隠し砦の三悪人

黒澤作品に触れるのは何年ぶりだろう。

あらためて考えてみると、黒澤作品で観ているのは『姿三四郎』『椿三十郎』『悪い奴ほどよく眠る』『生きる』『影武者』の五作品のみ。『七人の侍』も『用心棒』も観ていない。

本作はスターウォーズの人物構成のヒントになった作品として名高く、気になっていたうえ、タイトルの”三悪人”の響きに惹かれ、手に取った。

 
前半、太平(千秋実、太っているほう)と又七(藤原釜足、痩せているほう)の会話を中心にストーリーが進むが、会話が一部聞き取りにくいこともあってか、時代および彼らが置かれている状況が把握しずらい。
また、後半に入っても、雪姫と六郎太の行脚の目的がわかりにくいことで、今一つ内容に入り込むのが難しかった。

自分が時代物に疎いというのもあるだろうが、2010年代の今、誰もがシンプルに理解して楽しめる映画にはなっていない気がした。

とはいえ、さすがの黒澤映画。観るべきところはいくつもあった。

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まずは、主役の真壁六郎太を演じる三船敏郎と、雪姫を演じる上原美佐の絵になる存在感、美しさ。
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三船は元来から濃い顔立ちだが、上原美佐も目元のメイクと強い眉のラインで三船に負けない存在感を発し、この二人がモノクロ作品ながら華やかさを醸し出していた。

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当時はきっと話題になったであろう、艶めかしい雪姫の姿。

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捕えられ、柱に縛り付けられても、毅然とした態度を貫き、気持ちが折れていない雪姫のさまが、ぴしっと伸びた背筋や、語調等からしっかりと表現されていた。
上原はこの映画のために発掘されたためデビュー作となるが、初々しさの中にも強い魅力を放っていた。

 
そして、名高い、三船の騎乗姿。
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姿が美しいだけでなく、スピード感を伴った映像も印象に残る。

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騎乗したまま相手に切りかかる三船。スタントなしで撮っているとのこと。

藤田進が演じる田所兵衛(「たどころひょうえ」と読む)と六郎太の殺陣のシーン。
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槍での殺陣というのが面白い。六郎太が田所の手下が持つ槍をいくつか手にし、状態を確かめながら選定するシーンも印象に残る。

一方で、欲にかられ、みすぼらしい太平と又七。
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左二人と右二人のギャップの大きさ。それでいてお互い利用しながらチームとして動いている不思議さ。

それにしても、よくこのタイトルをつけたものだ。
観終って、六郎太、太平と又七を”三悪人”だと思う人は少ないだろうし、”隠し砦”も後半は登場しない。
それでも、納得感がなくもないタイトルだ。

劇中で雪姫も楽しかった思い出としてあげていたが、火祭りの踊りのシーンは確かに素晴らしかった。
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知っている人は少ないだろうが、2010年に国立劇場小劇場で公演された日本舞踊の『新道成寺』の踊りの迫力を思い出した。

 
最後に、現在のDVDパッケージデザインを。
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これは、正直あまり好みではない。

英題: Three Rascals in the Hidden Fortress
製作: 藤本真澄 / 黒澤明
監督: 黒澤明
脚本: 黒澤明 / 菊島隆三 / 小国英雄 / 橋本忍
撮影: 山崎市雄
美術: 村木与四郎
音楽: 佐藤勝
剣術指導: 杉野嘉男(香取神道流)
流鏑馬指導: 金子家教、遠藤茂(大日本弓馬会武田流)
出演: 三船敏郎(真壁六郎太) / 千秋実(太平) / 藤原釜足(又七) / 上原美佐(雪姫) / 藤田進(田所兵衛) / 樋口年子(娘) / 志村喬(長倉和泉) / 三好栄子(老女) / 三井弘次 / 藤木悠 / 土屋嘉男 / 高堂国典 / 加藤武(落武者) / 上田吉二郎(人買いの親父) / 沢村いき雄 / 小川虎之助 / 富田仲次郎 / 谷晃 / 堺左千夫 / 佐藤允 / 小杉義男 / 大村千吉 / 田島義文 / 佐田豊 / 中丸忠雄
製作会社: 東宝
配給: 東宝
公開: 1958年12月28日
上映時間: 139分
 
【世間の評価】 ※2016.10.27時点
CinemaScape: 4.0/5.0 (347人) 
Filmarks: 3.9/5.0 (1,240人) 
Yahoo! 映画: 4.22/5.00 (244人)
IMDb: 8.1/10.0 (24,437人)
Rotten Tomatoes(Critics): 8.6/10.0 (28人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.1/5.0 (17,255人)
 
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