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キェシロフスキ監督の作品は、20年ほど昔に『デカローグ』のシリーズを観たことがある程度。

トリコロールのシリーズはおしゃれな雰囲気が漂っているし、当時からいつか観たいいつか観たいと思っていて、今回はまずは大好きなジュリエット・ビノシュが主演の本作をチョイス。

 
『デカローグ』でもそうだったが、抑え目の演出が貫かれている。

冒頭、いきなり車の事故。
次の場面では、病院で意識を取り戻すジュリー(ジュリエット・ビノシュ)。夫と娘は亡くなっていると教えられ、絶望の淵に立たされる。
自殺を図ろうともするが、それでもさほどヒステリックになったりするシーンはない。

その後、退院し自宅の屋敷に戻るが、一切の財産は処分する。
なんだか展開がやたらと早い

しかし一方で、1シーン1シーンの撮り方、特にジュリーを追う映像がかなりゆったり目で、物語全体の進行もゆっくり進んでいるようにも感じてしまうという不思議さ。

また、あるシーンでは、画面が暗くなり印象的な音楽が流れ、あぁここで場面が変わるんだなと思うと、その瞬間再び前の場面に画面が戻り、一言ジュリーがセリフを吐いてから場面転換するという、変わった技法が何度か使われていた。

これらも含めて、実験的な撮影手法を取り入れようとする、監督の意気込みは伝わってきた。

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「青の愛」というタイトルだけあって、青がキーカラーとなっている。
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青いプール。

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青いガラスの装飾のついた電灯。

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おそらく娘が事故の前に食べていたのと同じ、青いキャンディー。

ジュリーのクールさも「青」のカラーに沿っている。決して「赤」ではない。

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ヘビースモーカーのジュリー。タバコを吸う表情や仕草がチャーミング。
亡くなった夫の愛人(フローレンス・ペルネル)もジュリーからタバコをもらうなど、全体的にスモーキングシーンも多かった。今の映画だと厳しくなっているのだろうか。

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ヨーロッパ統一のための曲も主題の一つだったこともあり、楽譜もところどころに登場。音符をなぞりながら曲をイメージしたり。

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ジュリー自身が音符を書いていく作曲シーンも印象的。

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上の喫煙シーンもそうだが、ジュリアがカフェで過ごすシーンが何度かある。その中で、コーヒーをアイスにかけて食べるこれが単純にメニューとして気になった。

 
その他にも、家族で住んでいた豪華なお屋敷だったり、白いリコーダー(フルート?)を吹く街角の演奏家だったり、生まれたばかりネズミの子どもだったり、カフェでなみなみと注がれたエスプレッソに角砂糖を入れて溢れる様だったり、ずけずけと部屋に入ってくる同じ建物の住人の態度だったり、母親が見ているテレビの中でバンジージャンプに挑むおじいさんだったり、断片的に頭に残っているシーンはいくつもある。

しかし、ふわふわとした話でありながら展開が早いこともあり、共感しやすいストーリーとは到底いえなかった。

ジュリアと亡夫の友人であるオリヴィエ(ブノワ・レジャン)の関係性も一つの見どころのはずだが、オリヴィエの中に自分が魅力を見いだせず、興味を削ぐ要因となった。

ジュリエット・ビノシュのファンである自分としては、彼女の魅力の片鱗は伺えたものの、『存在の耐えられない軽さ』や『汚れた血』に比べると弱かった。ただ、クールな彼女をあまり見たことがなかったので、新鮮さはあった。

原題: Trois couleurs: Bleu
英題: Three Colours: Blue
製作: マラン・カルミッツ
監督: クシシュトフ・キェシロフスキ
脚本: クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェビッチ
撮影: スラヴォミール・イジャク
美術: クロード・ルノワール
音楽: ズビグニエフ・プレイスネル
出演: ジュリエット・ビノシュ(Julie Vignon) / ブノワ・レジャン(Olivier) / シャルロット・ベリー(Lucille, stripper) / エマニュエル・リヴァ(Julie’s mother) / フローレンス・ペルネル(Sandrine, husband’s mistress) / エレーヌ・ヴァンサン(journalist) / フィリップ・ヴォルテール(estate agent) / クロード・デュネトン(doctor) / ユーグ・ケステル(Patrice, husband) / ヤチェク・オスタシュウスキ(flutist) / ダニエル・マルタン(downstairs neighbor) / Yann Trégouët(Antoine, guy to see the car accident) / Guillaume de Tonquédec(Serge) / Alain Ollivier(lawyer) / Catherine Therouenne(neighbor) / ジュリー・デルピー / ズビグニエフ・ザマホフスキー
配給: KUZUI(日)
公開: 1993年9月8日(仏)、1994年7月9日(日)
上映時間: 94分
 
【世間の評価】 ※2016.6.10時点
CinemaScape: 3.4/5.0 (198人)  
Yahoo! 映画: 3.92/5.00 (49人)
IMDb: 8.0/10.0 (61,338人)
Rotten Tomatoes(Critics): 8.5/10.0 (40人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.2/5.0 (37,954人)
 
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