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イスラム世界には人並み以上の興味・関心をもっていても、あまり知らない彼らの実際の生活。

イスラム映画と一口に言っても、以前観た『別離』に比べると、宗教色がかなり強い。てっきりイラン映画かなと思っていたら、サウジアラビアだった。だから宗教に対してより厳格なのだろう。

とにかく宗教が生活に非常に強くかかわっている。特に女性にとって。肌を男性に見せるのはもちろん、声すら聞かせてはいけない。結婚する年も早い。生理中はコーランを直接触ることも許されず、クリネックス越しに触れろと言われる。男性は何人も妻をめとれる。結婚しても不安定な立場の女性、etc…

知らないことだらけでかなり新鮮。映画の内容ももちろん悪くない。

以下、軽いネタバレを含みつつ印象に残ったシーンを振り返ってみる。

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宗教女学校に通うおてんば娘のワジダは、自転車が欲しいが、母は認めない。

そこに転がり込んできたコーラン暗唱大会。

イスラム教徒だったら誰でもコーランをスラスラ詠めるわけではないことにまず驚いた。普通の子だとコーランをまともに読むことすらできない。そして、暗唱するのも節に乗せて、吟じるのが良しとされている。
声が低めのワジダが、大会で暗唱したコーランを詠むさまは心に響くものがあった。千年以上にわたって受け継がれてきたコーランを詠むという行為。その歴史の一端が感じられた。

美しい母(リーム・アブドゥラ)。父(スルタン・アル=アッサーフ)への愛は強い。
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家族団らんのひとコマ。普通のことなんだろうが、宗教が厳格で男尊女卑が強いこの国で、父親が子どものようにバイオハザードのようなアクションゲームに興じている様には意表を突かれた。

父は最終的に他の女性を選ぶ。(第一夫人として別の女性をめとったということだろうか?)

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母娘の二人で衣装を纏い、夜明けの祈りをささげる姿は美しかった。イスラムの風俗美がある。

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外出時は、既婚者の母親は目しか人目にさらさない。

家にいたり、友だちのアブドゥラと一緒にいたりすると大人っぽく見えるが、学校で同級生たちといると幼く見えるワジダ。魅力的な子役だ。アブドゥラとの関係性も微笑ましい。

この映画であらためて認識したことは本当に数多くあった。例えば、他の国同様、宗教色が強い国の女学校にだって反抗的な子もいたり、祈りの前には(おそらく)身体を清めねばならなかったり。

 
こういう価値観で生きている人たちがいるんだなということを知れたことがまず大きな収穫。その上で爽やかな気持ちで見終えられる、良作。

欲を言えば、ストーリーにもうひとひねり何かあってもいいんじゃないかという気はしたが。

 
最後に日本版のチラシデザインを紹介。
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横顔の笑顔のワジダの感じといい、空の青さといい悪くないデザイン。

監督: ハイファ・アル・マンスール
脚本: ハイファ・アル・マンスール
製作: ゲルハルト・マイクスナー、ローマン・ポール
出演: ワアド・ムハンマド(Wadjda)、リーム・アブドゥラ(Mom)、アブドゥルラフマン・アル=ゴハニ(Abdullah、a friend)、アフド(Ms. Hussa、principal)、スルタン・アル=アッサーフ(Dad)、Nouf Saad(Koran teacher)、Ibrahim Almozael(Toy Shop Owner)、Mohammed Zahir(Iqbal、the Driver)
音楽: マックス・リヒター
撮影: ルッツ・ライテマイヤー
編集: アンドレアス・ヴォドラシュケ
配給: アルバトロス・フィルム(日)
公開: 2012年8月31日(ヴェネツィア国際映画祭)、2013年12月14日(日)
 
【世間の評価】 ※2016.12.20時点
CinemaScape: 4.0/5.0 (10人) 
Filmarks: 3.8/5.0 (798人) 
Yahoo! 映画: 3.98/5.00 (115人)
IMDb: 7.6/10.0 (13,796人)
Rotten Tomatoes(Critics): 8.0/10.0 (103人)
Rotten Tomatoes(Audience): 4.1/5.0 (13,276人)
 
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