theblindside

アメフトのスター・プレイヤーの実話がベースということもあるが、アメリカらしいお話。

サンドラ・ブロックは、ハマリ役。
ゼロ・グラビティ』でも思ったが、彼女は歳をとってから、ホントにいい役者になった。

抑えめの演出ということもあり、感情が大きく揺さぶられることはない。静かに噛み締め、考える映画。
お涙ちょうだいには成り下がっていないのは好感。

とはいえ、驚きがあるストーリーではなく、大きな感動を呼ぶとまではいかなかったので、この評価に留まった。

世界にひとつのプレイブック』でもそうだったが、アメフトを理解していたほうがより楽しめる作品ではありそう。

「しあわせの隠れ場所」のあらすじ

夫と二人の子どもと幸せに暮らす裕福な家庭の夫人リー・アン。彼女はある冬の夜、一人で雨に濡れながら歩く、巨漢の黒人の高校生マイケルを見かける。放っておけなかったリー・アンは彼を自宅に連れ帰る。マイケルは、父親の顔を知らずに生まれ、母親からも離され、住む場所も追い出され、ホームレス同然になっていた。その境遇を知り、リー・アンは彼に家族同然の扱いをする。戸惑うマイケルだったが、だんだん心を開くようになる。そしてリー・アンは彼の後見人となることを決意し、改めて家族の一員としてマイケルを迎え入れるのだった。リー・アンはある時、高校のアメフト部の練習中、うまくプレーできていないマイケルに、彼が仲間を危険から守る「保護本能」に秀でた心を持つことに着目し、ある「助言」を送る。これを機に、マイケルは才能を開花させ、一躍注目選手として成長していく。

そもそも原題の”The Blind Side”とは、アメフトにおいて、クォーターバックの利き手と逆側の、死角になり易いサイドの事をいい、ブラインドサイドのQBを守るためのオフェンスタックルは重要視されている。その役目をマイケルが担っている。
そして、一方で、あまり光があたらないが、この映画のリー・アン一家のように善意から親切をする人たちのおかげで、しあわせが生まれているということも示しているのだろう。

以下、ネタバレも含みつつ、印象に残ったシーンを振り返る。

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本作には宗教、すなわちキリスト教的考え方が深く関わっているように感じられた。
それは主に、リー・アンの行動指針の立て方に現れている。

映画ではサラッと描かれているが、普通、見知らぬ少年を家に入れるのは、相当に勇気がいることだ。
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マイケルの実母の家を訪ねるリー・アン。涙ぐむ母親(エイドリアン・レノックス)の隣に移動して座り、手を握る。
こういった動きがスッとできるのも、育ちだったり、今までに積みあげて来たもろもろに基づくもの。ここにもキリスト教の影響を感じる。

猪突猛進で揺らぎの少ないリー・アン。
面白い人物ではあったが、彼女のキャラクターの深掘りができていないから、ところどころ行動や言動が唐突に感じられた。

 
この映画で不思議なのは、観ている最中は共感するものの、もう一人の主役であるマイケル(クィントン・アーロン)の存在感が弱く、観終ってしばらくすると風貌を含めて印象があまり残っていないこと。

事故の際に、咄嗟にS.Jが乗っている助手席のエアバッグを手で止めた俊敏性は、彼のアスリートとしての能力の高さを裏付けるエピソードとなっていた。
これについては、最初、彼が何を止めたと言ったのかがわからないほど、予想外ではあった。

マイケルよりもむしろ、昔の知り合いで、素行が悪そうな彼らのほうが印象に残っているほど。
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悪そうなやつら感をふんだんに匂わせているアルトン(アイアン・シングルトン)をはじめとした連中。
彼らを見ていると、悪の道に突き進むか、踏みとどまれるかは薄氷一枚だということを痛感させられる。
彼らも、口や態度は悪いものの、完全なる邪悪さが跋扈してはいないのには多少なりとも救われる。

そんな環境で育ちながら、マイケルの保護能力がトップ5%に入っているというのは興味深い。
要は先天的なものということ。

そういうテストがあるのも面白い。
日本でも取り入れているところはあるのだろうが、そもそもどの国であろうと、その能力を生かすような環境を与えてあげるのは難しく思える。
間違いなく、後見人となった、リー・アンの功績だ。彼女を支える夫も立派。

彼らの子供たちもいい子ではある。
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リー・アンの娘コリンズ。本作での印象は薄いが、年頃で黒人で巨体のマイケルを一緒に住ませることを親が心配するに過不足ない可愛さは持ち合わせている。もうちょっと普通のビジュアルの子のほうが良かった気はする。

息子S.Jは、ムードメーカーでありマイケルのトレーナーとして頑張っていた。彼の説明のおかげで、私のアメフトへの理解も少し深まった。
ただし、大学選考にあたってS.Jの要求が過大すぎたのには違和感あり。

キャシー・ベイツ演じる家庭教師のスー夫人。役割はわかるが、彼女の登場には唐突さあり。

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基本的に頼りないキャラクターではあったが、いい味は出していたコーチ役のレイ・マッキノン。

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マイケルの後見人になりたいと役所に相談に行くリー・アン。しかし窓口は長蛇の列でなかなか自分の番が回ってこない。そこで文句を言いに行くと、すんなり話を聞いてくれる窓口のおばちゃん(マリア・ハウウェル)。隣で一緒に聞いているおっちゃん(パトリック・G・キーナン)とともに、いい味を出しており、印象に残るシーンだ。

 
最後に、バージョン違いのチラシ・DVDパッケージデザインを紹介。
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日本語版。
英語版も同じだが、サンドラ・ブロックをやたら押し出している。
ゴールデン・グローブ賞やオスカーなど賞をかなりとっているというのはわかるし、良い存在感ではあったが、アイドル映画じゃないんだから、そんなに一人の出演者ばかり押されるのにはさすがに違和感があるなあ。

製作総指揮: モリー・スミス、アーウィン・ストッフ、ティモシー・M・バーン
製作: ギル・ネッター、アンドリュー・A・コソーブ、ブロデリック・ジョンソン
監督: ジョン・リー・ハンコック
脚本: ジョン・リー・ハンコック
原作: マイケル・ルイス『ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟』
撮影: アラー・キヴィロ
美術: マイケル・コレンブリス
音楽: カーター・バーウェル
衣装: ダニエル・オーランディ
出演: サンドラ・ブロック(リー・アン・テューイ)、クィントン・アーロン(マイケル・オアー)、ジェイ・ヘッド(S・J・テューイ、息子)、ティム・マッグロウ(ショーン・テューイ、夫)、キャシー・ベイツ(スー夫人)、リリー・コリンズ(コリンズ・テューイ、娘)、キム・ディケンズ(Mrsバズウェル、教師、マイケルに好意的)、レイ・マッキノン(バート・コットン、アメフトコーチ)、トム・ノウィッキ(文学の教師、マイケルに最後の最後で高得点の評価をする)、アイアン・シングルトン(アルトン、悪仲間のボス)、アンディ・スタール(校長)、キャサリン・ダイアー(Mrsスミス、教師)、オマー・J・ドージー(’Big Tony’ Hamilton、マイケルの能力を買い、バートに入学させるよう掛け合う)、エイドリアン・レノックス(マイケルの母親)、ローダ・グリフィス(ベス、リー・アンの友人)、イーディ・メイズ(エラニー、リー・アンの友人)、アシュリー・ルコンテ・キャンベル(シェリー、リー・アンの友人)、シャロン・モリス(NCAAの調査員グレンジャー)、リビー・ホイットモア(マイケルに好意的ではない教師)、ハンプトン・フルーカー(デイヴィッド、アルトンとつるんでいる)、マリア・ハウウェル(CPS Welfare Worker、カウンターの女性)、パトリック・G・キーナン(カウンターにて、横でリー・アンの話を聞いている男性)
編集: マーク・リボルシー
配給: ワーナー・ブラザース
公開: 2009年11月20日(米)、2010年2月27日(日)
上映時間: 128分
製作費: $29,000,000
興行収入: $309,208,309
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