whiplash

新宿シネマートにて。

高評価なのはわかっていたし、知人・友人からも強く勧められ、嫌が応にも期待は高まる。
その期待値の高さに負けない作品だった。

音楽はもちろんのこと、指導官であるフレッチャー(J・K・シモンズ)が発するパワー、そして主役ニーマン(マイルズ・テラー)も負けじと発するパワー。

圧倒されっぱなしである。

以下、ネタバレあり。

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なんちゃってのレベルだが、ドラムを多少かじったことがある身からすると、ニーマンが正確なテンポをとれずにフレッチャーに罵倒されるところが一番身に染みた。

あの場で罵倒されて、すぐ調整できるはずもなく。
そんなことはフレッチャー自身が一番わかっているはず。
それでも罵倒して、追い込むのは、プレーヤーを、チームを引き上げるため。

体育会系スポーツの世界では常套手段で、賛否両論あるのたろうが、自分もそれに近い環境で育ってきたというのもあり、この世界観は馴染みやすかった。

まったくトーンは異なるが、ニーマンが映画館の売店で働くニコル(メリッサ・ブノワ)をデートに誘うシーンが印象に残る。
ニコルは即座に、帰ってと突き放す。冗談で。
この返しは、アメリカでは普通なのだろうか。
微笑ましいが、ちょっとしたカルチャーショックだった。

インパクトの強さなら、ニーマンが事故に遭うシーン。
衝撃が強すぎて、映画館の座席でのけぞってしまった。
ひどい事故のはずなのに、車をそのまま放置して、歩いて会場まで行き、演奏までしてしまう(もちろんめちゃくちゃだが)執念。
その前の、皆が怖れるフレッチャーに執拗に食い掛かっていくニーマンの姿を含め、常識人の一線を超えた狂気を感じた。

一方的にニコルに別れ話をするシーンがあったが、その時は何と自分勝手なやつとしか思えなかったものの、シーンが進むにつれて、別れて正解だったとしか思えなくなる。
よく、「相手のことを本当に好きだったらどんなに忙しくても時間を作って会える」などと言うが、ニーマンのように集中力が高い例外の人もいるということ。

そういう例外の人のなかの、そのまたほんの一部の人が、様々なジャンルの突き抜けた実績を残していくのだろう。

激しいフレッチャーだが、街のジャズクラブでゲストとしてピアノを弾いているシーンでの表情は穏やかで、そのギャップにほっとさせられた。結局、その後また激しくなり、ラストを迎えるわけだが。

この映画を端的に現すショットといえば、これだろう。
whiplash2
個人的には、フレッチャー役のJ・K・シモンズが、知り合いのbaldのアメリカ人にしか見えなくて、最初入りづらかった。

ただのハッピーエンドではなく、人間同士の摩擦だったり、思惑の違いだったりが散りばめられてて、でも最後の最後は音楽で一体感が出て締めるっていう構成が、気持ちよかった。

また、英語による会話も、フレッチャーの散弾銃のように繰り出される罵倒フレーズ以外は、比較的聞き取りやすく、ニーマンが大怪我をしたまま演奏してヘマをした後、フレッチャーがニーマンに一言、”You’re done”(おまえは終わりだ)と言うところだったり、印象的なフレーズもチラホラ。次回は英語のみで観てみるのも一興かも。

製作総指揮:ジェイソン・ライトマン
製作:ジェイソン・ブラム / ヘレン・エスタブルック / マイケル・リトヴァク / デヴィッド・ランカスター
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
撮影:シャロン・メイア
美術:メラニー・ペイジス・ジョーンズ
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
衣装:リサ・ノーシア
出演:マイルズ・テラー / J・K・シモンズ / ポール・ライザー / メリッサ・ブノワ / オースティン・ストウェル / ネイト・ラング / クリス・マルケイ
 
【世間の評価】 ※2016.1.21時点
CinemaScape: 3.9/5.0 (35人)  
Yahoo! 映画: 4.19/5.00 (2,943人)
IMDb: 8.5/10 (339,826人)
 
@新宿シネマート