たいふうくらぶ

おそらく、ちゃんと観たのは初めての相米慎二(そうまいしんじ)監督作品。
中学校が舞台で、台風の日に学校で何かをするってことだけはうっすらと知っていた。

大人ではないが、ピュアな子供でもない。
大人の世界への興味や好奇心はあるが、全部は受け入れきれない。
受験が控えていたり、性への関心が高まり男女の違いを意識したり、親や先生や友達との関係性も変化したり、とにかく不安定。それが自分のイメージする中学生。
中学校を舞台にする作品は、それをどう描くのかにいつも興味が湧く。

冒頭の、プールでバービーボーイズの「暗闇でDANCE」に合わせて、子どもたちが踊るシーンが楽しそうで、懐かしさもあり、可愛さもあり、ガツンとやられた。

そこからしばらくは、中学生らしい、潔癖さと厨二病的な自意識過剰なところが繰り広げられる。
ここは、まぁ、そんなもんかなといったところ。感情移入もしずらい。

台風がやってきて、男子が好きな女子(大西結花演じる)を襲おうとする。
結局は制服の上を破ったところで我にかえり最悪な結果にはならないわけだが、結構このシーンが執拗で、しかもこの男子がなかなかなかなかいっちゃってるキャラクターも持ち合わせていて、「いってきます」「ただいま」と繰り返しながら職員室の木製のドアを蹴り続けたりと、ちょっと怖い。

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その後、学校に残っていた生徒たちで教室で話したり踊ったり。
そこから体育館に移動し、ステージ上でノリノリになり、みんな下着姿になり踊り出す。
さらに、外へ出て、勢いは止まることなく、最後は女子がブラまでとる始末。

さすがに寄りでの映像はないし、大雨で隠れてはいるが、思い切ったシーン。
80年代だからできたのだろう。

その後メジャーになった、工藤夕貴や大西結花も下着姿にはなっており、なかなか攻めている作品。

ただ、エロさというよりは、純粋さと、内に秘めたモヤモヤの発露といった趣き。

中学生同士で議論しあっても、頭でっかちの現実感のない内容になってしまうのは明らかで、そんな議論シーンよりも踊っていたり歌っていたりするシーンのほうが、パワーが溢れているのが感じられるし、変な作為性も感じられず、見ていて違和感もない。

屋外で、みんなでわらべの「もしも明日が」を歌うシーンがある。
好きなドラマ「時効警察」でもこの歌を歌うシーンがあるのだが、この歌はなんともいえない雰囲気を持っている。
メロディーは覚えやすいが、うまく歌いにくさもあり、ややたどたどしくなるところも影響してるのかもしれない。歌詞もなんともいえない味があるし。

工藤夕貴がドシャ降りのなか、警察官の人形のそばで一人「もしも明日が」を歌うシーンも悪くない。

チラシの表紙では工藤夕貴が中心のように見えるが、実際誰が主役なのかといえば、最後に自殺しようとする(成功したのか否かは不明だが)彼なのだろう。
アンバランスで観念的なところが中学生らしくて印象的。

中学生ものとしては、バトロワよりこちらに軍配を上げたい。

製作:宮坂進
監督:相米慎二
脚本:加藤祐司
撮影:伊藤昭裕
美術:池谷仙克
音楽:三枝成章
出演:三上裕一 / 松永敏之 / 工藤夕貴 / 大西結花 / 三浦友和 / 寺田農 / 小林かおり / 石井富子 / 尾美としのり / きたむらあきこ / 鶴見辰吾 / 伊達三郎 / 佐藤允
 
【世間の評価】 ※2016.1.21時点
CinemaScape: 3.5/5.0 (224人)  
Yahoo! 映画: 3.56/5.00 (63人)
IMDb: 7.2/10 (265人)
 
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