて6時間強の長編。

もともとは4話からなるTV用のシリーズとして制作されていたが、カンヌで上映され、「ある視点」部門の最優秀賞(Un Certain Regard award)を受賞したのをきっかけに、映画化された。それも約3時間x2話の体裁で。というわけで、DVDも上下に分かれている、変わった仕様。

イタリアの家族のお話。
ゆっくり話は進む。
簡単に言うならば、イタリア版の「北の国から」。

 
まず、前半部。ストーリーは、以下のとおり。

物語のスタートは、1966年のローマ。

医者を目指し良い成績をとる兄ニコラ(ルイジ・ロ・カーショ)と、試験の面接で担当官に嫌気がさし会場から立ち去る弟マッテオ(アレッシオ・ボーニ)。
ニコラの友達二人と兄弟の計四人でノルウェーへの旅を予定していたところ、ひょんなことからマッテオが精神科の入院患者ジョルジャ(ジャスミン・トリンカ)と知り合うが、彼女が虐待を受けていることを知り、彼女を病院から連れ出し、親元へ帰そうとする。しかし、苦労して探し出した親は後妻と生活しているうえ、ジョルジャが後妻とその子供たちを受け入れないと言って、結局は引き取らない。

仕方なく旅に一緒に連れて行こうとするが、ジョルジャが駅で警察に不審人物と疑われ、連行されてしまう。

マッテオは落胆し、一人列車に乗りローマに戻り、軍隊に入隊する。
ニコラは、ノルウェーへの旅を続け、そのまましばらく滞在する。

1966年11月のフィレンツェに大洪水が起こり、そのボランティアとして参加すべく、ニコラは帰国。マッテオは軍隊の支援団として現地入りし、二人は再会する。

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ニコラはフィレンツェでピアニスト兼数学者のジュリアと出会い、トリノに移り住む。子供ももうけるが籍は入れない。その後、ジュリアは過激派のテロ組織「赤い旅団」(伊:Le Brigate Rosse、英Red Brigates)にどっぷりつかり、家族を捨て家を出る。

父(アンドレア・ティドナ)が亡くなる。

妹のフランチェスカ(ヴァレンティーナ・カルネルッティ)は、ニコラの親友の一人カルロ(ファブリツィオ・ジフーニ)と結婚する。

マッテオは、軍隊を辞め、警察官となる。頭に血が上りやすい性格で、配属される先々で問題を起こし、ボローニャ、シチリア島と転々とする。

精神科医となったニコラが、他の病院でひどい目にあっているジュリアを発見。ニコラ、マッテオ、ジュリアが再会を果たす。

といったところで、前半が終わる。

大きな事件はないが、兄弟二人がやや変わっていて、悩みながらも人間らしく生きている様は、映画のテーマたりえている。

マッテオと、ニコラの内縁の嫁であるジュリアは共通して子どもっぽく、辟易とさせられる。二人ともマイルールが強過ぎる。

父親がニコラに伝える言葉。「女性は美しい、奇跡だ。もっとほめ称えなさい」。これぞイタリアン。逆に言うと、それが実践できているイタリアンは、そんなには多くはないということか。

上の、イタリア版のポスターでは、ジョルジャがフィーチャーされている。
この子は、目の力が本当に強い。

 
後半に入る。

以下、ネタバレあり。

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ジュリアは、娘のサラには会いたくなる。フランチェスカの旦那である銀行家のパオロが、組織の暗殺ターゲットになったことを、ジュリアはフランチェスカに告げつつ、娘を遠くからでいいから見させてくれとニコラに伝えてと。博物館でジュリアは大胆に(無神経に)かなり近くまで父娘に近づき、サラもジュリアのことを見つめるが髪の色が変わっていたせいか、気がつかない。

その次に、同じようにジュリアからフランチェスカ経由でアプローチがあった際、ニコラは彼女を警察に捕まえてもらう判断をくだす。

マッテオは、相変わらず情緒不安でキレやすい。シチリアで会った女性(ミレッラ)にもなぜか本名を伝えない。その女性に、ローマの図書館がいいと勧めたら、その数年後、その図書館でバッタリ再会し意気投合するが、マッテオは次の約束をスッポかす。ミレッラは彼がニコラではなくマッテオという名で、警察官だということを調べ、マッテオに会いにくるが、彼は激昂して追い返す。

その日はちょうど12/31。家族揃っている場に、マッテオも顔を出すが、急用があるといって、すぐに家を出る。自宅に戻りミレッラに電話するが、彼女は出ない。新年明けて間もなく、マッテオは自室のベランダから投身自殺を図る。

ここは、全編を通して、もっとも驚いたシーン。
母(アドリアーナ・アスティ)はもちろん、ニコラもこの死をかなりひきずる。

ある日、ニコラはとある写真展のポスターに、マッテオが被写体となっているものに出くわす。その写真展にも訪れ、カタログを手に入れると、写真を撮ったのはミレッラ。その写真のタイトルは、「マッテオがニコラだったころ」。
ニコラはシチリアにいる彼女を見つけ出す。

そしたら、なんと彼女には9歳のアンドレアという男の子がいて、その父親はマッテオだと。

そこであらためて母を連れて、ニコラはシチリア島を再訪。母はその後も、その親子と一緒にシチリア島に住む。

精神科の患者であったジョルジャは無事退院(しかも、上の写真のタイトルを見つけ出したのは彼女)。

娘のサラ(カミッラ・フィリッピ)は婚約する。フィレンツェで人生をやり直しているジュリアとも会って話しをする。

母はシチリア島で寿命を全うする。

マッテオの息子アンドレアは、ニコラに昔良いと言われていたノルウェーへ恋人と訪れる。その旅先で書いた、ニコラへの手紙を読みあげジエンド。その手紙の中で、ニコラがミレッラと再婚したことがわかる。

と、後半まで見ても、イタリア版「北の国から」といった趣きに変わりはなかった。これはもちろん良い意味で。美しい自然も同じ。

子どもが成長し、大きくなり、一方で親が年老いていくのも一緒。

ただ、「北の国から」のほうが、尺が長いこともあり各事件の取り上げ方が大きく、ウェットな作り。本作はサラッとしたタッチで一貫されている
そこがよくもあり、物足りないところでもある。
(男女間に火がつく速さは、さすがのラテンのノリで、比較のしようがないほどだが。)

優しく切ない、音楽も印象に残る。第一部のオープニング曲は The Animals の「The House of the Rising Sun(朝日のあたる家)」、第二部のオープニング曲は Queen の「Who Wants to Live Forever」。

 
最後に、パッケージデザインの比較を。
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英語版のDVDパッケージデザイン。

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こちらは日本語版。家族色を押し出し、ジョルジャの扱いがかなり小さくなっている。

製作総指揮:アレッサンドロ・カローシ
製作:アンジェロ・バルバガッロ / ドナテッラ・ボッティ
監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
脚本:サンドロ・ペトラリア / ステファノ・ルッリ
撮影:ロベルト・フォルツァ
美術:フランコ・チェラオーロ
衣装:エリザベッタ・モンタルド
出演:ルイジ・ロ・カーショ / アレッシオ・ボーニ / アドリアーナ・アスティ / ソニア・ベルガマスコ / ファブリツィオ・ジフーニ / マヤ・サンサ / ヴァレンティーナ・カルネルッティ / ジャスミン・トリンカ / アンドレア・ティドーナ / リディア・ヴィターレ / カミッラ・フィリッピ / グレタ・カヴオーティ / サラ・パヴォンチェッロ / クラウディオ・ジョエ
 
【世間の評価】 ※2016.2.8時点
CinemaScape: 4.1/5.0 (18人)  
Yahoo! 映画: 4.46/5.00 (13人)
IMDb: 8.5/10 (15,917人)
 
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