ダークナイト

バットマンシリーズを一度も観たことがないなか、IMDbで異様な人気(全映画の中で4位!)を誇っていた本作に惹かれて手に取った。

 
観終わって一番に感じるのは、金かけて作ってるな~ということ。
特に爆破、カーアクション(あのカッチョいいバイクでのアクションも含む)、戦闘シーン。

そういう意味では、この映画は確実に映画館で見るべき映画なのだ。
(そんなことはちょっと考えればわかるが……)

そして、もう一つ強く感じたのは、アメコミ原作ゆえの、わかりやすさというか極端さ。
国内外を問わず評価が高いことから判断するに、これを楽しめる人が世の中には多いということだろうが、単純に、今までのバットマンシリーズをずっと見続けてきたファンからの高い評価によって成り立っている気もする。

 
今までのシリーズを観ていればすんなりと入ってきたのだろうが、自分の場合はそもそものバットマンの立ち位置を理解するのにも時間がかかった。

ヒーローではないが、警察や市民も、その存在を頼っている。
自ら進んで誰かを殺すこともないが、身を守るためにやむを得ず殺してしまうことはある。車やバイクのアクションシーンでは、一般市民に相当迷惑はかけている。

そして、ブルース(クリスチャン・ベール)がバットマンだという事を誰が知っていて、誰が知らないのか? 元恋人レイチェル(マギー・ギレンホール)との関係性は? などなど、今までのバックグラウンドを知らないために、頭はフル回転。

ブルースは大富豪で頭も良くて浮き世離れしているが、元恋人のことはかなりひきずっており、人間性も垣間見れるキャラクター設定。

以下、軽いネタバレあり。

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全キャラクターの中で、圧倒的な存在感を放っているのは、やはり悪役のジョーカー(ヒース・レジャー)だろう。金のためや名誉のためでなく、ただ楽しくて犯罪を重ねる、根っからの愉快犯。

容貌のインパクトもさることながら、目の前にいる”獲物”の顔をつかみナイフを当てていたぶる姿に、狂気性、偏執性が存分に溢れていて、目を奪われる。

それでいて、完璧な計画性があるようにも見えず、殺される隙はそこかしこにある。自分の口の傷がなぜ出来たかについても、聞かれてもいないのに、震え上がっている”獲物”に対して勝手に語り出す。

こういった子どもっぽさが、残忍でありながら嫌悪感は抱かない所以だろう。
ジョーカー 病院遠隔装置で病院を爆破しながら、コミカルにとぼとぼ歩く姿がなんだか可愛らしいのだ。

ただ、次から次へと市民を震え上がらせ、バットマンや警察を振り回す、恐ろしいプランを考え出し実行に移せてしまうところに、少なからぬ非現実性を感じてしまうのも確か。
アメコミ原作ゆえの宿命だとは思うが、その世界に馴染んでいない自分には、入っていきずらいポイントでもあった。

 
もう一人、強い個性を放つのが、コインの裏表で行動を決めるのが好きな、検事のハービー・デント(アーロン・エッカート)。
先日観た『クラッシュ』でもそう思ったが、検事というのは、アメリカでは政治家的立ち位置なんだろうか。)
途中まではヒーロー的だったのに、スパイの警官もからんで、恋人レイチェルを失う。自分も顔の半分に大火傷を負い、以後、めっきりダークサイドの行動に転じる。火傷を負ったビジュアルもそうだが、このあたりもコミック的。

 
見所の一つと勝手に思っているが、バットマンがビルから飛び降り空を舞う映像は気持ち良い。下に落ちていく様を真上から捕らえた映像は、『フィフスエレメント』を思い出させる。鳥のように飛びたい、人間の憧れを刺激してくれる。

 
ラスト近く。

ジョーカーは死なず、ハービーは死ぬ。
バットマンはゴッサム市警のジム・ゴードンに対し、ハービーがジョーカーに人間性を破壊され殺人を犯したとなると、市民も救われない。自分(バットマン)が殺したと発表しろと告げる。

ゴードンが、バットマンはヒーローではなく、見守ってくれるダークナイトだとつぶやいて、エンディングへ。
最後にゴードンの語りで終わるのがどうもしっくり来ず。
(ゴードンを演じているのがゲイリー・オールドマンだということに気づかなかった)

どちらかというとアンハッピーな終わり方。
今後も、続きモノが出るんだろうなという含みはよくわかったが、スッキリせずモヤっとしたものが残る。

自分好みの終わり方ではなかった。
それでも、150分という上演時間が決して長くは感じさせない、エンターテインメントではあった。

 
<<追記>>
それにしても、IMDbでのクリストファー・ノーランの人気の高さは尋常じゃない。本当に人が登録して投票してるの?と疑いたくなるレベル……

製作総指揮: ベンジャミン・メルニカー / マイケル・E・ウスラン / ケヴィン・デ・ラ・ノイ / トーマス・タル
製作: チャールズ・ローブン / エマ・トーマス / クリストファー・ノーラン
監督: クリストファー・ノーラン
脚本: クリストファー・ノーラン / ジョナサン・ノーラン
原作: ボブ・ケイン
原案: クリストファー・ノーラン / デビッド・S・ゴイヤー
撮影: ウォリー・フィスター
美術: ネイサン・クローリー
音楽: ハンス・ジマー / ジェームズ・ニュートン・ハワード
衣装: リンディ・ヘミング
出演: クリスチャン・ベール / ヒース・レジャー / アーロン・エッカート / マイケル・ケイン / マギー・ギレンホール / ゲイリー・オールドマン / モーガン・フリーマン / モニーク・ガブリエラ・カーネン / ロン・ディーン / キリアン・マーフィ / チン・ハン / ネスター・カーボネル / エリック・ロバーツ / リッチー・コスター / アンソニー・マイケル・ホール / キース・ザラバッカ / コリン・マクファーレン / ジョシュア・ハート / メリンダ・マクグロー / ネイサン・ギャンブル / マイケル・ヴィオー / マイケル・ジェイ・ホワイト / ウィリアム・フィクナー / エディソン・チャン
製作会社: レジェンダリー・ピクチャーズ / シンコピー・フィルムズ
配給: ワーナー・ブラザーズ
公開: 2008年7月18日(米)、2008年8月9日(日)
上映時間: 152分
 
【世間の評価】 ※2016.2.4時点
CinemaScape: 4.1/5.0 (281人)  
Yahoo! 映画: 4.41/5.00 (3,431人)
IMDb: 9.0/10 (1,579,494人)
 
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