トトザヒーロー

夢想家の男の子トマ。その、生まれた時から、年老いて亡くなるまでのお話。

 
生まれた日に病院で火事があり、その騒動の際に、隣の裕福な家のアルフレッドと交換されたとトマは信じ続けている。

子ども時代から常に幸せそうだったアルフレッドに引き換え、自分は結婚もしていないし、人生でここぞということもなかったと、老人となったトマ(ミシェル・ブーケ)は老人ホームらしき場所で振り返る。

小さい頃は、パイロットで陽気なパパ、キレイなママ、優しく弟思いの姉アリス、トマ、そしてダウン症ながらもいい奴な弟セレスタンの五人で幸せそうだった。
(なお、クラウス・シンドラーが演じるパパは、芸達者。手品をしたり、ピアノを弾きながら歌ったり。重要な役目を果たしているのに、なぜかキャスト表では扱いが悪いのが不思議。また、セレスタンを演じるパスカル・デュケンヌは、同じ監督による「八日目」で重要な役を演じる)

しかし、そこから一家の運命は一気に悪いほうへ転がり始める。

以下、ネタバレあり。

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アルフレッドの父が経営するスーパーの商品をパパが空輸する途中、ドーバー海峡での事故で帰らぬ人となってしまう。それにより母も不安定となり、スーパーで肉を万引きしたり。

姉のアリス(サンドリーヌ・ブランク)を愛するトマ。アルフレッドと姉が仲良くするのを見て嫉妬し、アルフレッド家に放火しようと昔言ってたじゃないかと姉を焚き付ける。しかし、ガソリンを使って姉が放火した際に、本人も巻き込まれて死んでしまう。

姉アリスのことを愛し、結婚したいとすら思っていたトマはいたくショックを受ける。

アリスとトマがベッドに並んで横たわっている下のシーン。日本版のチラシやDVDジャケットに使われていることもあり、印象的である。
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大人になり会社勤めをしてからも、会社の机にアリス(もちろん子ども時代)の写真を飾るなど、大人になりきれないトマ。

ある日、サッカーの試合観戦中にアリスに似た女性エヴリーヌ(ミレーユ・ペリエ)を見かける。追いかけるがその時は見失うも、別の機会に再びその姿を見つけ、後を追いかけて楽器店へ。彼女は結婚していたが、紆余曲折あり二人は愛し合うように。
最終的に二人で遠くへ逃げようとするが、タイミングが合わず実現せず。しかも、彼女の夫はなんとアルフレッドだった。

老人となったトマは、ニュースでアルフレッドが経営する金融会社が世間から反感を買い、暗殺されかけたことを知る。自分が殺さなくてはと行動を起こすトマ。

アルフレッドに対面すると、「君は私と入れ替わりたかったというが、私は君が羨ましかった。自由に好きなことをやっているように見えた」と言われる。
そして、エヴリーヌはトマのことを思い続け、自分とは離婚したと。
それを聞き、涙するトマ。

ラスト、引き続き命を狙われているアルフレッドの身代わりに敢えてなり、殺されるトマ。

これは、最後の最後まで自分は取り違えられたと信じ、最後こそは自分の本来の運命に生きたということなのだろうか。小さい頃から夢見ていた探偵となった自分「トト・ザ・ヒーロー」を実現するという思いも込めて。

妄想のシーンが多く、どこまでが妄想でどこからかが現実かがわかりにくいところはある。しかも、時代も子供時代、青年時代、老年期と三つあるので、頭は忙しい。

子ども時代のアリス、大人のエヴリーヌ。ともに黄色いワンピースが印象的。どちらも独特の魅力を持つ。

父親がピアノを弾きながら歌うテーマ曲、そこにアリスがトランペットを合わせる曲が印象的に使われる。
「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」や「アメリ」に通じる音楽の楽しい使い方。「フランス映画=音楽」という図式はパッとは頭に浮かばなかったが、脈々と受け継がれているこの路線もきっとあるのだろうと感じさせてくれた。

決して、幸せに溢れた映画ではないが、描き方に愛があるうえ、最後トマ自身が幸せそうなので、観ている側も少しだけ幸せな気分になれる、不思議な作品。

製作総指揮:ピエール・ドゥルオー
監督・脚本:ジャコ・バン・ドルマル
撮影:ワルテル・ファン・デン・エンデ
美術:ユベール・プイユ
音楽:ピエール・バン・ドルマル
出演:ミシェル・ブーケ(Thomas, as an old man) / ミレーユ・ペリエ(Evelyne as young woman) / ジョー・ドゥ・バケール(Thomas, as an adult) / トマ・ゴデ(Thomas, as a child) / サンドリーヌ・ブランク(Alice) / ペーター・ビュルク(Alfred as an old man) / パスカル・デュケンヌ(Celestin) / クラウス・シンドラー(Thomas’ Father) / フェビエンヌ・ロリオー(Thomas’ Mother) / ギーゼラ・ウーレン(Evelyne as an old woman) / ヒューゴ・ハロルド・ハリソン(Alfred, as a child) / ディディエ・フェルネイ(Alfred, as an adult)
 
【世間の評価】 ※2016.2.15時点
CinemaScape: 3.8/5.0 (82人)  
Yahoo! 映画: 4.12/5.00 (33人)
IMDb: 7.7/10 (4,143人)
 
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