映画・演劇のレビューや感想をとりとめなく書き連ねているこのブログ。

今まで、それぞれの映画・演劇作品の粗筋(あらすじ。ひらがなのほうがしっくりくるかな…)について、まれに書いていることもあったが、ほとんどが書いていなかった。
しかし、あとあとブログを読み返してみると、簡単にあらすじが載っていたがほうが記憶も蘇るし、理解もしやすい。

ということで、今後はあらすじを載せていくかと思い立ったが、果たして、世の映画関連サイトでは、あらすじはどういった内容で、どのぐらいのボリュームになっているのだろうか。

気になったので、調べてみた。

対象とした作品は、最近観たなかで一番印象に残った、イラン映画『別離』。

1.シネマトゥデイ

まずは、レビューだけでなく映画全般の情報を扱う総合サイト『シネマトゥデイ』。

イランのテヘランで暮らすシミン(レイラ・ハタミ)とナデル(ペイマン・モアディ)には11歳になる娘がいた。妻シミンは娘の教育のために外国へ移住するつもりだったが、夫ナデルは老いた父のために残ると言う。ある日、ナデルが不在の間に父が意識を失い、介護人のラジエー(サレー・バヤト)を追い出してしまう。その夜、ラジエーが入院し流産したとの知らせが入り……。
http://www.cinematoday.jp/movie/T0012179

さすが、老舗サイト。コンパクトにまとまっている。

2.CinemaScape

続いて、私自身が長年愛用している映画レビューサイト『CinemaScape』。

テヘラン。思春期の娘テルメー(サリナ・ファルハディ)の教育はイラン国外で行いたいとして、教師であるシミン(レイラ・ハタミ)は夫のナデル(ペイマン・モアディ)に国外移住の許可を求めるが、認知症となった父親に介護者が必要であることからナデルはそれを聞き入れなかった。こうしてシミンは夫と別居するようになり、ナデルは家政婦としてラジエー(サレー・バヤト)を雇うに至る。だが、仕事の重みに耐えかねたラジエーの父への仕打ちに激昂して、ナデルは彼女を突き飛ばす。そのあげく実は妊娠していたラジエーが流産したことで、怒った夫のホッジャト(シャハブ・ホセイニ)はナデルを告訴するのだった。
http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=23477

あらすじを書いているのは専門の方というわけではなく、有志のサイト利用者。とはいえ、何作も書いているのであろう、読みやすくしっかりとまとまっている。

「シネマトゥデイ」とは異なり、ナデルが告訴されたところまで触れている。
また、シネマトゥデイでは「11歳」の娘としているところ、こちらは「思春期の娘」と表現。シミンの職業についても明記。
「認知症」とあるが、アルツハイマーではなかったっけ?と思ったが、認知症とは病名ではなく状態をさし、アルツハイマーもこれに含まれるとのこと。疑って失礼しました。

細かいところではあるが、「ナデルに国外移住の許可を求める」とあるが、夫婦の力関係的に”許可”という印象ではなかった感はある。
「仕事の重みに耐えかねたラジエーの父への仕打ち」というのも、思い切った表現ではある。

「怒った夫のホッジャトはナデルを告訴するのだった」の部分に、血の通った人間味が感じられるのは好印象。

3.ぴあ映画生活

つぎは、チケット販売大手の”ぴあ”が運営する『ぴあ映画生活』。

14年来の夫婦であるシミンとナデルには、11歳の娘がいた。シミンは、娘の教育や将来を考え国を出ることを考えていた。しかし、ナデルは、アルツハイマーを患う父親を心配して国に留まる事を望んでいた。そんなある日、ナデルが不在の間にある事件が起こる。
http://cinema.pia.co.jp/title/s-157978

非常にあっさりとしている。上の2サイトと異なり、家政婦(もしくは介護人)の存在にも流産についても触れていない。
かなりの保守派。

4.Movie Walker

つづいて、角川が運営する『Movie Walker』。

ナデル(ペイマン・モアディ)とシミン(レイラ・ハタミ)は結婚14年の夫婦。間もなく11歳になる娘テルメー(サリナ・ファルハディ)とナデルの父の4人で、テヘランのアパートで暮らしている。娘の将来を案じたシミンは国外移住を計画し、1年半かけて許可を得たものの、ナデルの父がアルツハイマー病を患ったことが誤算となる。介護の必要な父を残して国を出ることはできないと主張するナデルと、たとえ離婚してでも国外移住を希望するシミンは対立。話し合いは裁判所に持ち込まれるが、離婚は認めても娘の国外移住は認めないと、ナデルが譲らなかったため、協議は物別れに。これを機にシミンは、しばらく実家で過ごすこととなる。そこで、家の掃除と父の介護のために、ラジエー(サレー・バヤト)という女性を雇うナデル。しかし、男性の体に触れることは罪ではないかと心配する敬虔なイスラム教信者のラジエーは、ナデルの父が失禁する場面を目にして激しく動揺。また別の日には、彼女が目を離した隙に、父がふらふら出て行ってしまうことも。そんなある日、ナデルとテルメーが帰宅するとラジエーの姿はなく、ベッドに手を縛りつけられた父が倒れ、気絶しているところを発見。ラジエーはほどなくして戻ってくるが、頭に血が上ったナデルは事情も聞かず、彼女を手荒く追い出す。その晩、ラジエーが病院に入院したことを知ったナデルは、シミンと一緒に様子を見に行き、彼女が流産したことを聞かされる。これにより、ナデルは19週目の胎児を殺した“殺人罪”で告訴されてしまう。ナデルはラジエーの妊娠を知っていて突き飛ばしたのか……?だとしたら、それは流産するほど強かったのか……?一方、ナデルもラジエーが父に行った行為に関して彼女を告訴。裁判は次第に多くの人々を巻き込み、それぞれの思いが交錯、複雑に絡み合ってゆく……。運命に翻弄されてゆく2組の家族。彼らが辿り着いた結末とは……。
http://movie.walkerplus.com/mv49444/

うーーーん、これは”あらすじ”の範疇を超え、”すじ”の域に入っている。
それでも結末は書かないものなんだな。

5.IMDb

海外サイトも見てみよう。

まずは、『IMDb』。

Nader (Peyman Moaadi) and Simin (Leila Hatami) argue about living abroad. Simin prefers to live abroad to provide better opportunities for their only daughter, Termeh. However, Nader refuses to go because he thinks he must stay in Iran and take care of his father (Ali-Asghar Shahbazi), who suffers from Alzheimers. However, Simin is determined to get a divorce and leave the country with her daughter.
http://www.imdb.com/title/tt1832382/

これもあっさり目。
しかも、「ぴあ映画生活」と同じく家政婦(もしくは介護人)の存在にも流産にも触れないうえ、事件が起こったことすら匂わせない。

なお、この「IMDb」も、「CinemaScape」と同じく、有志のサイト利用者がPlot Summaryを投稿していることもあり、クオリティはまちまち(のような気がする。英語のため断言はできないが)。

一つの作品に複数のPlot Summaryが登録されているものも多く、たとえば、以下は『別離』に関する一番長いもの。

Nader and Simin, a middle class Iranian couple with an eleven year old daughter named Termeh, are on the verge of divorce. They love each other, but Simin, with exit visas for the family only good for the next forty days, wants to leave Iran permanently to a better life especially for Termeh. Nader, however, refuses to go as his father suffers from Alzheimer’s and Nader will not leave him behind despite he probably not knowing who Nader is most of the time. As such, Simin moves out of their home and back in with her own parents. Termeh, however, stays with her father as she sees this action as a way to bring her parents back together. As Nader’s father requires around the clock supervision, Nader, on a suggestion from Simin about a family member of an acquaintance, hires a man named Hojjat to be his father’s caregiver when he’s at work during the day. However, on Hojjat’s first day in this position, he can’t make it. Instead, Hojjat’s wife, Razieh, with their infant daughter Somayeh, shows up to do the work as they desperately need the money. A few days in with Razieh having so far done all the work for an absent Hojjat, an incident occurs between Nader and Razieh, the results from which threaten both their standing in the community. With their respective spouses and children among others thrown into the mix, each individual has made up his or her mind about what is the best thing to do for his or herself, which is often at cross purposes to the others. These decisions take into consideration justice, humanity and/or individual well-being.
http://www.imdb.com/title/tt1832382/plotsummary

無駄に長いうえ、ホジャットの代わりにラジエーが介護人として来たというくだりについては、事実誤認もありそう。

ただし、流産には触れないながらも事件があったことは伝えつつ、「正義、人間性、それぞれの幸福に基づいた決断がくだされる」という締め方は文学的で悪くない。
時制は基本的に現在形で書くことを知った。

6.Rotten Tomatoes

最後に、英語圏の映画レビューサイトとして「IMDb」と双璧をなす「Rotten Tomatoes」。

Set in contemporary Iran, A Separation is a compelling drama about the dissolution of a marriage. Simin wants to leave Iran with her husband Nader and daughter Termeh. Simin sues for divorce when Nader refuses to leave behind his Alzheimer-suffering father. Her request having failed, Simin returns to her parents’ home, but Termeh decides to stay with Nader. When Nader hires a young woman to assist with his father in his wife’s absence, he hopes that his life will return to a normal state. However, when he discovers that the new maid has been lying to him, he realizes that there is more on the line than just his marriage.
https://www.rottentomatoes.com/m/a_separation_2011

夫婦と娘の状況については、比較的しっかりと伝えられている。
一方で、流産についてはおろか、事件についても直接的には触れられていないが、最後の”he realizes that there is more on the line than just his marriage”の部分で、結婚生活以上のものが危うくなったことをスマートに伝えている。

ただ、「メイドが嘘をついてきたことを発見した時に~」っていうのが、何を指しているのかが腑に落ちなくはある。

7.自分なりのあらすじ

以上をふまえ、自分なりのあらすじをまとめてみた。
事件があったことはそれとなく伝えたほうがいいと思うものの、流産については触れないという選択をした。

テヘラン。11歳の娘テルメーの教育はイラン国外で行いたいとして、シミンは家族で国外への移住を目論むも、夫ナデルの父親がアルツハイマーを患っており、介護が必要な父をおいて国外には行けないとナデルは聞き入れない。これを機に二人は別居するようになり、ナデルは家政婦としてラジエを雇うことに。だがある日、ラジエの父への仕打ちに激昂したナデルは彼女を手荒く追い出す。その晩、事態は急展開を告げ……

 
あらすじ一つをとっても、サイトによっての違いが大きく、面白かった。
今後は、あらすじを見る目も変わりそう。