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ミッキー・ロークの、歳をとったレスラーっぷりがあまりにハマっている。それはもう、ドキュメンタリーかと思ってしまうほど。

だからとにかく、ミッキー・ロークが心配になってしまう。
こんな映画にはなかなかお目にかかれない。

ストーリーにも無駄がなく、美しい。
あらためて考えると、映画のタイトルもシンプルそのものだ。

感情を煽るような演出も控えめ。
生身のミッキー・ロークで勝負している映画といえる。

「レスラー」のあらすじ

1980年代にアメリカ中を熱狂させた伝説のレスラー、ランディ・“ザ・ラム”・ロビンソン。二十数年経った現在、一人でトレーラーハウスに住み、スーパーでアルバイトをしながら辛うじて小さな地方興行でプロレスを続け、想いを寄せるキャシディに会うためにストリップクラブを訪ねる孤独な日々を送っている。ある日、長年のステロイド剤使用がたたって心臓発作を起こし、ランディは現役続行を断念する。長年疎遠であった一人娘のステファニーとの関係を修復しようとするもうまくいかず、キャシディとの関係性も深まらない。孤独に打ちひしがれる中で、ランディは再びリングに上がる決意をする。

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以下、印象に残ったシーンを振り返る。

プロレスにあまり詳しくない自分としては、新鮮に感じる部分も多かった。
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共同の控室の片隅で着替えるランディ。小さい興行っぽさがわかりやすく伺える。嫌いじゃない、こういう雰囲気。
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小さい興行ではあっても、こうやって観客が喜んでくれるのは、観ているこっちまで嬉しくなる。ついつい身内の視線で見てしまう。

プロレスの試合の流れを、試合前に相手と話し合う様子も興味深かった。
前後の試合がどういう流れになるかも聞きながら、それとかぶらないようにするなど、牧歌的なものも感じた。
また、ヒールはヒール役をきちんと演じるんだなあと、わかってはいるけれどあらためて打ち合わせの様子を見るのは新鮮だった。
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試合の流れについて打ち合わせているシーン。相手は実際のレスラーであるネクロ・ブッチャー。
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ネクロ・ブッチャーにがしがしステイプル銃でホッチキスを打ち込まれる。ネクロ・ブッチャーのビジュアル、風体、動きとともに強いインパクトが残った。
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打ち込まれたホッチキスを抜いていくの図。日常的な武器なだけに、地味に嫌だ。

一方でランディは別の試合で、カミソリの刃を手首に隠し、試合途中にこっそりその刃で額を切り、流血を演出する。これには驚かされた。
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流血するランディ。流血も盛り上げるための演出なんだなあ。

ふと大仁田厚が想起させられたが、日本のプロレスも同じようなものなのだろうか。
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ランディの必殺技の「ラムジャム」。決してカッコいい飛び姿ではないところがリアルで、好感が持てる。

しかし、試合後に心臓発作で倒れたため、プロレスの道に終止符を打ち、勤め先のスーパーで、得意ではない接客がある惣菜売り場担当として働く決意を固めるランディ。
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総菜売り場スタッフの恰好のランディ。コミカルさと哀愁とが混在。
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グラム数がぴたりと合っていないと何度もやり直させる客の婆さん。それを最初は愚直に対応しようとするランディ。イラっと来るシーン。

ランディ行きつけのストリップバーには、想いを寄せる、ちょっと歳をとったキャシディ(マリサ・トメイ)が働いている。
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客に年増扱いされようと、素晴らしいプロポーションは見応えありのマリサ・トメイ。笑顔もチャーミング。撮影当時は43歳前後。

家族そっちのけでプロレスを追いかけてきたランディ。娘には嫌われ、疎遠になっていることをキャシディに話すと、会いにいくべきだと言われる。
しかし、小さい頃からランディに裏切られっぱなしで、傷つき疲れた娘は、ランディに心を閉ざしており、久しぶりに訪ねるもFワード連発の攻撃的態度。

そこでランディはプレゼントを贈ることを思いつき、キャシディに一緒に買い物につきあってもらうことに。
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私服姿のキャシディ。可愛い!
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買い物の後、バーにビールを飲みに行くと、80年代のロックがかかり、ごきげんのランディ。ニルヴァーナの登場で90年代は最悪になったと言い切るほど80年代ロックLOVEの様子。

ヴィンテージショップで買った、ステファニーのSが入ったデザインのグリーンのジャンパーと、キャシディお薦めのピーコートを送ると、ステファニーの心は解きほぐれた。ここは、意外とあっさり。
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娘のステファニーと。絵になる構図のショット。

しかし、その後、ディナーの約束をランディがすっぽかし、娘には最後通告を言い渡される。
娘と父の関係が修復されないまま終わったのには意外性あり。

さらに、職場の総菜売り場では、客に元レスラーのラムだと感づかれ、その上で歳をとってるから違うかと言われブチギレ、勢いで仕事を辞めてしまう。
そして、ひどい身体を顧みず、プロレスの世界に戻る。80年代に高い視聴率を叩き出した相手ジ・アヤトラー(アーネスト・ミラー)とのリマッチへ。

試合途中で相手やらレフェリーに心配されるラム。しかし最後はラムジャムで終わらせないといけないという信念があるし、客もそれを待っている。
ふらふらになりながらロープに上り、、、
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ラストのラムジャム。必死な顔がいい。
飛ぶところでエンディング。これも悪くない。

 
最後に、バージョン違いのチラシ・DVDパッケージデザインを紹介。
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日本語版。

製作総指揮: ヴァンサン・マラヴァル、アニエス・マントル、ジェニファー・ロス
製作: スコット・フランクリン、ダーレン・アロノフスキー
監督: ダーレン・アロノフスキー
脚本: ロバート・シーゲル
撮影: マリース・アルベルティ
美術: ティム・グライムズ
音楽: クリント・マンセル
主題歌: ブルース・スプリングスティーン
衣装: エイミー・ウェストコット
出演: ミッキー・ローク(ランディ・“ザ・ラム”・ロビンソン)、マリサ・トメイ(キャシディ、パム)、エバン・レイチェル・ウッド(ステファニー・ラムジンスキー、娘)、マーク・マーゴリーズ(レニー)、トッド・バリー(ウェイン、ランディの勤務先の店長)、ワス・スティーヴンス(ニック)、ジュダ・フリードランダー(スコット、レスラー仲間)、アーネスト・ミラー(ジ・アヤトラー)、ディラン・サマーズ、ロン・キリングス(本人役)、ネクロ・ブッチャー(本人役)、ドネッタ・ラビニア・グレーズ(ステファニーのルームメイト)、Armin Amiri(Dr. Moayedizadeh)、E・J・キャロル(スーパーでランディの正体に気づきかけた男性)、Tommy Farra()
編集: アンドリュー・ワイスブラム
製作会社: Wild Bunch、Protozoa Pictures、Saturn Films
配給: フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、日活(日)
公開: 2008年9月5日(イタリアVIFF)、2008年12月17日(米)、2009年6月13日(日)
上映時間: 115分
製作費: $6,000,000
興行収入: $44,703,995
キャッチコピー: 人生は過酷である、ゆえに美しい。
 
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