thethirdman

昔に一度観たことがあるような気がしたが、ストーリーはほぼ覚えていなかったので問題なく楽しめた。

ツィター(オーストリアの民俗楽器)奏者であるアントン・カラスが奏でるメロディが全編を通して流れる、特殊な映画。

戦後の連合国に占領されている暗い雰囲気のウィーンという街が舞台という点、そしてサスペンスという点の、どちらの点からしても、白黒映画だということが、雰囲気をつくり出すのにプラスに働いている。

ホリー・マーチンス(ジョゼフ・コットン)は男前で、ファッション、立ち振る舞いともに雰囲気ある演技が光る。
アンナ(アリダ・ヴァリ)は、服装によって魅力的に見えたり、そうでなく見えたり、変化が激しい。ホリーからモーションをかけられるも、亡き恋人ハリー・ライムへの想いが強い。

しかし、実は死んではいない、”第三の男”たるオーソン・ウェルズ演じるハリー・ライムは、アンナのことを何とも思っていないという悲哀。

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主演の扱いであるオーソン・ウェルズは、途中まで登場しない。しかし、どこかで出て来ることは観客は皆知っているわけで、そういう意味でもハリー・ライムは死んでいないことを観客に予感させている作品ではある。

ハリーにしか懐いていなかったという猫が、暗闇に佇む人影の足元に歩み寄る。
ここで、その男の顔にライトが当たり、死んだはずのハリーが現われる。
この有名なシーンが格好良い。ハリーの表情もナイス。

このシーン以外にも絵になるシーンが目白押し。

観覧車で二人が対峙するシーンは緊迫感あり。
下水流れる地下での逃亡劇も見応えがあり、映像的にもスタイリッシュ。
ハリーが死ぬ間際に、瀕死の状態で排水溝の蓋を下から持ち上げようとするシーンも絵になる。
ラストの、ハリーの二度目の葬儀の後、道端に佇むホリーに目もくれず、アンナが歩くシーンも悪くない。

サスペンスとしてもかっちりしていつつ、悲哀溢れる恋愛模様もあり、音楽も印象的、さらに絵になるシーンも多いという点で、当時の評価が高かったことは納得できる出来である。

しかしそれでも、共感できたり、何度も観たい映画かというと、自分に響くには何かもう1ピース足りないようだった。何だろう、すべてがキッチリとハマり過ぎてて、遊びがなく感じたのだろうか。

@DVD

<<追記>>
こんなにも有名作であるにもかかわらず、イギリスと日本の公開日に3年もの差があることに、当時の世情が伺える。

製作・監督:キャロル・リード
脚本:キャロル・リード / グレアム・グリーン / マビー・プール
原作:グレアム・グリーン
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:アントン・カラス
出演:ジョゼフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、トレヴァー・ハワード、バーナード・リー、パウル・ヘルビガー、エルンスト・ドイチュ、ジークフリート・ブロイアー、エリッヒ・ポント、ウィルフリッド・ハイド・ホワイト
公開:1949年9月3日(英)、1952年9月9日(日)
上映時間:105分