yokihitonotameno

全体を通して考えると、人生と同じく、ハッピーばかりではなく、どちらかというとアンハッピーのほうが強烈に描かれている。
しかし、絶望ばかりでなく、絶望の中に見出す、一筋の希望。
そこに光を当てた作品。

以下、ネタバレあり。

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ラスト30秒か、1分で、ほぼ全てをもっていく。
そして、エンドロールにピアノ(ソナタなのか?)が流れるなか余韻に浸れる映画。

”もっていく”、という表現が正しいのかどうかわからないが、それまで築き上げてきた、事実と感情が、昇華されるような。そんな気がした。

ヴィースラー、ドライマン、クリスタ、それぞれの心持ちが描写され尽くされているわけではない分、観てる側がいろいろ考えてしまう。
とにかく、映画らしいエンディング。

80年代って、まだ30年やそこらの話。
その時代に、先進国であるはずのドイツで、このような人権を無視したことが公然と行われていたという事実には、人間のずるさ、弱さ、怖さを思い知らされる。

作中で問題となった、東ドイツの状況を西ドイツの雑誌に寄稿した件も、内容としては驚くほどのものではない。
裏を返すと、それですら難しかった時代ということ。

考えてみれば、今もなお現在進行形で同じようなことが行われている国はいくつもあるわけで、日本においても権力者が暴走しないように、注視することは大事なんだなということが、腑に落ちる形で実感できた。

小さいコミュニティでもそうだが、恐怖政治はたまらない。

きっかけとなった曲で、題でもある「善き人のためのソナタ」はもともと有名な曲なのかと思いきや、この作品のために作られた曲なんだとか。
響く曲だとは思うが、監視する男ヴィースラーの、この曲を耳にしてからの心の移りようはやや極端には感じた。

製作:クイリン・ベルク / マックス・ヴィーデマン
監督:フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
脚本:フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
撮影:ハーゲン・ボグダンスキー
美術:ジルケ・ブーア
音楽:ガブリエル・ヤレド / ステファーヌ・ムーシャ
衣装:ガブリエレ・ビンダー
出演:マルティナ・ゲデック / ウルリッヒ・ミューエ / ゼバスティアン・コッホ / ウルリッヒ・トゥクール / トーマス・ティーメ / ハンス・ウーヴェ・バウアー / フォルクマー・クライナート / マティアス・ブレンナー
 
【世間の評価】 ※2016.1.21時点
CinemaScape: 4.1/5.0 (103人)  
Yahoo! 映画: 4.40/5.00 (972人)
IMDb: 8.5/10 (244,872人)
 
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