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デビッド・フィンチャー監督作。彼の作品で、サスペンスといえば、どうしても『セブン』が頭に浮かび、また最悪な気分にさせられるんではないかと、内心ビクビクしながら観進めることとなった。

 
2時間半を超す長い尺だが、ストーリーテリングが上手く、中だるみもなく見ることができた。

本作は、事実に基づくストーリーという点で、大きな制約がある。
そこは韓国映画『殺人の追憶』と似ているが、終わり方に詩情が足りないかなという印象。

観客の気持ちをもやもやさせたまま終わってしまうのは、デビッド・フィンチャーのやり口なのだろう。
そういう意味では、非常にデビッド・フィンチャーらしい映画だ。

以下、ネタバレ含みつつ、印象に残った箇所を振り返る。

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前半は犯罪シーンが続く。
車の中で、湖畔で、タクシーで。
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第二の湖畔での事件。犯人が近づくのを見ている、不吉なショット。

犯行文と暗号が新聞社に届き、色めき立つ世間。

警察とマスコミ(新聞社、新聞記者)の持ちつ持たれつの関係性。どちらも真実にたどり着きたいという前提は同じ。本来なら警察だけでなんとかなるはずが、警察だけでは犯人を検挙できず、新聞社の優秀な記者エイヴリー(ロバート・ダウニーJr.)に一部の情報を流したりもする。

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テーブルの上にこうやって腰かけるのが、エイヴリーのキャラクターを顕著に示す行動。

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トースキ(マーク・ラファロ)、相棒のビル(アンソニー・エドワーズ)、上司(ダーモット・マルロニー)。
トースキとビルが移動の車内で交わす、「ウニや刺身などの日本食を食べたい」「食べてる時にそんな話をするな」というやり取りが1960年代後半~1970年代前半という時代を表す会話として差し込まれている。

ゾディアック事件は何年経っても解決せず警察内では捜査は小規模になり、アル中気味のエイヴリーはサクラメントの小さい新聞社に転職し、世間の記憶からも事件は消えかかる。

そんな中、新聞社で風刺漫画家をつとめ、事件の最初から本事件に興味を抱いていたグレイスミス(ジェイク・ギレンホール)の心に火がつく。
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ジェイク・ギレンホールは、つい10日ほど前に『ブロークバック・マウンテン』で観たというのもあるが、繊細な役柄をこなすのがうまいという印象がより強まった。

最初は分別があった彼も、次第に事件にのめり込み、妻には内緒で子どもも推理に巻き込んだり、危険を顧みず新聞に名前を出したり、TVのインタビューに答えたりと、頭の中はゾディアック一色になる。

呆れた妻(クロエ・セヴィニー)は子どもたちを連れ実家に。
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眼鏡をかけて、あか抜けない役のクロエ・セヴィニー

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わずかな間しか登場しないが、強い印象を残す、というか思わせぶりなボブ・ヴォーン(チャールズ・フライシャー)宅のシーン。

ついに犯人を追い詰めた…というところで、エンディングへ。

刑事のトースキ、新聞記者のエイヴリー、風刺漫画家のグレイスミス、それぞれ印象に残るが、結局犯人に振り回されたまま終わったことで、一番脳裏に焼きつくのは、容疑者の男。
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容疑者の役だというのもあるが、アーサー・リー・アレンを演じるジョン・キャロル・リンチの容貌と振る舞いには、人を不安にさせるものが多分に含まれていた。

このストーリーが、実話に基づいているからこその、宙ぶらりんのままでの終わり方。

その後の話は、テキストで語られるが、犯人と目される人物は逮捕準備中に病死し、後々のDNA鑑定でも白と出たと。
映画公開時、まだ各警察で捜査は続いているとのことだが、このストーリーでは、リーとボブ・ヴォーンの共犯を示唆している。真相やいかに。

製作総指揮: ルイーズ・フィリップス
製作: ジェームズ・ヴァンダービルト、シーアン・チャフィン、ブラッド・フィッシャー、マイク・メダヴォイ、アーノルド・W・メッサー
監督: デヴィッド・フィンチャー
脚本: ジェームズ・ヴァンダービルト
原作: ロバート・グレイスミス
撮影: ハリス・サヴィデス
美術: ドナルド・グラハム・バート
音楽: デヴィッド・シャイア
衣装: ケイシー・ストーム
特撮: エリック・バルバ、クレイグ・バロン、チャーリー・イトゥリアーガ、ジェリー・プーラー、エドソン・ウィリアムズ
出演: ジェイク・ギレンホール(ロバート・グレイスミス、風刺漫画家)、マーク・ラファロ(デイヴィッド・トースキ、SFPD捜査官)、ロバート・ダウニーJr.(ポール・エイヴリー、敏腕記者)、アンソニー・エドワーズ(ビル・アームストロング、トースキの相棒刑事)、ブライアン・コックス(メルヴィン・ベリー、著名弁護士)、イライアス・コティーズ(ジャック・マラナックス、バレーホ警察の警官)、クロエ・セヴィニー(メラニー、グレイスミスの再婚相手)、ドナル・ローグ(ケン・ナーロウ、ナパ警察の刑事)、ジョン・キャロル・リンチ(アーサー・リー・アレン、容疑者)、ダーモット・マルロニー(マーティ・リー警部、トースキらの上司)、リッチモンド・アークェット(Zodiac 1 / Zodiac 2)、ボブ・スティーブンソン(Zodiac 3)、ジョン・テリー(Charles Thieriot、エイヴリーらの上司、白い髭)、ジョン・ゲッツ(Templeton Peck)、キャンディ・クラーク(Carol Fisher、届いた手紙を持ってきた女性)、ペル・ジェームズ(湖畔で殺害される女性)、パトリック・スコット・ルイス(湖畔で襲われる男性)、フィリップ・ベイカー・ホール(シャーウッド、ベテラン筆跡鑑定士)、ジェイソン・ウィルス、ジミ・シンプソン(マイク・ジョー、リーの顔写真を見て犯人と証言)、マット・ウィンストン、ザック・グレニアー(Mel Nicolai)、アダム・ゴールドバーグ(Duffy Jennings、新しく配属されてきた記者)、ジェームズ・ルグロス、クレア・デュヴァル(リンダ、最初の被害女性ダーリーンの姉、模範刑務所収監)、ポール・シュルツ、リー・ノリス(マイク・マジョーの若年期、最初の被害男性。重傷を負ったものの命をとりとめる)、Ciara Hughes(ダーリーン、最初に殺害される女性)、チャールズ・シュナイダー(殺害されるタクシードライバー)、Doan Ly(ベリー弁護士のハウスキーパー)、チャールズ・フライシャー(Bob Vaughn、グレイスミスが家に招かれる、怪しい人物)
編集: アンガス・ウォール
製作会社: フェニックス・ピクチャーズ
配給: パラマウント映画(米)、ワーナー・ブラザース(日)
公開: 2007年3月2日(米)、2007年6月16日(日)
上映時間: 158分(劇場公開版)、163分(ディレクターズカット版)
製作費: $65,000,000
興行収入: $84,785,914
 
【世間の評価】 ※2017.2.9時点
CinemaScape: 3.5/5.0 (156人) 
Filmarks: 3.4/5.0 (6,712人) 
Yahoo! 映画: 3.39/5.00 (941人)
IMDb: 7.7/10.0 (319,917人)
Rotten Tomatoes(Critics): 7.7/10.0 (234人)
Rotten Tomatoes(Audience): 3.5/5.0 (491,879人)
 
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