senjounopianist

やや長めの尺(148分)のため、見るのをためらっていたが、ようやく観ることができた。

第二次世界大戦のドイツ、ユダヤものは、総じて見るに耐えない熾烈さで、本作も前半はそのオンパレードで、息がなかなかつけない。

まるで動物のように、いや、昆虫、まさに虫けらのように人が理由なく殺されていく。
兵士だからというわけではなく、歯向かったからというわけでもなく、突然並ばされて、意味もなく殺される。

家族は列車でどこかへ連れていかれ安否不明。
自分もいつ殺されるかわからないなかで、毎日かすかな光を探しながら生きる。
一日も早く、イギリスが、ソ連がポーランドに侵攻してドイツを制圧する日をただただ無力に待っている。

その心持ちを考えるだけで、魂が震える。

そこに没頭させる舞台は製作側がしっかり整えてくれている。
刺激が強過ぎず、弱過ぎず、冷静に戦争が、人間が嫌になる。

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そして、後半。
非ユダヤであるポーランド人の、匿ってくれる人々を頼りながら、ひもじい思いをしながら、隠れながら物音を立てないように静かに、不安な日々を送る。

最終的には、生きるに必死で、浮浪者そのもの。

ある日、住みついた廃墟の屋敷の中で、ドイツの将校に出会う。
もともとピアニストだというと、そこにあったピアノを弾けといわれ、その演奏を気に入ってくれた将校は、彼を見逃す。しかも食糧まで届けてくれる。

廃墟での演奏の音楽的な良さは正直自分にはわからなかった。
ただ、この映画の肝となるシーンではある。
最初はおそらく久々に弾くピアノで、指を動かすのもままならなかったはずで、それが演奏中に生き生きとしてくる、ように聴こえた。

住みついた廃墟の近辺の、どこまでも廃墟が続く映像(DVDの表紙にも使われている)が圧巻。
そこに自分が身を置いたような、迫力と淋しさが漂っており、胸にせまるものがある。

そして、終戦。

将校とは会えず仕舞い。
ラストのオーケストラとの演奏は見事。見入ってしまう。

ピアノがキーとはなったものの、ピアノ自体が中心の映画ではない。
ただ、普通の戦争映画よりは、少しだけ柔らかい部分を、ピアノとピアニスト、音楽に持たせていることで、全体のバランスが良くなり、多くの人に受け入れられる作品になっている気がした。

原題は「The Pianist」。
ポランスキー監督はピアニストを描きたかったのかもしれない。
最初、邦題にある”戦場の”は余計な気がしたが、戦争が大きな意味を持っている本作では、これはこれで悪くない気が今となってはする。

戦争の愚かしさを、そして音楽の持つ煌めきを、時代を超えて多くの人に感じさせてくれる作品だ。

製作総指揮:ティモシー・バーリル / ルー・ライウィン / ヘニング・モルフェンター
製作:ロベール・バンミュッサ / ロマン・ポランスキー / アラン・サルド
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロナルド・ハーウッド / ロマン・ポランスキー
原作:ウワディスワフ・シュピルマン
撮影:パヴェウ・エデルマン
美術:アラン・スタースキ
音楽:ヴォイチェフ・キラール
衣装:アンナ・B・シェパード
出演:エイドリアン・ブロディ / エミリア・フォックス / ジュリア・レイナー / トーマス・クレッチマン / フランク・フィンレイ
 
【世間の評価】 ※2016.1.21時点
CinemaScape: 3.7/5.0 (368人)  
Yahoo! 映画: 4.09/5.00 (551人)
IMDb: 8.5/10 (465,405人)
 
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