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南米、アルゼンチンが舞台。
激しく感情が揺さぶられるシーンもあるが、全体としてはDVDジャケットのトーンにそぐう、落ち着いた内容。

現在(1999年)と、事件があった過去(1974年)を往きつ戻りつしながら話が進む。
過去を振り返るということもあってか、映像の色合いはやわらかい。音楽とともに懐かしい雰囲気を醸し出す。

髭が似合う主人公のエスポシトを演じるリカルド・ダリンは、日本でいうなれば役所広司的な、絵になる役者。
彼の雰囲気、存在感が作品全体に大きな影響を与えている。

フリも効いていて、ユーモアもあり、考えさせられもする良作。

ただ、唯一残念なのが、本作は現在過去ともに同じ役者が演じているのだが、事件で妻を失った旦那モラレス(パブロ・ラゴ)の老けメイクにあまりに強い違和感があること。これは敢えてなのか、アルゼンチンにおける美意識なのか、予算不足なのか。。。

以下、ネタバレを含みつつ印象に残ったシーンを振り返る。

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主人公エスポシトと同僚のパブロ(ギレルモ・フランチェラ)で事件の真相へ迫り、エスポシトとイレーネ(ソレダ・ビジャミル)で事件の小説化に向けて構想を練りつつ恋愛模様もあり、そこに犯人のイシドロ・ゴメスと、被害者の夫であるモラレスが絡んでくるという流れ。

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エスポシトとパブロのコンビは可愛げがあってバランスも良く好印象。
結局パブロは犯人の一味に殺されてしまうが、彼がエスポシトのことをかばって身代わりに撃たれたのかどうかは謎として残される。
ここに軽いあやふやな点を残すあたりが心憎い脚本。

本当に自分が好きなものや、やりたいこと、すなわち”情熱”は消せない、隠せないということが本作の大きなテーマとなっている。
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その事をバーの常連客の言葉から教えられるパブロ。

犯人にとってのサッカー、被害者の旦那にとっての犯人を終身刑にさせて空虚な人生を歩ませるという情熱。
そしてエスポシトにとっては、イレーネがそれにあたる。
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このシーンはいかにも…な構図ではあるが、エスポシトとイレーネの恋愛模様も本作の一つのテーマではある。
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眼鏡(老眼鏡?)姿のイレーネにキュンとした。

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仕事が終わった後に、毎日駅のベンチに座って犯人を捜すリカルド・モラレス。
エスポシトはこの姿にホンモノの愛を感じて行動を起こす。

しかし、これは単純な”愛”なのだろうか。
モラレスは、「事件から時間が経ち、ともすると事件の事を忘れてしまう。それが嫌で、駅に来ている」という趣旨の事を云う。
“愛”もあるだろうが、愛していた妻がいなくなったことに耐えられてしまっている自分が嫌だということもあるのだろう。
人の心は単純じゃない。

犯人役のイシドロ・ゴメスを演じるハビエル・ゴディーノもなかなかの曲者。
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最初に連行され聴取されるときは、こんなに怯えていたのに…その後の豹変ぶりとの対比が見事。
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偶然裁判所のエレベーターに同乗した、二人とイシドロ・ゴメス。
ゴメスの生理的な嫌悪感を誘う顔がたまらない。

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職場のライバル的存在である、別の部隊のロマーノ。
ことあるごとにエスポシトにつっかかってくる。これは高卒であることを馬鹿にしてくるシーンだが、「よく耐えたぞ、エスポシト」と言いたくなるほど。

 
細かい点だが、へぇ~と思ったのが、(おそらく)ブエノスアイレスのことを、その都市名ではなく、”首都”と呼ぶのが普通だということ。

また、個人的にスペイン語は聴いていて本当に落ち着くことを再認識した。学ぼうかなと思うほど。

 
最後にバージョン違いのチラシデザインを紹介。
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日本版。英語版と似たようなテイスト。

原題: Secreto De Sus Ojos
英題: The Secret in Their Eyes
製作総指揮: ヘラルド・エレーロ、バネッサ・ラゴーネ
製作: ファン・ホセ・カンパネラ、マリエラ・ベスイエフスキー、カロリーナ・アルビエタ
監督: ファン・ホセ・カンパネラ
脚本: ファン・ホセ・カンパネラ、エドゥアルド・サチェリ
原作: エドゥアルド・サチェリ
撮影: フェリックス・モンティ
美術: マルセロ・ポント
音楽: フェデリコ・フシド、エミリオ・コーデラー
衣装: セシリア・モンティ
出演: リカルド・ダリン(ベンハミン・エスポシト)、ソレダ・ビジャミル(イレーネ・メネンデス・ヘイスティングス)、パブロ・ラゴ(リカルド・モラレス、被害者の夫)、ハビエル・ゴディーノ(イシドロ・ゴメス)、ギレルモ・フランチェラ(パブロ・サンドバル、同僚)、カルラ・ケベド(リリアナ・コロト、被害者)、マリオ・アラルコン(フォルトゥーナ判事)、マリアーノ・アルジェント(ロマーノ、エスポシトに敵対する裁判所職員)
編集: ファン・ホセ・カンパネラ
配給: ロングライド(日)
公開: 2009年8月13日(アルゼンチン)、2009年12月9日(日、スペイン映画祭2009)
上映時間: 129分
興行収入: $27,901,193
 
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