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2011年にNHKのBSプレミアム用に制作されたもの。

岩井さんの作品だから、てっきり演劇だとばかり思っていた。
まさかの、ドラマ。。。

本編後のインタビューによると、岩井さんらしく、彼自身が主人公に投影されていると。

 
主役は、フィギュアの原型師の彼(柄本祐)と、カメラマンの彼女(関めぐみ)。どちらも相手との”線引き”を意識した、個人主義な二人。自分にもその傾向があるので、他人事とは思えない内容だった。

柄本祐の髪型があまりにも…で前半はかなり違和感(なぜか、唇がやたら赤く見えるのも気になった)。後半マッシュルームカットにしてから、しっくり来た。要は、前半はヅラだったのか。
柄本の演技は自然。たまたまだろうが、自分の友人にそっくりで気持ち悪いほどだった。

彼女は妊娠し、彼は結婚するかどうかはともかく、心配だからと彼女の部屋に同居する。緑のテープで自分のエリアを区切って。このあたり、岩井さんっぽい。

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物語の動きを変えた、重要なシーンは以下のくだり。

ある日、彼女は部屋で調子が悪くなる。暗室には現像中の作品があるが、水が流しっぱなしでそのままにしておくとダメになる。

彼女は嫌がったが、彼は気遣って暗室に入り水を止め、写真を勝手に見て論評する。それをきっかけに口論が始まり、二人はかなり険悪な雰囲気に。

この雰囲気は誰もが経験あるものだろう。相手を気遣ってやってることが、相手から反感を買い、それを言われることで、より怒りが増す。お互い何かを言えば言うほど、どんどん険悪なムードは高まる。

今の自分なら、怒りに震えつつもその環境を客観的に見て、なんとかこらえるだろう。(実践できてるわけではないが)、この二人のやり取りを見て、自分が大人になってしまったように、淋しくも感じた。

他人からの一意見だったら無視すればいいのに、それができないのは他人じゃないから。
と、彼が思いいたって、彼女にプロポーズするわけだが。。
尺の問題もあるのだろうが、ここはやや、短絡的な気も。

 
主役二人、彼女の両親(鶴見辰吾&国生さゆり)、両親教室の仲間たち、となかなかキャラの立った登場人物たちではある。

彼女役を演じる関めぐみさんは、このドラマで初めて見た役者さんだが、よくいそうな、親近感のある美人の役を、さらっと演じてて好印象。

岩井さん自身がチョイ役で出ているだけでなく、キャストも小劇場の役者がワラワラと出てて安心感があった。最近は映画に芝居にどこでも目にする吉本菜穂子さんはもちろんのこと、ハイバイの金子さんや、(観終わってから気づいたが)元グリングの中野さん、ろりえの梅舟惟永(うめふねありえい。まず読めない)さんなどなど。

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映像にもこだわりが感じられる。二人が盛り上がるこのシーンの背景は、落ちつく。

 
ストーリー自体にわかりやすいオチがあるわけではないので、スッキリ感はないが、まあそういうものなのだろう。それでも、個人主義、妊娠、結婚というテーマで心にひっかかるポイントが散りばめられているのは、さすが岩井さんである。

脚本: 岩井秀人
監督: 渡辺哲也
音楽: SAKEROCK
主題歌: 「くせのうた」星野源
出演: 柄本佑、関めぐみ、愛華みれ、三上市朗、千葉雅子、中山祐一朗、岩井秀人、成河(ソンハ)、吉本菜穂子、平原テツ、梅舟惟永、川島潤哉、岩瀬亮、金子岳憲、山入端佳美、渚、中野英樹、広田淳一、兼尾瑞穂、知念輝、渡邉空美、国生さゆり、鶴見辰吾、風間杜夫(語り)
 
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