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久しぶりに観た『男はつらいよ』。この作品は、シリーズ中もっとも評価が高い一作と言っても過言ではない。

 
子どもっぽく、癇癪持ち、そして人情家の寅さん。
こんな人、最近はもう見なくなったなあとつくづく思った。昔は今よりはこういう人がもっといたような気がする。

脇を固める役者陣も魅力的。
柴又だけの話ではなく、播州龍野が登場するのも風情があって良い。

全般的に惹き込まれる魅力はある作品。
だが、それが持ち味だとは思うが、ディテイルの曖昧さに加え、自分の根底にある、車寅次郎への薄っすらとした違和感、読めるストーリー展開、により高い評価にはいたらなかった。

以下、軽いネタバレを含め、印象に残ったシーンを振り返る。

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上野の居酒屋で一文無しの爺さん(宇野重吉)のお代まで払ってあげる気っ風の良さ。
家の者の迷惑を考えず、その爺さんをおぶって家まで連れてくる優しさ。もしくは向こう見ずさ。

それでも、爺さんが日本を代表する日本画家の池ノ内青観だとわかると、呼び方をじいさんからおじさんに変えたりするなど、人間的。
世の中のすべての権威に背を向けて生きているわけではないのだ。

播州龍野の芸者ぼたん(太地喜和子)に対し、「いつか所帯を持とうな」「おまえと所帯を持つためにやってきた」と。
そんなセリフをスラっと言える男前の面も持つ寅さん。これは見た目からは想像つかなかった。

ぼたんも寅さんに好意はありそうだが、最後まで二人の関係はつかず離れず。
それもまた寅さんシリーズのお決まりなのだろう。
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ぼたんを演じる太地喜和子の笑顔のチャーミングなこと。

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いい表情の宇野重吉。岡田嘉子の品の良さも伝わってくる。
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宇野重吉と寺尾聰は実の親子。一緒に収まっているショットは貴重?

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いい味出している、中央のたこ社長(太宰久雄)。
それにしても”たこ社長”という役名って凄い。

寅さんの弟分っぽい役を演じていたのは佐藤蛾次郎さん。
ここ数年、ダウンタウンにいじられているのは知っていたが、本人が役者として演じているのは初見だった。

寅さんと二人で出店のようなところでオモチャを売るも、そうとう値引きしないと売れない。
果たして彼らの生計はどうやって成り立っているのか。

住職か神主の役をつとめる笠智衆。「龍野から帰ってきてから元気がなく、芸者に恋をしたのではないか」とさくらが愚痴をこぼすと、「それはいかん、それはいかん」と繰り返す笠さん。
ちょい役ではあるが、しっかりと笠智衆が出ている。

ところで、冒頭の、人食いザメと戦う寅さんの夢のシーンは果たして必要だったのだろうか。

製作: 名島徹
監督: 山田洋次
脚本: 山田洋次、朝間義隆
原作: 山田洋次
撮影: 高羽哲夫
音楽: 山本直純
出演: 渥美清(車寅次郎)、太地喜和子(芸者ぼたん)、宇野重吉(池ノ内青観)、倍賞千恵子(さくら)、前田吟(諏訪博、さくらの旦那)、下絛正巳(車竜造、おじさん)、三崎千恵子(車つね、おばさん)、中村はやと(満男、さくらの息子)、太宰久雄(たこ社長)、笠智衆(御前様)、佐藤蛾次郎(源公)、岡田嘉子(志乃、青観が昔想いを寄せていた)、大滝秀治(古書店大雅堂の主人)、桜井センリ(観光課長)、寺尾聰(観光係員)、佐野浅夫(鬼頭、ぼたんを騙した男)、久米明(龍野市長)、西川ひかる(飲み屋の女将)、佐山俊二(マンションの管理人)、岡本茉莉(お手伝い1)、榊原るみ(お手伝い2)、谷よしの(とらやの客)
編集: 石井巌
配給: 松竹
公開: 1976年7月24日(日)
上映時間: 109分
配給収入: 9億7400万円
観客動員: 168万5000人
 
【世間の評価】 ※2017.2.23時点
CinemaScape: 3.8/5.0 (61人) 
Filmarks: 4.0/5.0 (387人) 
Yahoo! 映画: 4.42/5.00 (78人)
IMDb: 7.6/10.0 (43人)
Rotten Tomatoes(Critics): -/10.0 (-人)
Rotten Tomatoes(Audience): -/5.0 (33人)
 
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